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第一章 新しい生活の始まり
011-2
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「それでこんなに買ってきたの? 馬鹿なの?」
ノエルさんの冷たい視線がラズロさんに刺さる。
「アシュリーの話だと、ずっと煮込んでいないといけないんでしょ? ずっと魔法を使い続けるって大変なんだよ? 分かってるの?」
魔法に関してだからなのか、ノエルさんは本気でラズロさんに怒っていた。
「……ずっと煮込まなくちゃいけないなんて思ってなかったんだよ……」
さすがのラズロさんもノエルさんの剣幕に押されて、声が小さくなってる。
「もう食材を買ってしまったのは仕方がないとして、アシュリーが小腹が空いた時に食べれるように、何か買ってきて。今すぐ、ラズロの自腹で」
「わ、分かったよ!」
逃げるようにしてラズロさんは食堂から出て行った。
ノエルさんのため息が深いです。
「まったく、アイツは。馬鹿じゃない筈なんだけど、時折こう言ったズレた事をするんだよね。ごめんね、アシュリー」
「大丈夫です。端肉は一度に使わずに氷室に保管しておきます。リンゴも」
「僕も微調整の練習として手伝っても良い?」
ノエルさんは魔力量が多いから、普通に使っても威力が出てしまう。この前の貝祭りでもそうだったけど、弱めに魔法を放出するのが苦手なんだって。
「ありがとうございます。でも大丈夫ですか? 魔法師団の方のお仕事は忙しくないんですか?」
「終わってから手伝いにくるから大丈夫だよ」
そう言ってノエルさんが頭を撫でてくれた。
ノエルさんは本当に優しい。
端肉を水魔法ですすいで汚れとか血を落として、大鍋に入れていく。
僕の魔力量と要相談ではあるけど、最近寒くなってきたから、煮込み料理をしていると食堂が温まって嬉しい。
最近はコーヒーとか、ミルクコーヒーを飲みに食堂に休憩に来る人が増えた。
「わっ、食堂があったかいー!」
この声はリンさん。
毎日食堂にお昼を食べに来てくれる人で、お城でのお仕事はジムショリなんだって。書類とにらめっこする仕事だよ! って言ってた。
「アシュリー、ミルクコーヒー下さいなー」
「はい、ちょっと待って下さいね」
リンさんはカウンターに腰掛けた。リンさんはいつもカウンターに座る。
人によっては食堂の端に座って、休憩する。
休み方は人それぞれなんだなぁ、って見ていて思う。
「アシュリー、何を煮てるの?」
「豚肉の筋の多い端肉です。食べられるのは明後日になると思います」
「えーっ! 今から煮て食べられるのが明後日?!」
筋のある肉はまるまる一日煮込んで、ようやく食べられるようになる。結構な量で、最初にノエルさんに沸騰まで手伝ってもらったから、僕の火魔法のとろ火でもこうして煮込んでいられる。
「僕は大好きな味なんですけど、みんなの口に合うと嬉しいです」
カウンターと厨房の間の台の上に、ミルクコーヒーを置くと、リンさんの手が伸びてきた。
「リンさん、手が荒れてますね」
季節的に荒れてくる時期だよね。
「そうなのー。紙が手の潤いを奪うんだよー」
調理の仕事も手がカサカサになるけど、紙を扱うお仕事もそうなんだなぁ。
ポケットから、木で作った蓋付きの容器を渡す。
「なぁに? これ」
「中に油を固めたものが入ってます。少しとって、手に伸ばしてみて下さい」
いつも家のことをしていた僕の手が荒れていたから、魔女が教えてくれた、肌荒れの薬。
固まりやすい油に、薬草をすり潰して漉したものを入れてる。
「え、これ、良い匂いだね」
「良い香りのする薬草を入れてあるんです。気にせず渡してしまったんですけど、匂い、大丈夫ですか?」
大丈夫! と笑顔で答えながら、リンさんは手に油を塗り込んでいく。
「ねぇ、アシュリー、お金を払うから、私にもこれ、作ってくれない? これからの季節、すっごい手が荒れて、酷いと時なんて裂けて血が出ちゃうの!」
血が?!
