前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

文字の大きさ
196 / 271
第三章 ダンジョンメーカーのお仕事

047-2

しおりを挟む
 蜜を使うってことは、甘いものだよね。

 蜂蜜入りミルクはあんまり好きじゃないみたいだけど、ハニーマスタードのかかった肉なんかはおかわりして食べるぐらい好きだし……。

「パン、かける。甘くて美味しい。ナッツの蜂蜜付けのせる、美味しい」

 ナインさんにはクロウリーさんの記憶もある。

「ナッツの蜂蜜漬けかぁ、贅沢だな。ナッツがシケなくて良いかも知れないし、作ってみようぜ」

 話を聞くだけで美味しそう。

「蝋燭作る」

 あ、そうだった。

 鍋に蜂蜜を搾り終えた巣を入れる。

「水入れる。こげる。強い火、ダメ」

 巣が焦げないように巣の上から水を入れて、火魔法にかける。強火にはしないで鍋の様子を見守る。
 巣は驚く程あっという間に溶けていった。

「こんなに簡単に巣って溶けるんだな」

 同じ事を思ったようで、ラズロさんが鍋の中を覗きながら言った。

「それにしてもアレだな、別のもんも浮いてくるだな。
そりゃそうか、鳥だって巣作りには色んなもん使うって言うしなぁ」

 鍋の中で巣が溶けると、巣を作る時に混ぜ込んだのかな? と思うようなものが出てきた。

「布で漉す。ゴミ取れる」

 得意気なナインさん。
 布で濾せば要らないものは取り除けそう。

「ところでさ、次に作る時はさ、外で作ろうな?」

 ラズロさんが言った。
 ……うん。凄い臭いだもんね。



 もう少し煮て余計なものが溶けきったら、布で蜜蝋を漉すらしい。
 ラズロさんはちょっと考え事をしてから、すぐ戻る、と言って食堂を出て行ってしまった。どうしたんだろう?
 その間も僕とナインさんは鍋の中の蜜蝋を、焦げないようにかき混ぜながら、大きくてすぐに取れそうなゴミを取っていた。
 この作業をしていて気付いたんだけど、ゴミを取るのに使ったスプーンの表面が、蜜蝋で固まる。
 水で流してみたら更にカチカチになった。

 このスプーンは、蜜蝋専用にするしかないかも。
 布で漉すのも、結構難しいかも知れない……。
 蜜蝋でみっちり覆われてしまったスプーンを見ながらそう思う。

「戻ったぞー」

 ラズロさんが持ってきてくれた布は、はっきり言うとあまりキレイではなかった。

「蜜蝋を漉した布は二度と他のものに使えないから、同じ布を使い続けるんだとよ」

 あぁ、やっぱりそうなんだ。
 僕はラズロさんにスプーンを見せた。ラズロさんが苦笑いを浮かべた。

「それとな、器も渡された」

 木で作られた器は、内側がつるつるしていた。
 多分コレ、蜜蝋なんだと思う。

 ラズロさんの手を借りて、その器に布を張る。と言っても、緩く。僕とナインさんで布を押さえている所に、ラズロさんが上から溶けた蜜蝋を入れていく。
 音をたてて器の中に蜜蝋が落ちていって、布の上にはスプーンで取りきれなかったものが残った。

「放っておく。蜜蝋固まる」

「おいおい、それじゃ蝋燭にならんだろ」

 あ、と言う顔をナインさんがする。
 僕も蝋燭だってきいていたのに何の用意もしてなかった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

あの子を甘やかして幸せにスローライフする為の、はずれスキル7回の使い方

tea
ファンタジー
はずれスキル持ちなので、十八になったら田舎でスローライフしようと都落ちの日を心待ちにしていた。 しかし、何故かギルマスのゴリ押しで問答無用とばかりに女勇者のパーティーに組み込まれてしまった。 追放(解放)してもらうため、はずれスキルの無駄遣いをしながら過去に心の傷を負っていた女勇者を無責任に甘やかしていたら、女勇者から慕われ懐かれ、かえって放してもらえなくなってしまったのだが? どうなる俺の田舎でのスローライフ???

俺に王太子の側近なんて無理です!

クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。 そう、ここは剣と魔法の世界! 友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。 ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 ティモシーは、魔術師の少年だった。人には知られてはいけないヒミツを隠し、薬師(くすし)の国と名高いエクランド国で薬師になる試験を受けるも、それは年に一度の王宮専属薬師になる試験だった。本当は普通の試験でよかったのだが、見事に合格を果たす。見た目が美少女のティモシーは、トラブルに合うもまだ平穏な方だった。魔術師の組織の影がちらつき、彼は次第に大きな運命に飲み込まれていく……。

異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ
ファンタジー
ソロキャン命。そして異世界で手に入れた能力は…Awazonで買い物!? 夢の大学でキャンパスライフを送るはずだった主人公、四万十 葦拿。 しかし、運悪く世界的感染症によって殆ど大学に通えず、彼女にまでフラれて鬱屈とした日々を過ごす毎日。 うまくいかないプライベートによって押し潰されそうになっていた彼を救ったのはキャンプだった。 次第にキャンプ沼へのめり込んでいった彼は、全国のキャンプ場を制覇する程のヘビーユーザーとなり、着実に経験を積み重ねていく。 そして、知らん内に異世界にすっ飛ばされたが、どっぷりハマっていたアウトドア経験を駆使して、なんだかんだ未知のフィールドを楽しむようになっていく。 遭難をソロキャンと言い張る男、四万十 葦拿の異世界キャンプ物語。 別に要らんけど異世界なんでスマホからネットショッピングする能力をゲット。 Awazonの商品は3億5371万品目以上もあるんだって! すごいよね。 ――――――――― 以前公開していた小説のセルフリメイクです。 アルファポリス様で掲載していたのは同名のリメイク前の作品となります。 基本的には同じですが、リメイクするにあたって展開をかなり変えているので御注意を。 1話2000~3000文字で毎日更新してます。

明日を信じて生きていきます~異世界に転生した俺はのんびり暮らします~

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生した主人公は、新たな冒険が待っていることを知りながらも、のんびりとした暮らしを選ぶことに決めました。 彼は明日を信じて、異世界での新しい生活を楽しむ決意を固めました。 最初の仲間たちと共に、未知の地での平穏な冒険が繰り広げられます。 一種の童話感覚で物語は語られます。 童話小説を読む感じで一読頂けると幸いです

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...