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第一章 新しい生活の始まり
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中に入ると、すごい熱気だった。
あちこちで何かを焼いている音がして、匂いが混じっている。でも不思議と嫌な匂いじゃない。むしろ良い匂いでおなかが刺激される。
しかも人がいっぱいいる! 外は全然人通りがないのに。
お店はギルド内の壁を背にするようにして並んでいて、真ん中にはいくつもの席が用意されている。もしかして、座って食べれるようにかな?
あちこちからワハハハハハ、という笑い声がする。楽しそうな雰囲気と室内の暖かさと良い匂いに、僕のおなかがぐぅ、と鳴った。
「準備万端だな!」
ラズロさんが笑った。ちょっと恥ずかしい。
顔の広いラズロさんと歩いていると、あちこちから声をかけられる。
「おぅ、ラズロ。肉どうだ、肉」
「美味そうだな、二つくれ」
「まいどっ」
店員さんが串に刺さった肉をラズロさんに渡した。1本をもらう。
「アシュリーは直ぐに腹がいっぱいになっちまうからな、半分食ったら残りはフルールにくれてやれ」
それは、と思ったけど、フルールが鼻をひくひくさせて見上げているのを見たら、反対出来なかった。ラズロさんの大きな手が僕の頭をぽんぽん、と軽く叩く。
「色んな美味いモンを食うのも、料理人には大事だぞ。さ、熱いうちに食え」
「はい、ラズロさん」
串に刺さった肉に噛り付く。口の中に肉汁が広がる。柔らかい肉を二つ食べたところでフルールに渡す。もっと食べたいけど、最初から沢山食べると、ラズロさんが言うようにすぐおなかがいっぱいになっちゃうから、我慢。
いつものようにフルールは串ごとポリポリと食べ始め、肉を頬張る。草食のウサギが肉を食べてるのはちょっと不思議な感じ。フルールの頰が肉で膨れて、可愛い。
ペロリと平らげたフルールにラズロさんが自分の食べ終えた串を渡すと、それも美味しそうな音をさせて食べる。
「美味そうに食うから、食べ終えた串を渡してんのに、良い事をした気持ちになるよな」
ラズロさんの言葉に笑ってしまうけど、フルールを見てると本当そう思う。
「肉を食ったから、次は違うもんが良いな」
お店を見回すラズロさん。
「次はアレだ」
見たことのない食べ物を器によそってる。細長い糸みたいなのが沢山。
「アシュリーは麺は初めてか?」
「メン?」
「サキナ国ではよく食べられているものなんだがな、粉をまとめて細長く切ったものだ。乾燥させれば保存も効く。具も沢山必要としないからな、冬でもこうして食えるし、汁があるから温まるしな、冬に人気の料理だ」
そう言ってラズロさんは二つ頼んでくれた。
渡されたのは木の器に入った料理と、フォーク。
「これはフルールには食わせにくいかもな。器は返却するから」
確かに毎回木の器を捨てるのは無駄だもんね。
ちょうど空いた椅子に腰かけ、ラズロさんに倣って食べ始める。
フォークで持ち上げようとすると、つるりと滑って器の中に落ちてしまう。
上手く持ち上げられない僕を見てラズロさんが笑う。
「こうやんだよ、アシュリー」
ラズロさんはフォークをメンに刺し、くるくると器の中で回転させた。持ち上げたフォークにはメンが絡まっていた。
なるほど、あぁやるのか。
同じようにフォークを何度か回転させるうちに、メンをフォークに絡ませることが出来て、口に入れられた。
つるんとして、沢山かまなくても飲み込めた。
メンに味がしみてるのか、美味しい。
「汁も美味いぞ」
スープをひと口飲む。透明なのに、魚の味がした。しかも魚の臭みもしない。凄い!
魚のスープなんて初めて飲んだ!
「とっても美味しいです!」
「メンは他にも色々あるんだってよ。ここじゃこの味が一般的だけどな」
「へぇーっ!」
メンをじっと見る。
これ、僕も作れるかな?