「分かりました。出来たら渡しますね」
「ありがとう!」
ノエルさんの冷たい視線がラズロさんに刺さる。
「アシュリーの話だと、ずっと煮込んでいないといけないんでしょ? ずっと魔法を使い続けるって大変なんだよ? 分かってるの?」
魔法に関してだからなのか、ノエルさんは本気でラズロさんに怒っていた。
「……ずっと煮込まなくちゃいけないなんて思ってなかったんだよ……」
さすがのラズロさんもノエルさんの剣幕に押されて、声が小さくなってる。
「もう食材を買ってしまったのは仕方がないとして、アシュリーが小腹が空いた時に食べれるように、何か買ってきて。今すぐ、ラズロの自腹で」
「わ、分かったよ!」
逃げるようにしてラズロさんは食堂から出て行った。
ノエルさんのため息が深いです。
「まったく、アイツは。馬鹿じゃない筈なんだけど、時折こう言ったズレた事をするんだよね。ごめんね、アシュリー」
「大丈夫です。端肉は一度に使わずに氷室に保管しておきます。リンゴも」
「僕も微調整の練習として手伝っても良い?」
ノエルさんは魔力量が多いから、普通に使っても威力が出てしまう。この前の貝祭りでもそうだったけど、弱めに魔法を放出するのが苦手なんだって。
「ありがとうございます。でも大丈夫ですか? 魔法師団の方のお仕事は忙しくないんですか?」
「終わってから手伝いにくるから大丈夫だよ」
そう言ってノエルさんが頭を撫でてくれた。
ノエルさんは本当に優しい。
端肉を水魔法ですすいで汚れとか血を落として、大鍋に入れていく。
僕の魔力量と要相談ではあるけど、最近寒くなってきたから、煮込み料理をしていると食堂が温まって嬉しい。
最近はコーヒーとか、ミルクコーヒーを飲みに食堂に休憩に来る人が増えた。
「わっ、食堂があったかいー!」
この声はリンさん。
毎日食堂にお昼を食べに来てくれる人で、お城でのお仕事はジムショリなんだって。書類とにらめっこする仕事だよ! って言ってた。
「アシュリー、ミルクコーヒー下さいなー」
「はい、ちょっと待って下さいね」
リンさんはカウンターに腰掛けた。リンさんはいつもカウンターに座る。
人によっては食堂の端に座って、休憩する。
休み方は人それぞれなんだなぁ、って見ていて思う。
「アシュリー、何を煮てるの?」
「豚肉の筋の多い端肉です。食べられるのは明後日になると思います」
「えーっ! 今から煮て食べられるのが明後日?!」
筋のある肉はまるまる一日煮込んで、ようやく食べられるようになる。結構な量で、最初にノエルさんに沸騰まで手伝ってもらったから、僕の火魔法のとろ火でもこうして煮込んでいられる。
「僕は大好きな味なんですけど、みんなの口に合うと嬉しいです」
カウンターと厨房の間の台の上に、ミルクコーヒーを置くと、リンさんの手が伸びてきた。
「リンさん、手が荒れてますね」
季節的に荒れてくる時期だよね。
「そうなのー。紙が手の潤いを奪うんだよー」
調理の仕事も手がカサカサになるけど、紙を扱うお仕事もそうなんだなぁ。
ポケットから、木で作った蓋付きの容器を渡す。
「なぁに? これ」
「中に油を固めたものが入ってます。少しとって、手に伸ばしてみて下さい」
いつも家のことをしていた僕の手が荒れていたから、魔女が教えてくれた、肌荒れの薬。
固まりやすい油に、薬草をすり潰して漉したものを入れてる。
「え、これ、良い匂いだね」
「良い香りのする薬草を入れてあるんです。気にせず渡してしまったんですけど、匂い、大丈夫ですか?」
大丈夫! と笑顔で答えながら、リンさんは手に油を塗り込んでいく。
「ねぇ、アシュリー、お金を払うから、私にもこれ、作ってくれない? これからの季節、すっごい手が荒れて、酷いと時なんて裂けて血が出ちゃうの!」
血が?!
「分かりました。出来たら渡しますね」
「ありがとう!」
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