前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

047-1

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 ジャッロたちからもらった蜂蜜を、玻璃の器に入れて蓋をする。
 風魔法で巣がぐるぐると回転していって、ぽたりぽたりと器の底に蜂蜜が溢れ落ちていく。

「何度見ても飽きないんだよなぁ、アシュリーの風魔法で巣と蜜が分離すんの」

 ラズロさんはそう言って玻璃の器を覗き込む。
 器の中では巣が回ってる。
 キレイに蜜が取れるまでは三十分ぐらいはかかる。前にパフィがやってくれた時は、威力が強すぎて全てが液体になってしまって、食べられなくなってしまった。フルールが食べてくれたので良かったけど。

「そう言えばギルドからダンジョン蜜を売ってもらえないかと声をかけられたぞ」

「近頃は渡してませんでしたね、そう言えば」

 まぁな、とラズロさんが頷く。

 バン!と大きな音をさせて食堂のドアが開いた。
 びっくりして見ると、レンレンさんがいた。
 なんて言うか、レンレンさんはいつも唐突だよね。

「アシュリー!!」

「封印解けたのか」

 横でラズロさんがぽつりと呟く。
 封印っていうのは、多分レンレンさんの口に貼られていたパフィのアレのことだろうと思う。

「アシュリーがダンジョン蜜を持ってるって聞いてね! もらいに来たんだ!」

 走って来たレンレンさんのおでこをラズロさんがぺちりと叩く。

「何がもらいに来たんだ、だ。アホか。これは貴重なんだからおまえの欲望に任せてくれてやる訳にはいかないんだよ」

 呆れ顔のラズロさんに、レンレンさんは人差し指をたてて横に揺らしながら、チッチッチ、と舌を鳴らす。

「分かってないね、ラズロ! ダンジョン蜜の持つ効能を魔法薬学で活用すればその可能性は無限大なんだよ! そもそも蜂蜜と言うのは殺菌効果が」

 チリン、と鈴の音がしてパフィが目の前に現れた途端、レンレンさんの話が止まった。

「ダンジョン蜜はな、ギルドに卸してんだよ。その売り上げで国庫の不足分を補ってんだ。分かったら職務に戻れ」

 カクカクとレンレンさんの頭が上下に揺れて、全速力で食堂から出て行った。

『逃げたか』

「まぁ、それは無理もないんじゃないかな……」

 やっと口から貼り紙が取れたのに、また貼られたら大変だろうし……。

 ナインさんがひょこ、と廊下から覗き込んできた。

「あ、おはようございます、ナインさん」

 ナインさんは食堂に入って来て言った。

「魔法薬学長、走って行った」

 それで食堂を覗き込んだのか。

「口を封印されるのを恐れて逃げてったよ」

 ラズロさんの言葉にナインさんは頷いた。

「魔法薬学長、うるさい。静か、良いと思う」

 遠慮のないナインさんの言葉につい、笑ってしまった。

「蜜と巣、分けた?」

 玻璃の器をナインさんが覗き込む。

「そうですね、そろそろ良さそうです」

『何だ?』

「蜂の巣での蝋燭の作り方を教えてもらうんだよ」

『あぁ、蜜蝋だな。それよりも蜜を使ったものを作れ』

 言いたい事を言ってパフィは食堂を出て行ってしまった。
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