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第二章 マレビト
023-4
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ナインさんに座ってもらって、受け取ってまだ口を付けてなかったミルクたっぷり珈琲をナインさんの前に置く。
「それで、ナイン。
ダンジョンメーカーについて話す、と言うのはどう言う事?」
優しい声で、ゆっくりとノエルさんが尋ねる。
「……クロウリー」
ティール様の眉間に皺が寄る。
「…………クロウリーだった」
「え?」
「僕、クロウリーだった」
ノエルさんが笑顔のまま固まる。
「ごめん、ナイン、もう一度言って?」
「僕の、前世、クロウリーだった」
今度こそノエルさんとティール様が完全に固まった。
魔術師とダンジョンメーカーのスキルを持っていた、色々やらかしてしまったクロウリーという人物の記憶を、ナインさんは持っていると言う。
「クロウリーの記憶はいつからあるの?」
「スキル、分かった時」
と、言う事は結構前に記憶を取り戻して?いるんだね。
「その……思い出してから、影響はあった? 性格が変わったって言われたとか……」
歯切れの悪いノエルさん。
でも、無理もないのかな……。
ダンジョンメーカーのスキルを持っているからと、僕を王都に連れて来たんだし。それはクロウリーさんがした事がとんでもない事だったからで。
そんな人の記憶を持ってると言われて、動揺しない訳がないよね……。
僕には聞かせてもらえなかったけど、ノエルさんとティールさんは、ナインさんが本当にクロウリーさんの記憶を持っているのか、確かめる為の質問を何個もした、みたい。質問の結果、ナインさんの中には誰かの記憶があって、どうもクロウリーさんの可能性が高い、と思ったみたいだった。
ナインさんは一瞬考えて、首を横に傾けた。
「記憶ある、けど、いつもいつも頭の中、いっぱいじゃない」
ナインさんの言葉にノエルさんはホッとしていた。
「ごめん、なさい、さっき、言えなかった」
俯くナインさんの頭をノエルさんが撫でて、ティール様が肩を撫でた。
「言えないわな、そんなん」
それは、何となく分かる。でも、言わない訳にはいかないんだろうな。ただ、言うのって凄い勇気が必要だったと思う。
「ナイン、教えてくれてありがとう。
あのね、トキア様にも、教えていいかな?」
ノエルさんの質問にナインさんは頷いた。
「とりあえず、今日は休もう。医術室まで送るから」
ティール様とノエルさんがナインさんを挟むようにして食堂を出て行った。
「小難しい事になってんなぁ」
盛大なため息を吐きながらラズロさんが言った。
同感です。
「ナインさん、大丈夫でしょうか」
「ナイン次第だろ。記憶が記憶だけなら良いけどな、性格にまで影響が出るとか、その記憶の所為で捻じ曲がるとか、色々考えられるからな」
「スキルを与えられてから結構経ってますよ?」
だから大丈夫なんじゃないかと思うんだけど。
「まぁな。でも、アシュリーも言ってたろうよ。村を出たら以前とは別人と思え、みたいな事」
確かに言ったけど、それは悪い環境に置かれたからで……。
「人ってのは難しいからな。恵まれた環境にいたって捻くれる奴は捻くれる。人は言う程単純じゃねぇよ」
なんとなく分かる。
馬鹿な僕は、恵まれていたのに、与えられたスキルが全部中途半端で、辛くなったもの。
一つでも良いからちゃんと誇れるスキルが欲しかった、って思ってしまった。
今は、どのスキルも気に入ってるし、同じスキルを持ってますと言うのが申し訳なくなる事はあっても、前のような気持ちにはならなくなってきた。
料理は好きだし、テイマーのスキルがあるからコッコやネロ、フルールにメルと一緒にいられる訳だし。
魔法は強すぎないから日常生活で使いやすくて、とても便利だし。
ダンジョンメーカーのスキルは使い方が分からないから、なんとも言えないけど、このスキルがあったから、家族とは離れ離れになっちゃったけど、ノエルさん達とも会えたし。
悪い事ばっかりじゃなくって。
勿論、僕が運が良かったのは分かってるんだけど。
ほんのちょっとの事で、人の気持ちは変わるんだ、って言うラズロさんの言葉の意味、理解出来る。
