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第一章 新しい生活の始まり
013-1
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ラズロさんと買い出し。
端肉のペーストも美味しいけど、きのこのペーストも美味しいので、買いたいな。
季節としては終わりに差し掛かってるから、安く大量に仕入れたりしないかな。
「そのペーストって奴を食べてみたい。端肉以外では作れねぇのか?」
「きのこのペーストも作りたいなって思ってるんです。今なら安いかなって思うんですけど、どうですか?」
「値下がり始める頃だな」
決まりだな、とラズロさんは頷いて、野菜を扱ってるお店が並ぶ方に足を向ける。
「おぅ、ラズロ! 今日は何が入り用だい?」
威勢の良いおじさんがラズロさんに話しかける。
「きのこだな」
「ちぃっと季節を外してるが、良いのか?」
ちら、とラズロさんがこちらに視線を向けるので、頷いた。
「大丈夫だ」
「今持ってくるから、待ってろ」
おじさんは奥に引っ込み、カゴいっぱいのきのこを持って戻って来た。
「きのこで何やんだ? 焼くのか?」
「作るのはオレじゃねぇからな」
ラズロさんが僕を見るので、おじさんも僕を見た。
「デボラが言ってたアシュリーか?」
「そうだ」
ラズロさんの大きな手が僕の頭にのる。
「まだちっせぇのに、立派な料理人だ。これからよろしくな。アシュリー、このゴツいのはサイモンだ」
サイモンと呼ばれたおじさんにお辞儀する。
「アシュリーです、よろしくお願いします」
よろしくな、と言ってサイモンさんはにかっと笑った。
「デボラの言う通り、随分良い子じゃねぇか」
「おぅよ。騙したりしたら許さねぇからな」
「そんな事しねぇよ。
アシュリー、コレをどうするつもりなんだ?」
「油で煮て潰して、ペーストにします」
「味付けは?」
塩です、と答えると、ラズロさんがしけた胡椒も入れとけ、と言った、あ、それ美味しそう。
「塩気が欲しいなら、コレ、持ってってくれねぇか?」
サイモンさんが指差した先には、僕の頭ぐらいの大きさはある壺が置いてあった。
「デボラが置いてったんだけどよ、イワシを塩と油に漬けた奴なんだけどよ。塩気が強過ぎて食うのが大変だっつーのに、デボラの奴、イワシが悪くなりそうになるたびに作って持ってきやがるから、減らねえんだよ」
塩で味付けしたイワシ? が油に漬かってるもの?
「あぁ、アレな。分かった。もらってくわ」
「無くなったら言ってくれ、まだあるからよ」
……いっぱいもらったんだね、サイモンさん。
前回の時といい、デボラさんはなかなか推しの強い人なんだなって分かった。
きのことイワシの塩漬けが手に入ったけど、生の野菜が食べたいなぁ。
「サイモンさん、ニンジンはありますか?」
「あるぜ、冬ニンジンが」
サイモンさんが親指で差した方にニンジンが山盛りになっていた。
「ニンジン? 何すんだ?」
「ニンジンの酢漬けを作りたいんです。塩と油と酢を入れて作るんですけど、冬場は野菜が足りなくなるので、酢漬けにして日持ちさせるんです」
ニンジンの側にカラシナが束になっておいてあった。
「あ、カラシナも欲しいです」
「好きなだけ持ってっていいぞ。借金のカタに置いてかれたんだけどよ、どう扱って良いか分からなくて参ってたんだ」
サイモンさんにお礼を言ってお城に戻る。
帰り道、カラシナの使い道をラズロさんが聞いてきた。
「アレをどうすんだ?」
「粒マスタードを作ります。ちょっと手間がかかりますけど、色んな料理に使えるんです」
「粒マスタード?」
王都では食べないのかな?
