前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第二章 マレビト

031-2

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 ネロは毎日のように花だったりエノコログサを持って来ては、パフィにまじないをかけてもらっていた。それを持って部屋を出て行くんだけど、たぶん、間違いなく、第一王子の所に。
 大丈夫なのかなぁ、と不安に思いながら、食堂を出て行くネロを見ていたら、隣で洗い物をしていたラズロさんが話し始めた。

「黒猫が出入りしては、ベッドから起き上がれない第一王子の遊び相手をしているそうだぞ。王子も喜んでるみたいだけどな」

 うん、ネロですね……。

「しかもその猫が持って来た花やエノコログサが王子を守ってるって話だ。
それで侍従も一人、暇を出されたって言うしなぁ」

「その、侍従さんは一体何をしたんですか?」

 エノコログサにかかったまじないが、どんなものなのかが気になって、詳しい話を聞きたくなった。

「なんでも、侍従が水にこっそりと毒を入れようとした所、エノコログサが光って、水が濁ったんだと。
他の侍従がそんな濁ったものを殿下に飲ませる気かと詰め寄ったら、こんな色になる筈ではと、自白したとかなんとか、って話だ」

 あー……パフィ得意のまじないだね、それ。
 村で、賭け事をして家のお金に手をつけてしまったおじさんがいて、奥さんがどれだけ問い詰めても賭け事なんてしてないと言い張っていたら、パフィがやってきておじさんにまじないをかけたんだよね。
 そうしたら、賭け事以外の内緒にしていたことも全部話しちゃって、大ゲンカになって、村中を巻き込んだことがあったっけ……。

「殿下が無事で良かったです」

 料理に毒を混ぜられないから、別の形で毒を盛ろうとしてるってことだよね。
 第二王子側の人が誰も第一王子に近付けないようになったら、僕の方に来るのかな。
 たぶんだけど、パフィはそうしたいんだろうし。その為にネロにまじないのかかった花だったりエノコログサを持たせて第一王子の元に行かせてるんだろうなぁ。
 ネロは最近僕が構ってあげられてないから、暇みたいだし、第一王子に遊んでもらってるんだろうな。ごめんね、ネロ……。
 でも、王子も喜んでるみたいで、それは良かったな。
 ベッドから出られない王子を、ネロが少しでも癒してくれてると良いんだけど。

「ところでアシュリーさん、わたくし、謝らないといけないことがあるんです」

「なんですか?」

 氷室で見かけた、大量のいものことかなぁ。春のいもは、それはそれで美味しいよね。

「春にもいもって穫れるじゃないですか?」

 やっぱりそうみたい。
 こんな、かしこまった言い方しなくても、怒ったりしないのに、いつもこんな風に言うラズロさんに、笑ってしまう。

「ニョッキにしますね」

「さすがアシュリー!! オレ、前にアシュリーが作ってくれたクリームソースで食ってみたい!」

「ラズロさんも手伝って下さいね」

「おうよ!」

 クリームソースなら、第一王子にも食べてもらえそうだし、身体にも良さそうだよね。
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