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第二章 マレビト
024-4
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城に戻ると、ラズロさんはボウルを二つ取り出した。
片方にさっき買ってきたばかりの粉を入れる。もう片方に塩を少し入れる。
「アシュリー、この中に、そうだな、このへんまで水を入れてくれ」
ラズロさんが指を指しているあたりまで、ボウルに水を注いでいく。
「アシュリーの魔法は本当に便利だよなぁ」
しみじみとそう言うと、水と塩をスプーンでかき混ぜ、塩を溶かしていく。
「粉と水を混ぜるんだけどな、全部入れるとダマになるからな、半分より少し多めに入れて、かき混ぜる」
粉の上に水を注いでかき混ぜる。水を多く含んだ部分と、粉が残っている部分に分かれる。それを繰り返し混ぜているうちに、少しずつ粉っぽさが減っていく。スプーンを止めて、両手で粉を挟んで、擦ってダマを潰していく。
それを繰り返し繰り返し行っているうちに、粉っぽさとダマの部分が減っていく。そこに残りの水を加えてかき混ぜる。生地がボウルの中でひとまとまりになったのを、上から押して潰す。まとめる、また上から押して潰す。
何回か繰り返した後、生地を台の上にのせ、また上から押してのばす。まとめてからのばす。繰り返すうちに、ひびが入ってまとまりきらなかった生地の粉っぽさが完全になくなって、生地が全体的に同じ色になってきた。
「こんなもんだろ」
それを両手で一つに丸めると、ボウルを上からかぶせた。
パンを作るのと同じ工程だけど、パンと違って膨らませる為の種は入れないんだね。簡単パンみたいな感じなのかな。
「さてと、茶でも飲むか」
「あ、じゃあ、僕が入れますね。見てるだけだったので、ラズロさん休んでて下さい」
「おぅ、お言葉に甘えるわ」
手を洗ってからカウンターに腰かけたラズロさんに、コーヒーを淹れる。
「パン作りに似てますね」
「そうだな。パン程時間はかからねぇけどな」
「膨らませないんですね」
「この後、もう一度まとめ直して寝かせるぐらいしかしねぇな。パンよりよっぽど時間はかからねぇんだがな、水を大量に使うんだよ」
なるほど。
この後、水を使うのかな?
お茶を飲んでひと休みした後、ラズロさんはまた、生地をまとめ直して、また寝かせた。
「茶を飲みたいからじゃねぇぞ? ちゃんと生地のすみずみまで水が行き渡るのを待ってんだからな?」
疑ってないのに、わざわざ説明するラズロさんに、笑って頷く。
出来上がったという生地は、最初よりも生地の色が白くなり、つやつやとしてる。触って確認しろと言われたので、触る。押した指の跡が、少し残るぐらい。
「こねるのを多くすれば固めの麺になるし、こねが足りなければぼろぼろに崩れちまうからな、よく覚えておけよ」
「はい、分かりました」
「久々に使うなぁ」と言ってラズロさんが取り出したのは麺棒。
台の上にささっと粉をふる。麺棒にも粉をふって、生地がくっつかないように準備をしたら、丸まった生地を台にのせた。
生地を麺棒で伸ばしていく。縦に伸ばし、生地の向きを変えてまた伸ばして。キレイな四角になっていく。
「わーっ、ラズロさん、上手ですね! 僕、いつも歪になっちゃうんです」
「生地の最後まで伸ばしてると歪になるぞ。程々に伸ばして、向きを変えて伸ばしてをやってれば、四角く伸ばせる筈だ」
「あ、なるほど! 僕、いつも最後まで伸ばしちゃってました!」
そっか、伸ばし切らなくていいんだ!
知らなかった!
片方にさっき買ってきたばかりの粉を入れる。もう片方に塩を少し入れる。
「アシュリー、この中に、そうだな、このへんまで水を入れてくれ」
ラズロさんが指を指しているあたりまで、ボウルに水を注いでいく。
「アシュリーの魔法は本当に便利だよなぁ」
しみじみとそう言うと、水と塩をスプーンでかき混ぜ、塩を溶かしていく。
「粉と水を混ぜるんだけどな、全部入れるとダマになるからな、半分より少し多めに入れて、かき混ぜる」
粉の上に水を注いでかき混ぜる。水を多く含んだ部分と、粉が残っている部分に分かれる。それを繰り返し混ぜているうちに、少しずつ粉っぽさが減っていく。スプーンを止めて、両手で粉を挟んで、擦ってダマを潰していく。
それを繰り返し繰り返し行っているうちに、粉っぽさとダマの部分が減っていく。そこに残りの水を加えてかき混ぜる。生地がボウルの中でひとまとまりになったのを、上から押して潰す。まとめる、また上から押して潰す。
何回か繰り返した後、生地を台の上にのせ、また上から押してのばす。まとめてからのばす。繰り返すうちに、ひびが入ってまとまりきらなかった生地の粉っぽさが完全になくなって、生地が全体的に同じ色になってきた。
「こんなもんだろ」
それを両手で一つに丸めると、ボウルを上からかぶせた。
パンを作るのと同じ工程だけど、パンと違って膨らませる為の種は入れないんだね。簡単パンみたいな感じなのかな。
「さてと、茶でも飲むか」
「あ、じゃあ、僕が入れますね。見てるだけだったので、ラズロさん休んでて下さい」
「おぅ、お言葉に甘えるわ」
手を洗ってからカウンターに腰かけたラズロさんに、コーヒーを淹れる。
「パン作りに似てますね」
「そうだな。パン程時間はかからねぇけどな」
「膨らませないんですね」
「この後、もう一度まとめ直して寝かせるぐらいしかしねぇな。パンよりよっぽど時間はかからねぇんだがな、水を大量に使うんだよ」
なるほど。
この後、水を使うのかな?
お茶を飲んでひと休みした後、ラズロさんはまた、生地をまとめ直して、また寝かせた。
「茶を飲みたいからじゃねぇぞ? ちゃんと生地のすみずみまで水が行き渡るのを待ってんだからな?」
疑ってないのに、わざわざ説明するラズロさんに、笑って頷く。
出来上がったという生地は、最初よりも生地の色が白くなり、つやつやとしてる。触って確認しろと言われたので、触る。押した指の跡が、少し残るぐらい。
「こねるのを多くすれば固めの麺になるし、こねが足りなければぼろぼろに崩れちまうからな、よく覚えておけよ」
「はい、分かりました」
「久々に使うなぁ」と言ってラズロさんが取り出したのは麺棒。
台の上にささっと粉をふる。麺棒にも粉をふって、生地がくっつかないように準備をしたら、丸まった生地を台にのせた。
生地を麺棒で伸ばしていく。縦に伸ばし、生地の向きを変えてまた伸ばして。キレイな四角になっていく。
「わーっ、ラズロさん、上手ですね! 僕、いつも歪になっちゃうんです」
「生地の最後まで伸ばしてると歪になるぞ。程々に伸ばして、向きを変えて伸ばしてをやってれば、四角く伸ばせる筈だ」
「あ、なるほど! 僕、いつも最後まで伸ばしちゃってました!」
そっか、伸ばし切らなくていいんだ!
知らなかった!
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