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第二章 マレビト
024-5
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薄く、四角く伸ばした生地の上にまた打ち粉をする。そんなに粉だらけにしちゃって大丈夫なのかなぁ?
と、不安に思っていた僕の考えが分かったのか、ラズロさんが言った。
「打ち粉は多くなって大丈夫だからな。ここでちゃんと打ち粉をしないで、生地同士がくっつく方が駄目だ」
「そうなんですね。分かってないから、粉だらけで不安になります」
ラズロさんはまぁな、と笑うと、生地を半分にたたんで、重なった上の部分だけまた、手前にたたんだ。それから生地を上下ひっくり返して、重なっていない部分をたたむ。
「蛇腹折りだな。こんなにたたまねぇけど、アシュリーはこれぐらいたたんでもいいぞ」
「どうしてたたむんですか?」
「包丁で切るからな、伸ばしたままだとまっすぐに切りにくいだろう」
包丁で切る。
ラズロさんは包丁を取り出すと、生地の端を細く切った。凄い細い。
「この後に膨らむからな、細くて大丈夫だぞ。指を切らないように気を付けろよ」
そう言って、生地を全部細切りしていく。
切り終えてから、生地を持ち上げて見せてくれた。店で食べたのと同じように、細くて長い生地になっていた。
そうか、太さを同じにする為にたたんでから切るんだ。
「アシュリー、鍋に湯をはってくれ」
言われた通りに鍋にたっぷりの湯を入れる。
「もっと熱い方が良い。茹でるからな。それと、こっちの鍋にも湯をはってくれ。豚肉とネギを茹でるからな」
説明しながら、ラズロさんは豚肉を薄く薄く切っていく。僕はやると厚くなっちゃうんだよね。そっと、撫でるようにラズロさんが包丁をすべらせると、豚肉の薄切りが出来ていく。何度見ても凄い。
その間に言われた通り、ネギを適当に切る。大きめに切って、広げて茹でると言われた。
沸かした湯でまず、ネギを茹でて、鍋から出しておく。今度は豚肉を茹でる。薄切りだから肉もすぐに茹で上がった。
豚肉のアクを捨てて、残った湯は豚肉の油が浮いている。そこに塩を入れるラズロさん。
「これにはな、ネギと肉の旨味が入ってるからそのまま使うんだぞ」
ふむふむ。
味見をして、足りない味を追加する。
「さて、麺を茹でるか」
ぐらぐらと沸騰してる湯の中に、細切りにした生地を放り込むと、調理用の大きなフォークでぐるぐるとかき回す。
器を二つ用意して、茹で上がった生地──麺だけを掬い上げて、器に入れると、取っておいた豚肉とネギをのせ、さっき作ったスープを上からかけた。
ギルドの店で食べた麺が出来た! こんな風に作るんだ!
「よし、完成だ!」
良い匂い! 美味しそう!
食べる用のフォークを取り出す。
「良い匂いがする」
食堂の入り口にノエルさんとナインさんが立っていた。
「ノエルさん! ナインさん!」
久しぶりに見るナインさんは、前と全然変わってなくて、なんだか安心した。
「おまえら、分かってて来てるんじゃねぇだろうな?」
呆れたように言うと、ラズロさんは出来上がったばかりの麺をノエルさんとナインさんに渡すと、残っていた麺を湯の中に入れて茹で始めた。人数より多いなと思っていたけど、使い切りだ。
「分かってたらもっと早くに来てるよ。
ギルドでしか食べられない麺が食べられるなんて思わなかった。さ、ナイン、食べよう」
「でも、アシュリーとラズロさんの、まだ作ってる」
ラズロさんが手をひらひらとさせて、気にすんな、と答えた。
「麺はとっとと食わねえと伸びるぞ」
「のびる?」
僕も最初、意味が分からなかったんだけど、初めて食べた時、どんどん麺が太くなっていって、スープが減っていって、伸びる、っていうのを知ったんだよね。
「そうそう。ナイン、熱いけど、早く食べないと伸びるからね」
ノエルさんが食べ始める。真似してナインさんも食べ始めるものの、初めて食べる麺をフォークに絡めにくいみたいで、四苦八苦していた。
でも、口に入れた麺は美味しかったみたいで、目をキラキラさせていたから、ラズロさんが笑顔になってた。
自分の作ったものを美味しそうに食べてもらえると、本当に嬉しくなるんだよね。
「おし、オレ達のも出来たから食べようぜ」
慌てて器とフォークを用意して、僕達も麺を食べた。
つるりとした食感が美味しい。
麺を食べているナインさんと目が合った。
僕が笑いかけると、ナインさんがちょっと照れたように、口をぎゅっと閉じた。
ノエルさんとここに来たって事は、きっともう、大丈夫だって事なんだと思う。
……良かった。
やっと奴隷じゃなくなったのに、前世の記憶でまた、ナインさんが辛い思いをする事にならなくて。
ラズロさんの手が僕の頭を撫でて、ナインさんの頭も撫でた。
「?」
きょとんとしてるナインさんの頭を今度はノエルさんも撫でて、僕の頭も撫でてくれた。
「いっぱい食えよ」
