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第2話 玉の輿じゃないかな?
9.新居
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尚一郎につれてこられた料亭、始終嬉しそうににこにこと尚一郎は笑っているが、明夫はせわしなく額の汗を拭いていた。
朋香はといえば、左手が妙に重い気がして落ち着かない。
乞われるがままに朋香の幼い頃の話をする明夫は、スカートをパンツに挟んだまま、丸見えで砂遊びをしていたことなど話して、朋香は顔から火が出るほど恥ずかしい思いをした。
タクシーで帰る明夫を見送り、尚一郎の車に乗る。
並んで後部座席に座るとそっと手を握られたが振り払った。
そんな朋香に尚一郎は怒るどころか、おかしそうにくつくつと笑っている。
しばらく走って森のようなところを抜けると、屋敷に着いた。
あとで、森からが尚一郎の屋敷の敷地だと知って目眩がした。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
屋敷に入ると初老の女性に出迎えられた。
「今日からここで暮らす、僕のお嫁さんの朋香。
朋香、この屋敷の一切を取り仕切ってくれてる野々村」
「野々村でございます。
お見知り置きを、奥様」
「あっ、若園朋香、です。
よろしくお願いします」
じろりと野々村に見られ、あまりに大きな屋敷に周囲をきょろきょろと見渡していたのを知られた気がして、朋香は身が縮む思いがした。
「頼んでいた部屋の準備はできてる?」
「はい、仰せのままに」
「ありがとう。
……朋香、おいで」
あたまを下げた野々村を残し、朋香の手を掴むと尚一郎は屋敷の中を進んでいく。
二階に上がり、少し入ったところで足を止めた。
「ここが朋香の部屋」
開けられた部屋は、まるでテレビでしか見たことのない、高級ホテルのスイートルームのように上品に揃えてある。
いい匂いがしてみると、花瓶には立派なバラが生けてあった。
「気に入ってもらえるといいんだけど」
「……ありがとうございます」
悔しいが、こんな部屋を準備されて嬉しくないはずがない。
まるで、お姫様にでもなったかのような気分。
「よかった」
尚一郎の手が朋香の左手を取ると、はまっている指環に口づけを落とす。
いちいち芝居がかっているとは思うが、尚一郎がやると嫌みがない。
「一緒に寝て欲しいけど、無理にとは云わない。
朋香にはゆっくりでいいので、僕を好きになって欲しいから」
ちゅっ、再び指環に口づけを落とすと、尚一郎の手が離れた。
意外だった、すぐにでも関係を迫ってくるものだと思ったから。
それとも、尚一郎にとってもこれはただの契約結婚で、私に興味がないとか?
一瞬、そんなことを考えた朋香だったが、今日の尚一郎の態度からいって、そんなことはなさそうな気がする。
「これからのことは明日、ゆっくり話そう。
じゃあお休み、Mein Schatz」
抱き寄せられたかと思ったら、一瞬だけ軽く唇がふれた。
立ち尽くしている朋香を残してドアが閉まる。
……これから私、どうなっちゃうんだろ。
ベッドにばふんと寝ころぶと、思いの外ふかふかだった。
気持ちよくて、めまぐるしい二日間を過ごしたせいか眠気が襲ってくる。
……お風呂、もう明日でいいか。
こうして朋香の結婚一日目は終わっていった。
朋香はといえば、左手が妙に重い気がして落ち着かない。
乞われるがままに朋香の幼い頃の話をする明夫は、スカートをパンツに挟んだまま、丸見えで砂遊びをしていたことなど話して、朋香は顔から火が出るほど恥ずかしい思いをした。
タクシーで帰る明夫を見送り、尚一郎の車に乗る。
並んで後部座席に座るとそっと手を握られたが振り払った。
そんな朋香に尚一郎は怒るどころか、おかしそうにくつくつと笑っている。
しばらく走って森のようなところを抜けると、屋敷に着いた。
あとで、森からが尚一郎の屋敷の敷地だと知って目眩がした。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
屋敷に入ると初老の女性に出迎えられた。
「今日からここで暮らす、僕のお嫁さんの朋香。
朋香、この屋敷の一切を取り仕切ってくれてる野々村」
「野々村でございます。
お見知り置きを、奥様」
「あっ、若園朋香、です。
よろしくお願いします」
じろりと野々村に見られ、あまりに大きな屋敷に周囲をきょろきょろと見渡していたのを知られた気がして、朋香は身が縮む思いがした。
「頼んでいた部屋の準備はできてる?」
「はい、仰せのままに」
「ありがとう。
……朋香、おいで」
あたまを下げた野々村を残し、朋香の手を掴むと尚一郎は屋敷の中を進んでいく。
二階に上がり、少し入ったところで足を止めた。
「ここが朋香の部屋」
開けられた部屋は、まるでテレビでしか見たことのない、高級ホテルのスイートルームのように上品に揃えてある。
いい匂いがしてみると、花瓶には立派なバラが生けてあった。
「気に入ってもらえるといいんだけど」
「……ありがとうございます」
悔しいが、こんな部屋を準備されて嬉しくないはずがない。
まるで、お姫様にでもなったかのような気分。
「よかった」
尚一郎の手が朋香の左手を取ると、はまっている指環に口づけを落とす。
いちいち芝居がかっているとは思うが、尚一郎がやると嫌みがない。
「一緒に寝て欲しいけど、無理にとは云わない。
朋香にはゆっくりでいいので、僕を好きになって欲しいから」
ちゅっ、再び指環に口づけを落とすと、尚一郎の手が離れた。
意外だった、すぐにでも関係を迫ってくるものだと思ったから。
それとも、尚一郎にとってもこれはただの契約結婚で、私に興味がないとか?
一瞬、そんなことを考えた朋香だったが、今日の尚一郎の態度からいって、そんなことはなさそうな気がする。
「これからのことは明日、ゆっくり話そう。
じゃあお休み、Mein Schatz」
抱き寄せられたかと思ったら、一瞬だけ軽く唇がふれた。
立ち尽くしている朋香を残してドアが閉まる。
……これから私、どうなっちゃうんだろ。
ベッドにばふんと寝ころぶと、思いの外ふかふかだった。
気持ちよくて、めまぐるしい二日間を過ごしたせいか眠気が襲ってくる。
……お風呂、もう明日でいいか。
こうして朋香の結婚一日目は終わっていった。
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