ナインさんの持つ記憶が、ナインさんのこれからに悪い影響を及ぼさないで欲しい。
「それで、ナイン。
ダンジョンメーカーについて話す、と言うのはどう言う事?」
優しい声で、ゆっくりとノエルさんが尋ねる。
「……クロウリー」
ティール様の眉間に皺が寄る。
「…………クロウリーだった」
「え?」
「僕、クロウリーだった」
ノエルさんが笑顔のまま固まる。
「ごめん、ナイン、もう一度言って?」
「僕の、前世、クロウリーだった」
今度こそノエルさんとティール様が完全に固まった。
魔術師とダンジョンメーカーのスキルを持っていた、色々やらかしてしまったクロウリーという人物の記憶を、ナインさんは持っていると言う。
「クロウリーの記憶はいつからあるの?」
「スキル、分かった時」
と、言う事は結構前に記憶を取り戻して?いるんだね。
「その……思い出してから、影響はあった? 性格が変わったって言われたとか……」
歯切れの悪いノエルさん。
でも、無理もないのかな……。
ダンジョンメーカーのスキルを持っているからと、僕を王都に連れて来たんだし。それはクロウリーさんがした事がとんでもない事だったからで。
そんな人の記憶を持ってると言われて、動揺しない訳がないよね……。
僕には聞かせてもらえなかったけど、ノエルさんとティールさんは、ナインさんが本当にクロウリーさんの記憶を持っているのか、確かめる為の質問を何個もした、みたい。質問の結果、ナインさんの中には誰かの記憶があって、どうもクロウリーさんの可能性が高い、と思ったみたいだった。
ナインさんは一瞬考えて、首を横に傾けた。
「記憶ある、けど、いつもいつも頭の中、いっぱいじゃない」
ナインさんの言葉にノエルさんはホッとしていた。
「ごめん、なさい、さっき、言えなかった」
俯くナインさんの頭をノエルさんが撫でて、ティール様が肩を撫でた。
「言えないわな、そんなん」
それは、何となく分かる。でも、言わない訳にはいかないんだろうな。ただ、言うのって凄い勇気が必要だったと思う。
「ナイン、教えてくれてありがとう。
あのね、トキア様にも、教えていいかな?」
ノエルさんの質問にナインさんは頷いた。
「とりあえず、今日は休もう。医術室まで送るから」
ティール様とノエルさんがナインさんを挟むようにして食堂を出て行った。
「小難しい事になってんなぁ」
盛大なため息を吐きながらラズロさんが言った。
同感です。
「ナインさん、大丈夫でしょうか」
「ナイン次第だろ。記憶が記憶だけなら良いけどな、性格にまで影響が出るとか、その記憶の所為で捻じ曲がるとか、色々考えられるからな」
「スキルを与えられてから結構経ってますよ?」
だから大丈夫なんじゃないかと思うんだけど。
「まぁな。でも、アシュリーも言ってたろうよ。村を出たら以前とは別人と思え、みたいな事」
確かに言ったけど、それは悪い環境に置かれたからで……。
「人ってのは難しいからな。恵まれた環境にいたって捻くれる奴は捻くれる。人は言う程単純じゃねぇよ」
なんとなく分かる。
馬鹿な僕は、恵まれていたのに、与えられたスキルが全部中途半端で、辛くなったもの。
一つでも良いからちゃんと誇れるスキルが欲しかった、って思ってしまった。
今は、どのスキルも気に入ってるし、同じスキルを持ってますと言うのが申し訳なくなる事はあっても、前のような気持ちにはならなくなってきた。
料理は好きだし、テイマーのスキルがあるからコッコやネロ、フルールにメルと一緒にいられる訳だし。
魔法は強すぎないから日常生活で使いやすくて、とても便利だし。
ダンジョンメーカーのスキルは使い方が分からないから、なんとも言えないけど、このスキルがあったから、家族とは離れ離れになっちゃったけど、ノエルさん達とも会えたし。
悪い事ばっかりじゃなくって。
勿論、僕が運が良かったのは分かってるんだけど。
ほんのちょっとの事で、人の気持ちは変わるんだ、って言うラズロさんの言葉の意味、理解出来る。
ナインさんの持つ記憶が、ナインさんのこれからに悪い影響を及ぼさないで欲しい。
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