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第2章 理想の旦那
3.合コンかナンパか
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食事のあいだは軽く、互いの自己紹介をした。
「僕は八月で二十九になるんだが、香坂は?」
「あー、私も誕生日は八月で、二十七になりますね……」
「本当か!?
誕生日は何日だ!?」
課長は興奮しているが、私はといえばそれを苦笑いで見ていた。
「十四日、です」
「奇遇だな!
僕は十三日なんだ!
これはもう、僕たちは結ばれる運命なんだな」
乙女思想で課長はうん、うん、なんて頷いているけれど。
ただの偶然です。
まあ、誕生日が一日違いでマンションのお隣さん、しかも上司と部下だなんて、かなり低い確率だろうとは思うが。
「血液型、血液型は?」
「Oです」
「Oかー。
僕はAなんだ。
ん?
OとAって相性いいのか?
まあ悪くても占いなんて信じないけどな」
課長はひとりで大はしゃぎだが、気になって仕方ない。
たとえ義務感でテンションが上がっているんだとしても、結婚相手がこの私でいいんだろうか。
仮にもデートなのにカーゴパンツとゆるだぼパーカーなんて普通、がっかりするよね。
なのに課長は文句を言わないどころか、気にしていない節がある。
あれか、もしかして変わった性癖の方とか?
「じゃあ、じゃあ、好きな食べ物は?」
……これは合コンかナンパか?
なんて口に出さない私は偉い。
偉いから明日、再びここに来てアイスの三種盛りを食べていいことにする。
「甘いもの、ですね」
「そうか、甘いものか。
僕も甘いものは好きだぞ。
そうだ、デザート、頼むか?」
いそいそと課長は私の前にメニューを広げた。
「遠慮はするな。
僕も頼む」
「……」
さっきからこの私の目の前にいる男は、本当に楠木課長なんだろうか。
会社では女性陣に塩対応の、あの。
あまりに笑わないものだからすでに、楠木課長は怒らせないようにしようなんて思われている、あの。
「決まったか?
……すみません」
スマートに手を上げ、課長が店員を呼ぶ。
たぶん奢りだし、遠慮なく明日食べるつもりだった、アイスの三種盛りを頼んだ。
「香坂の趣味は?
僕は読書なんだが」
意外でもなんでもなく、課長の趣味はイメージ通りだ。
なんかハードカバーの洋書を読んでいそう。
「あー、まんがとかアニメですね。
私、いわゆる腐女子という奴でして」
普段なら一般人には告げない、オタク趣味を出す。
課長も黙ったところを見ると、引いたよね!
よし、これで諦めてくれる!
……なーんて思った私が甘かった。
「んー、BLはよくわからないが、別に個人の趣味だから香坂が好きでも別にかまわないが?
それに僕は読む専だが、なろうとかカクヨムとか利用しているぞ。
今期のアニメなら、ドラゴンの奴が好きだな」
「……」
にっこりと笑い、課長がお冷やのグラスを口に運ぶ。
なんてこったーい!
目の前に趣味に理解のある、理想の男がいるではないか!
あ、いや、私はちっとも課長に恋愛感情などない。
もともとにおいて、恋愛? なにそれ? 美味しいの? が、私なのだ。
しかしながら友婚ならしてもいい!
と思うくらい、課長のポイントが爆上がりした。
「あ、ほら。
デザート来たぞ。
食べよう」
「……そうですね」
私の前には三種アイス盛り、課長の前にはアップルクランブルのアイスのせが置かれる。
「美味しいな」
実に嬉しそうに笑いながら食べている課長は眩しくて、つい目を細めてしまう。
課長となら友婚してもいい。
けれどきっと、課長が描いている結婚とはいわゆる愛のある結婚なんだろう。
そんなの、私に求められても困るし、それ以前に課長はまだ誤解したままだが、彼には私と結婚する義務などないのだ。
「僕は八月で二十九になるんだが、香坂は?」
「あー、私も誕生日は八月で、二十七になりますね……」
「本当か!?
誕生日は何日だ!?」
課長は興奮しているが、私はといえばそれを苦笑いで見ていた。
「十四日、です」
「奇遇だな!
僕は十三日なんだ!
これはもう、僕たちは結ばれる運命なんだな」
乙女思想で課長はうん、うん、なんて頷いているけれど。
ただの偶然です。
まあ、誕生日が一日違いでマンションのお隣さん、しかも上司と部下だなんて、かなり低い確率だろうとは思うが。
「血液型、血液型は?」
「Oです」
「Oかー。
僕はAなんだ。
ん?
OとAって相性いいのか?
まあ悪くても占いなんて信じないけどな」
課長はひとりで大はしゃぎだが、気になって仕方ない。
たとえ義務感でテンションが上がっているんだとしても、結婚相手がこの私でいいんだろうか。
仮にもデートなのにカーゴパンツとゆるだぼパーカーなんて普通、がっかりするよね。
なのに課長は文句を言わないどころか、気にしていない節がある。
あれか、もしかして変わった性癖の方とか?
「じゃあ、じゃあ、好きな食べ物は?」
……これは合コンかナンパか?
なんて口に出さない私は偉い。
偉いから明日、再びここに来てアイスの三種盛りを食べていいことにする。
「甘いもの、ですね」
「そうか、甘いものか。
僕も甘いものは好きだぞ。
そうだ、デザート、頼むか?」
いそいそと課長は私の前にメニューを広げた。
「遠慮はするな。
僕も頼む」
「……」
さっきからこの私の目の前にいる男は、本当に楠木課長なんだろうか。
会社では女性陣に塩対応の、あの。
あまりに笑わないものだからすでに、楠木課長は怒らせないようにしようなんて思われている、あの。
「決まったか?
……すみません」
スマートに手を上げ、課長が店員を呼ぶ。
たぶん奢りだし、遠慮なく明日食べるつもりだった、アイスの三種盛りを頼んだ。
「香坂の趣味は?
僕は読書なんだが」
意外でもなんでもなく、課長の趣味はイメージ通りだ。
なんかハードカバーの洋書を読んでいそう。
「あー、まんがとかアニメですね。
私、いわゆる腐女子という奴でして」
普段なら一般人には告げない、オタク趣味を出す。
課長も黙ったところを見ると、引いたよね!
よし、これで諦めてくれる!
……なーんて思った私が甘かった。
「んー、BLはよくわからないが、別に個人の趣味だから香坂が好きでも別にかまわないが?
それに僕は読む専だが、なろうとかカクヨムとか利用しているぞ。
今期のアニメなら、ドラゴンの奴が好きだな」
「……」
にっこりと笑い、課長がお冷やのグラスを口に運ぶ。
なんてこったーい!
目の前に趣味に理解のある、理想の男がいるではないか!
あ、いや、私はちっとも課長に恋愛感情などない。
もともとにおいて、恋愛? なにそれ? 美味しいの? が、私なのだ。
しかしながら友婚ならしてもいい!
と思うくらい、課長のポイントが爆上がりした。
「あ、ほら。
デザート来たぞ。
食べよう」
「……そうですね」
私の前には三種アイス盛り、課長の前にはアップルクランブルのアイスのせが置かれる。
「美味しいな」
実に嬉しそうに笑いながら食べている課長は眩しくて、つい目を細めてしまう。
課長となら友婚してもいい。
けれどきっと、課長が描いている結婚とはいわゆる愛のある結婚なんだろう。
そんなの、私に求められても困るし、それ以前に課長はまだ誤解したままだが、彼には私と結婚する義務などないのだ。
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