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第二章 マレビト
033-2
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クロケットにケチャップをかけて、キャベツの千切りとタマネギの酢漬けを乗せた昼食は、みんなに大好評だった。
「最近、食堂に来てくれる人、増えてますよね?」
皿を洗いながら聞いた。うんうん、と頷くラズロさん。
上級官の人たちがこっちの食堂を利用する回数が増えたんだよね。服装が違うからすぐに分かる。
少し量を増やした方が良いのかも知れない。売り切れになって、食べられない人が出たら申し訳ないから。
「今日で三日目だな」
皿に視線を落としたまま、ラズロさんが言った。思わず固まってしまったけれど、ラズロさんの方を見ずにそうですね、と答えた。
ダンジョンに第二王子派と思われる人達が忍び込もうとしてから今日で三日。
入り口の砂に描いた絵は毎日ぐちゃぐちゃになってた。
パフィは三日ぐらいしたら、入れるようにしろと言っていた。
「お邪魔します」
あまり大きくない声がして、顔を上げるとティール様だった。いつも通りのボサボサの頭で、昨日も寮に帰ってないんだな、って事がよく分かる見た目だった。
ノエルさんに怒られてから、毎晩お風呂には入りに来ているし、夕食も食堂で食べているからか、初めて会った時に比べると血色が良くなった気がする。
「なんだおまえ、また昨日帰ってねぇのか」
カウンターに腰掛けたティールさんへのラズロさんの第一声は、幼馴染という間柄もあってか、容赦ない。
「ナインがいるので、二日に一度は帰っています」
誇らしげに言うティールさんに、ラズロさんの厳しい口調は続く。
「当たり前なんだよ、馬鹿。何を偉っそうに言ってんだ。って言うかナインも二日に一度しか寮に返してないのか?」
ラズロさんの低い声に、ティール様は両手を胸の前で振って否定する。
「いえっ、ちゃんとナインは毎日寮に帰らせてから、研究室に戻ってます! 二日に一度はちゃんと寝てます!」
「おまえにしては比較的まともな生活送ってんじゃねぇか」
ラズロさんがそれを言うのは、ちょっとどうなんだろうな。飲んだくれだし。
ちら、とラズロさんの方を見たら、ラズロさんも自分で言ってて思うところがあったのか、気まずそうな顔をしていた。ノエルさんがいたら間違いなく、指摘されていたと思う。
「それで、どうした? 昼飯でも食いに来たのか?」
「いえ、ご報告に上がったんですよ」
報告?と、ラズロさんが怪訝な顔をする。
はい、とティール様は頷いた。
「魔女様からのご命令で、術符をあちらに渡す事になっておりまして」
そう言ってポケットから術符を取り出す。
僕にはなんの事やらさっぱり分からない難しい文字が書かれてる。
「んだ、コレ?」
「結界を破る術式を施した符、ですねー」
のんびりした口調で話すティール様には、なんて言うのか、緊張感がない。僕もあんまりないんだけど。
「まぁ、ナインから、この程度の術式でダンジョンの制約は破れないと言われているんですが、あちら側には分かりませんから」
「これをアイツらに渡すと、アイツらはこれでダンジョンに入れると思い込んで中に入り、ダンジョン蜂にやられるって寸法だな?」
そうですそうです、とティール様は答える。
「ご笑納下さい」
「ありがとうございます。後で、ダンジョンに行ってきますね」
はい、と答えると、丁寧にお辞儀してティール様は食堂を出て行った。
「ティール様って、変わってますよね」
「……否定しない」
「最近、食堂に来てくれる人、増えてますよね?」
皿を洗いながら聞いた。うんうん、と頷くラズロさん。
上級官の人たちがこっちの食堂を利用する回数が増えたんだよね。服装が違うからすぐに分かる。
少し量を増やした方が良いのかも知れない。売り切れになって、食べられない人が出たら申し訳ないから。
「今日で三日目だな」
皿に視線を落としたまま、ラズロさんが言った。思わず固まってしまったけれど、ラズロさんの方を見ずにそうですね、と答えた。
ダンジョンに第二王子派と思われる人達が忍び込もうとしてから今日で三日。
入り口の砂に描いた絵は毎日ぐちゃぐちゃになってた。
パフィは三日ぐらいしたら、入れるようにしろと言っていた。
「お邪魔します」
あまり大きくない声がして、顔を上げるとティール様だった。いつも通りのボサボサの頭で、昨日も寮に帰ってないんだな、って事がよく分かる見た目だった。
ノエルさんに怒られてから、毎晩お風呂には入りに来ているし、夕食も食堂で食べているからか、初めて会った時に比べると血色が良くなった気がする。
「なんだおまえ、また昨日帰ってねぇのか」
カウンターに腰掛けたティールさんへのラズロさんの第一声は、幼馴染という間柄もあってか、容赦ない。
「ナインがいるので、二日に一度は帰っています」
誇らしげに言うティールさんに、ラズロさんの厳しい口調は続く。
「当たり前なんだよ、馬鹿。何を偉っそうに言ってんだ。って言うかナインも二日に一度しか寮に返してないのか?」
ラズロさんの低い声に、ティール様は両手を胸の前で振って否定する。
「いえっ、ちゃんとナインは毎日寮に帰らせてから、研究室に戻ってます! 二日に一度はちゃんと寝てます!」
「おまえにしては比較的まともな生活送ってんじゃねぇか」
ラズロさんがそれを言うのは、ちょっとどうなんだろうな。飲んだくれだし。
ちら、とラズロさんの方を見たら、ラズロさんも自分で言ってて思うところがあったのか、気まずそうな顔をしていた。ノエルさんがいたら間違いなく、指摘されていたと思う。
「それで、どうした? 昼飯でも食いに来たのか?」
「いえ、ご報告に上がったんですよ」
報告?と、ラズロさんが怪訝な顔をする。
はい、とティール様は頷いた。
「魔女様からのご命令で、術符をあちらに渡す事になっておりまして」
そう言ってポケットから術符を取り出す。
僕にはなんの事やらさっぱり分からない難しい文字が書かれてる。
「んだ、コレ?」
「結界を破る術式を施した符、ですねー」
のんびりした口調で話すティール様には、なんて言うのか、緊張感がない。僕もあんまりないんだけど。
「まぁ、ナインから、この程度の術式でダンジョンの制約は破れないと言われているんですが、あちら側には分かりませんから」
「これをアイツらに渡すと、アイツらはこれでダンジョンに入れると思い込んで中に入り、ダンジョン蜂にやられるって寸法だな?」
そうですそうです、とティール様は答える。
「ご笑納下さい」
「ありがとうございます。後で、ダンジョンに行ってきますね」
はい、と答えると、丁寧にお辞儀してティール様は食堂を出て行った。
「ティール様って、変わってますよね」
「……否定しない」
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