ラズロさんの目が、優しく細められて、ナインさんが戻って来た事を、ラズロさんも喜んでるのが分かって、上手く言えないんだけど、嬉しくなった。
良かった、って思う。
と、不安に思っていた僕の考えが分かったのか、ラズロさんが言った。
「打ち粉は多くなって大丈夫だからな。ここでちゃんと打ち粉をしないで、生地同士がくっつく方が駄目だ」
「そうなんですね。分かってないから、粉だらけで不安になります」
ラズロさんはまぁな、と笑うと、生地を半分にたたんで、重なった上の部分だけまた、手前にたたんだ。それから生地を上下ひっくり返して、重なっていない部分をたたむ。
「蛇腹折りだな。こんなにたたまねぇけど、アシュリーはこれぐらいたたんでもいいぞ」
「どうしてたたむんですか?」
「包丁で切るからな、伸ばしたままだとまっすぐに切りにくいだろう」
包丁で切る。
ラズロさんは包丁を取り出すと、生地の端を細く切った。凄い細い。
「この後に膨らむからな、細くて大丈夫だぞ。指を切らないように気を付けろよ」
そう言って、生地を全部細切りしていく。
切り終えてから、生地を持ち上げて見せてくれた。店で食べたのと同じように、細くて長い生地になっていた。
そうか、太さを同じにする為にたたんでから切るんだ。
「アシュリー、鍋に湯をはってくれ」
言われた通りに鍋にたっぷりの湯を入れる。
「もっと熱い方が良い。茹でるからな。それと、こっちの鍋にも湯をはってくれ。豚肉とネギを茹でるからな」
説明しながら、ラズロさんは豚肉を薄く薄く切っていく。僕はやると厚くなっちゃうんだよね。そっと、撫でるようにラズロさんが包丁をすべらせると、豚肉の薄切りが出来ていく。何度見ても凄い。
その間に言われた通り、ネギを適当に切る。大きめに切って、広げて茹でると言われた。
沸かした湯でまず、ネギを茹でて、鍋から出しておく。今度は豚肉を茹でる。薄切りだから肉もすぐに茹で上がった。
豚肉のアクを捨てて、残った湯は豚肉の油が浮いている。そこに塩を入れるラズロさん。
「これにはな、ネギと肉の旨味が入ってるからそのまま使うんだぞ」
ふむふむ。
味見をして、足りない味を追加する。
「さて、麺を茹でるか」
ぐらぐらと沸騰してる湯の中に、細切りにした生地を放り込むと、調理用の大きなフォークでぐるぐるとかき回す。
器を二つ用意して、茹で上がった生地──麺だけを掬い上げて、器に入れると、取っておいた豚肉とネギをのせ、さっき作ったスープを上からかけた。
ギルドの店で食べた麺が出来た! こんな風に作るんだ!
「よし、完成だ!」
良い匂い! 美味しそう!
食べる用のフォークを取り出す。
「良い匂いがする」
食堂の入り口にノエルさんとナインさんが立っていた。
「ノエルさん! ナインさん!」
久しぶりに見るナインさんは、前と全然変わってなくて、なんだか安心した。
「おまえら、分かってて来てるんじゃねぇだろうな?」
呆れたように言うと、ラズロさんは出来上がったばかりの麺をノエルさんとナインさんに渡すと、残っていた麺を湯の中に入れて茹で始めた。人数より多いなと思っていたけど、使い切りだ。
「分かってたらもっと早くに来てるよ。
ギルドでしか食べられない麺が食べられるなんて思わなかった。さ、ナイン、食べよう」
「でも、アシュリーとラズロさんの、まだ作ってる」
ラズロさんが手をひらひらとさせて、気にすんな、と答えた。
「麺はとっとと食わねえと伸びるぞ」
「のびる?」
僕も最初、意味が分からなかったんだけど、初めて食べた時、どんどん麺が太くなっていって、スープが減っていって、伸びる、っていうのを知ったんだよね。
「そうそう。ナイン、熱いけど、早く食べないと伸びるからね」
ノエルさんが食べ始める。真似してナインさんも食べ始めるものの、初めて食べる麺をフォークに絡めにくいみたいで、四苦八苦していた。
でも、口に入れた麺は美味しかったみたいで、目をキラキラさせていたから、ラズロさんが笑顔になってた。
自分の作ったものを美味しそうに食べてもらえると、本当に嬉しくなるんだよね。
「おし、オレ達のも出来たから食べようぜ」
慌てて器とフォークを用意して、僕達も麺を食べた。
つるりとした食感が美味しい。
麺を食べているナインさんと目が合った。
僕が笑いかけると、ナインさんがちょっと照れたように、口をぎゅっと閉じた。
ノエルさんとここに来たって事は、きっともう、大丈夫だって事なんだと思う。
……良かった。
やっと奴隷じゃなくなったのに、前世の記憶でまた、ナインさんが辛い思いをする事にならなくて。
ラズロさんの手が僕の頭を撫でて、ナインさんの頭も撫でた。
「?」
きょとんとしてるナインさんの頭を今度はノエルさんも撫でて、僕の頭も撫でてくれた。
「いっぱい食えよ」
ラズロさんの目が、優しく細められて、ナインさんが戻って来た事を、ラズロさんも喜んでるのが分かって、上手く言えないんだけど、嬉しくなった。
良かった、って思う。
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