「いつかな」
僕の考えてることが分かったみたいで、ラズロさんは頭を撫でてくれた。
あちこちで何かを焼いている音がして、匂いが混じっている。でも不思議と嫌な匂いじゃない。むしろ良い匂いでおなかが刺激される。
しかも人がいっぱいいる! 外は全然人通りがないのに。
お店はギルド内の壁を背にするようにして並んでいて、真ん中にはいくつもの席が用意されている。もしかして、座って食べれるようにかな?
あちこちからワハハハハハ、という笑い声がする。楽しそうな雰囲気と室内の暖かさと良い匂いに、僕のおなかがぐぅ、と鳴った。
「準備万端だな!」
ラズロさんが笑った。ちょっと恥ずかしい。
顔の広いラズロさんと歩いていると、あちこちから声をかけられる。
「おぅ、ラズロ。肉どうだ、肉」
「美味そうだな、二つくれ」
「まいどっ」
店員さんが串に刺さった肉をラズロさんに渡した。1本をもらう。
「アシュリーは直ぐに腹がいっぱいになっちまうからな、半分食ったら残りはフルールにくれてやれ」
それは、と思ったけど、フルールが鼻をひくひくさせて見上げているのを見たら、反対出来なかった。ラズロさんの大きな手が僕の頭をぽんぽん、と軽く叩く。
「色んな美味いモンを食うのも、料理人には大事だぞ。さ、熱いうちに食え」
「はい、ラズロさん」
串に刺さった肉に噛り付く。口の中に肉汁が広がる。柔らかい肉を二つ食べたところでフルールに渡す。もっと食べたいけど、最初から沢山食べると、ラズロさんが言うようにすぐおなかがいっぱいになっちゃうから、我慢。
いつものようにフルールは串ごとポリポリと食べ始め、肉を頬張る。草食のウサギが肉を食べてるのはちょっと不思議な感じ。フルールの頰が肉で膨れて、可愛い。
ペロリと平らげたフルールにラズロさんが自分の食べ終えた串を渡すと、それも美味しそうな音をさせて食べる。
「美味そうに食うから、食べ終えた串を渡してんのに、良い事をした気持ちになるよな」
ラズロさんの言葉に笑ってしまうけど、フルールを見てると本当そう思う。
「肉を食ったから、次は違うもんが良いな」
お店を見回すラズロさん。
「次はアレだ」
見たことのない食べ物を器によそってる。細長い糸みたいなのが沢山。
「アシュリーは麺は初めてか?」
「メン?」
「サキナ国ではよく食べられているものなんだがな、粉をまとめて細長く切ったものだ。乾燥させれば保存も効く。具も沢山必要としないからな、冬でもこうして食えるし、汁があるから温まるしな、冬に人気の料理だ」
そう言ってラズロさんは二つ頼んでくれた。
渡されたのは木の器に入った料理と、フォーク。
「これはフルールには食わせにくいかもな。器は返却するから」
確かに毎回木の器を捨てるのは無駄だもんね。
ちょうど空いた椅子に腰かけ、ラズロさんに倣って食べ始める。
フォークで持ち上げようとすると、つるりと滑って器の中に落ちてしまう。
上手く持ち上げられない僕を見てラズロさんが笑う。
「こうやんだよ、アシュリー」
ラズロさんはフォークをメンに刺し、くるくると器の中で回転させた。持ち上げたフォークにはメンが絡まっていた。
なるほど、あぁやるのか。
同じようにフォークを何度か回転させるうちに、メンをフォークに絡ませることが出来て、口に入れられた。
つるんとして、沢山かまなくても飲み込めた。
メンに味がしみてるのか、美味しい。
「汁も美味いぞ」
スープをひと口飲む。透明なのに、魚の味がした。しかも魚の臭みもしない。凄い!
魚のスープなんて初めて飲んだ!
「とっても美味しいです!」
「メンは他にも色々あるんだってよ。ここじゃこの味が一般的だけどな」
「へぇーっ!」
メンをじっと見る。
これ、僕も作れるかな?
「いつかな」
僕の考えてることが分かったみたいで、ラズロさんは頭を撫でてくれた。
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