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最終章 面倒、だけどいい
3.女らしさ
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今日は楠木さんのほうが遅いので、休憩スペースでぼーっと携帯でSNSを追いながら待つ。
「あ、ちょうどよかった。
この辺りでお勧めのネイルサロンはない?
欠けちゃって」
顔を上げたら小長井さんが立っていた。
証明するかのように見せられた指には、女性らしく綺麗にネイルが施してある。
「……私はネイルなんてしないので、わかりません」
我ながら嫌みたっぷりの返事だと、言いながら自己嫌悪に陥りそうになった。
「そーねー。
お化粧も全然してないし」
「……は?」
隣の椅子に座った彼女がいきなり私の顔を両手で掴み、自分のほうへ向かせる。
これは女性なのに化粧をしないなんて、と説教パターンかと身がまえたものの。
「お肌つるつるー。
やっぱり若いからかしら?」
ぺたぺたと顔を触られ、いったいなにが起こっているんだがまったくわからない。
それに若いからって、私とふたつしか年は変わらない。
「つくづく、綺麗な肌だわー。
色も白いし、キメも整っているし」
「はぁ」
さわさわ、さわさわ、彼女手が私の顔を撫で回す。
「目は一重だけど、そこが返ってチャーミング?
ちっちゃい鼻も可愛いし、ぷっくりした唇とか、キスを誘ってるみたいだし」
はぁはぁと次第に彼女の息が荒くなっていき、だんだん身の危険を感じてきた。
「ちょっと、お姉さんと遊ばない……?
この顔にメイクしたらどうなるのか、凄く興味がある……」
「やめろ、変態!」
いつのまに来たのか、楠木さんが後ろから一発、軽く小長井さんのあたまをはたく。
「いったーい!
暴力はんたーい!」
「暴力って、軽くしか叩いてないだろーが」
またぺしっ、と楠木さんは彼女のあたまをはたいた。
「麻里恵で遊ぶのはやめろ。
見ろ、完全に困ってるじゃないか」
「あ、えと。
あはははは」
なんとなく、笑って誤魔化した。
年上、しかも本社の主任なんて上司に、はい、困っています、とか言いづらい。
「えー。
侑だって彼女がお化粧して綺麗になったところ、興味あるでしょ?」
彼女の言葉でぴくんと肩が跳ねる。
ずっと不安だった、本当は楠木さんも私に、そういう女らしいことをしてほしいと思っているんじゃないかって。
「全然興味ないね。
麻里恵は麻里恵らしくあるのが一番、綺麗だからな」
清々しく宣言した彼の顔を、思わず見上げていた。
そんなふうに思ってくれているなんて考えたこともなかった。
あ、でも、よく思いだせば、結婚式は私とダブルタキシードでもいい、とか言っていたような。
「へぇー?
その言葉に二言はないわね?」
「ない!」
自信満々に楠木さんが小長井さんに断言する。
「じゃあ、覚えてらっしゃい?
絶対、撤回させてみせるから!」
「受けて立つ!」
「えっ?
は?」
なんだかよくわからないが当事者の私を置いて、ふたりの間で戦いの火蓋が切って落とされた。
「あ、ちょうどよかった。
この辺りでお勧めのネイルサロンはない?
欠けちゃって」
顔を上げたら小長井さんが立っていた。
証明するかのように見せられた指には、女性らしく綺麗にネイルが施してある。
「……私はネイルなんてしないので、わかりません」
我ながら嫌みたっぷりの返事だと、言いながら自己嫌悪に陥りそうになった。
「そーねー。
お化粧も全然してないし」
「……は?」
隣の椅子に座った彼女がいきなり私の顔を両手で掴み、自分のほうへ向かせる。
これは女性なのに化粧をしないなんて、と説教パターンかと身がまえたものの。
「お肌つるつるー。
やっぱり若いからかしら?」
ぺたぺたと顔を触られ、いったいなにが起こっているんだがまったくわからない。
それに若いからって、私とふたつしか年は変わらない。
「つくづく、綺麗な肌だわー。
色も白いし、キメも整っているし」
「はぁ」
さわさわ、さわさわ、彼女手が私の顔を撫で回す。
「目は一重だけど、そこが返ってチャーミング?
ちっちゃい鼻も可愛いし、ぷっくりした唇とか、キスを誘ってるみたいだし」
はぁはぁと次第に彼女の息が荒くなっていき、だんだん身の危険を感じてきた。
「ちょっと、お姉さんと遊ばない……?
この顔にメイクしたらどうなるのか、凄く興味がある……」
「やめろ、変態!」
いつのまに来たのか、楠木さんが後ろから一発、軽く小長井さんのあたまをはたく。
「いったーい!
暴力はんたーい!」
「暴力って、軽くしか叩いてないだろーが」
またぺしっ、と楠木さんは彼女のあたまをはたいた。
「麻里恵で遊ぶのはやめろ。
見ろ、完全に困ってるじゃないか」
「あ、えと。
あはははは」
なんとなく、笑って誤魔化した。
年上、しかも本社の主任なんて上司に、はい、困っています、とか言いづらい。
「えー。
侑だって彼女がお化粧して綺麗になったところ、興味あるでしょ?」
彼女の言葉でぴくんと肩が跳ねる。
ずっと不安だった、本当は楠木さんも私に、そういう女らしいことをしてほしいと思っているんじゃないかって。
「全然興味ないね。
麻里恵は麻里恵らしくあるのが一番、綺麗だからな」
清々しく宣言した彼の顔を、思わず見上げていた。
そんなふうに思ってくれているなんて考えたこともなかった。
あ、でも、よく思いだせば、結婚式は私とダブルタキシードでもいい、とか言っていたような。
「へぇー?
その言葉に二言はないわね?」
「ない!」
自信満々に楠木さんが小長井さんに断言する。
「じゃあ、覚えてらっしゃい?
絶対、撤回させてみせるから!」
「受けて立つ!」
「えっ?
は?」
なんだかよくわからないが当事者の私を置いて、ふたりの間で戦いの火蓋が切って落とされた。
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