村では川の土手なんかに群生するカラシナの実から、粒マスタードを作ってた。
ちょっと時間がかかるから、今回の酢漬けには使えないだろうけど、美味しいから作っておきたい。
「腸詰に付けると、酸味と辛みで腸詰の味がひきしまって、美味しいんですよ
「是非やろう。手伝うぜ」
端肉のペーストも美味しいけど、きのこのペーストも美味しいので、買いたいな。
季節としては終わりに差し掛かってるから、安く大量に仕入れたりしないかな。
「そのペーストって奴を食べてみたい。端肉以外では作れねぇのか?」
「きのこのペーストも作りたいなって思ってるんです。今なら安いかなって思うんですけど、どうですか?」
「値下がり始める頃だな」
決まりだな、とラズロさんは頷いて、野菜を扱ってるお店が並ぶ方に足を向ける。
「おぅ、ラズロ! 今日は何が入り用だい?」
威勢の良いおじさんがラズロさんに話しかける。
「きのこだな」
「ちぃっと季節を外してるが、良いのか?」
ちら、とラズロさんがこちらに視線を向けるので、頷いた。
「大丈夫だ」
「今持ってくるから、待ってろ」
おじさんは奥に引っ込み、カゴいっぱいのきのこを持って戻って来た。
「きのこで何やんだ? 焼くのか?」
「作るのはオレじゃねぇからな」
ラズロさんが僕を見るので、おじさんも僕を見た。
「デボラが言ってたアシュリーか?」
「そうだ」
ラズロさんの大きな手が僕の頭にのる。
「まだちっせぇのに、立派な料理人だ。これからよろしくな。アシュリー、このゴツいのはサイモンだ」
サイモンと呼ばれたおじさんにお辞儀する。
「アシュリーです、よろしくお願いします」
よろしくな、と言ってサイモンさんはにかっと笑った。
「デボラの言う通り、随分良い子じゃねぇか」
「おぅよ。騙したりしたら許さねぇからな」
「そんな事しねぇよ。
アシュリー、コレをどうするつもりなんだ?」
「油で煮て潰して、ペーストにします」
「味付けは?」
塩です、と答えると、ラズロさんがしけた胡椒も入れとけ、と言った、あ、それ美味しそう。
「塩気が欲しいなら、コレ、持ってってくれねぇか?」
サイモンさんが指差した先には、僕の頭ぐらいの大きさはある壺が置いてあった。
「デボラが置いてったんだけどよ、イワシを塩と油に漬けた奴なんだけどよ。塩気が強過ぎて食うのが大変だっつーのに、デボラの奴、イワシが悪くなりそうになるたびに作って持ってきやがるから、減らねえんだよ」
塩で味付けしたイワシ? が油に漬かってるもの?
「あぁ、アレな。分かった。もらってくわ」
「無くなったら言ってくれ、まだあるからよ」
……いっぱいもらったんだね、サイモンさん。
前回の時といい、デボラさんはなかなか推しの強い人なんだなって分かった。
きのことイワシの塩漬けが手に入ったけど、生の野菜が食べたいなぁ。
「サイモンさん、ニンジンはありますか?」
「あるぜ、冬ニンジンが」
サイモンさんが親指で差した方にニンジンが山盛りになっていた。
「ニンジン? 何すんだ?」
「ニンジンの酢漬けを作りたいんです。塩と油と酢を入れて作るんですけど、冬場は野菜が足りなくなるので、酢漬けにして日持ちさせるんです」
ニンジンの側にカラシナが束になっておいてあった。
「あ、カラシナも欲しいです」
「好きなだけ持ってっていいぞ。借金のカタに置いてかれたんだけどよ、どう扱って良いか分からなくて参ってたんだ」
サイモンさんにお礼を言ってお城に戻る。
帰り道、カラシナの使い道をラズロさんが聞いてきた。
「アレをどうすんだ?」
「粒マスタードを作ります。ちょっと手間がかかりますけど、色んな料理に使えるんです」
「粒マスタード?」
王都では食べないのかな?
村では川の土手なんかに群生するカラシナの実から、粒マスタードを作ってた。
ちょっと時間がかかるから、今回の酢漬けには使えないだろうけど、美味しいから作っておきたい。
「腸詰に付けると、酸味と辛みで腸詰の味がひきしまって、美味しいんですよ
「是非やろう。手伝うぜ」
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