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第二章 マレビト
029-3
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何故かみんな、食堂にそのまま残ってる。
僕とラズロさんは麺を作る。カウンター越しにナインさんとクリフさん、ノエルさんが見てる。
今日はダンジョンを作る為に、食堂はお休み。どれぐらい時間がかかるのか分からなかったからなんだけど、思ったより早く出来てしまった。
だからここにいる人たちの分だけ麺を作れば大丈夫。あと殿下の分。
『麺か、久しぶりに食べるな。具は何だ?』
「塩味の汁に、身体の温まるネギと、半熟の卵をのせてみようかと思ってる」
マグロのしっぽがぱしんぱしん、とテーブルを叩く。
『肉が入っていないではないか』
相変わらず肉好きだなぁ。
はし肉のスープとかも、大好きだもんね。
「濃い目に煮た肉を追加して、卵はふわふわの、ネギを少し煮た奴にするね」
『肉は多めでな』
「分かってます」
「僕も、肉多め、希望」
ナインさんが手を挙げて言った。ノエルさんも軽く手を挙げて僕も、と言う。クリフさんもそっと手を挙げる。
これは、追加で肉を煮ておかないと駄目かも知れない。そう言おうと思ってラズロさんを見ると、うん、と頷かれた。同じことを考えていたみたい。
麺の生地を落ち着かせている間に肉を煮ていく。
最近のラズロさんは、売れ残ってしまうような素材を仕入れてくることが多い。
安いからなのかな、と思って聞いたら、それもあるけど、押し売りされてるんだって。とは言っても、困ってる人を放っておけないラズロさんらしいよね。
「アシュリーの魔法、凄い」
「便利だよなぁ、俺も欲しいわぁ」
ラズロさんの言葉に、ナインさんがティール様の袖を掴んだ。
「先生、火の魔術符、火を弱める、出来ない?」
「火を弱めるですか?」
うーん、とティール様が唸る。
横に立つラズロさんが、おっ? と、嬉しそうな声を出す。ラズロさんが火を使おうとすると、薪を使わなくちゃいけないから、僕が魔法を使うことが多いもんね……。
水は溜めておけるから、ラズロさんもそのまま使えるけど、使いたいと思うたびに僕に声をかけなくちゃいけないのは、面倒だろうなって思う。
「術式の線、減らせば、火、弱くなる」
「そうですねぇ。可能かも知れませんが、ナイン、ラズロは魔力がありませんよ」
「……それ、無理」
「魔術は結局の所、魔力を使いますからね」
項垂れるラズロさん。ナインさんまで凹んでる。
『なんだ、料理人、魔力が欲しいのか』
パフィが声をかけると、ラズロさんが勢いよく顔を上げる。
「欲しい、です! アシュリーのように魔法が使えなくても、どうやら魔術ならなんとかなりそうな気配だし」
言いながらナインさんとティール様の方を見るラズロさん。マグロのしっぽがゆらゆらと揺れる。
もしかしたら古の魔女のパフィなら、何とか出来るんじゃないか、そんな期待に満ちた目がマグロに注がれる。
『出来る訳がなかろう』
うん、知ってた。
『そんな事が出来ているなら、とっくにアシュリーの魔力が増えているとは思わんのか』
確かに。
『楽をしようとするな。己の出来る事をやれ』
正論なんだけどね……。
ラズロさんの、一番お肉入れてあげよう……。
僕とラズロさんは麺を作る。カウンター越しにナインさんとクリフさん、ノエルさんが見てる。
今日はダンジョンを作る為に、食堂はお休み。どれぐらい時間がかかるのか分からなかったからなんだけど、思ったより早く出来てしまった。
だからここにいる人たちの分だけ麺を作れば大丈夫。あと殿下の分。
『麺か、久しぶりに食べるな。具は何だ?』
「塩味の汁に、身体の温まるネギと、半熟の卵をのせてみようかと思ってる」
マグロのしっぽがぱしんぱしん、とテーブルを叩く。
『肉が入っていないではないか』
相変わらず肉好きだなぁ。
はし肉のスープとかも、大好きだもんね。
「濃い目に煮た肉を追加して、卵はふわふわの、ネギを少し煮た奴にするね」
『肉は多めでな』
「分かってます」
「僕も、肉多め、希望」
ナインさんが手を挙げて言った。ノエルさんも軽く手を挙げて僕も、と言う。クリフさんもそっと手を挙げる。
これは、追加で肉を煮ておかないと駄目かも知れない。そう言おうと思ってラズロさんを見ると、うん、と頷かれた。同じことを考えていたみたい。
麺の生地を落ち着かせている間に肉を煮ていく。
最近のラズロさんは、売れ残ってしまうような素材を仕入れてくることが多い。
安いからなのかな、と思って聞いたら、それもあるけど、押し売りされてるんだって。とは言っても、困ってる人を放っておけないラズロさんらしいよね。
「アシュリーの魔法、凄い」
「便利だよなぁ、俺も欲しいわぁ」
ラズロさんの言葉に、ナインさんがティール様の袖を掴んだ。
「先生、火の魔術符、火を弱める、出来ない?」
「火を弱めるですか?」
うーん、とティール様が唸る。
横に立つラズロさんが、おっ? と、嬉しそうな声を出す。ラズロさんが火を使おうとすると、薪を使わなくちゃいけないから、僕が魔法を使うことが多いもんね……。
水は溜めておけるから、ラズロさんもそのまま使えるけど、使いたいと思うたびに僕に声をかけなくちゃいけないのは、面倒だろうなって思う。
「術式の線、減らせば、火、弱くなる」
「そうですねぇ。可能かも知れませんが、ナイン、ラズロは魔力がありませんよ」
「……それ、無理」
「魔術は結局の所、魔力を使いますからね」
項垂れるラズロさん。ナインさんまで凹んでる。
『なんだ、料理人、魔力が欲しいのか』
パフィが声をかけると、ラズロさんが勢いよく顔を上げる。
「欲しい、です! アシュリーのように魔法が使えなくても、どうやら魔術ならなんとかなりそうな気配だし」
言いながらナインさんとティール様の方を見るラズロさん。マグロのしっぽがゆらゆらと揺れる。
もしかしたら古の魔女のパフィなら、何とか出来るんじゃないか、そんな期待に満ちた目がマグロに注がれる。
『出来る訳がなかろう』
うん、知ってた。
『そんな事が出来ているなら、とっくにアシュリーの魔力が増えているとは思わんのか』
確かに。
『楽をしようとするな。己の出来る事をやれ』
正論なんだけどね……。
ラズロさんの、一番お肉入れてあげよう……。
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