前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第四章 魔女の国

051-1

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 旅の吟遊詩人や踊り子、楽師を雇う為の一座が作られることになった。
 酒場などで歌ったりしている吟遊詩人たちも、出番のない日に一座で歌って良いらしいから、結構な人数が集まったとラズロさんが教えてくれた。

「一座で演奏していたら、酒場のお客さんが減ったりしないんでしょうか?」

 水分も抜けて、型から外したチーズに塩を少しかけて、表面を撫でる。
 チーズに変なものが付かないようと、水気が飛ぶように。表面をそっと撫でて、横も塩で撫でる。ひっくり返してまた撫でる。

「チーズ作りってのは、気がなげぇな」

 もっと簡単に作れる奴はたまに作っては夜食に付けて出してるけど、ラズロさんは時間をかけて作ったチーズが気になって仕方ないみたい。

「アシュリーの作るもんは美味いけど、時間がかかるものが結構あるよな」

 端肉を煮込んだものや粒マスタード、チーズ、確かにすぐには出来ないものばかりだけど、時間がかかって、手間がかかってるから余計に美味しく感じるんだと思う。

「昼間に演じるもんと、酒場で演じるもんは違うんだろうよ。さすがに手持ちが一つしかないって事はないんだろうしな」

「そっか。そうですよね」

「それに酒場も大概、行きつけの店ばかりになるもんだ。一座の演目を見て、あの酒場に足を伸ばしてみるかってなることもあるだろうよ」

 なるほどと思いながらチーズを新しい布で包んで、氷室に運ぶ。

「それでアシュリーさん、チーズはいつ出来るの?」

「あと五日程寝かせたら食べたいなと思ってます」

 ラズロさんの顔が明るくなる。

「やっとか! それで、なにするんだ?」

「食べられるようになったら、よっぽど合わないものじゃなければ、どんどん使います」

「そうなのか?」

「はい。においが強くなりすぎてしまうので」

「あー……たまにあるな、臭いがきっつい奴」

「あの臭いが好きって言う人もいるみたいですけど、僕はそうじゃないのでどんどん使います」

 スライスしてパンにのせたり、スープにのせて表面を溶かしたり、イモにかけてみたり。
 食堂はたくさんの人が来てくれるから、使い切るのにそんなに困らないと思ってる。

『チーズが出来たら宵鍋に行くぞ』

 天井から声がしたと思ったらパフィだった。

「ザックさんの作るチーズ料理、美味しそうだもんね」

『ただ溶かした奴を野菜にかけた奴も好きだからな、あれも絶対作るようにな』

「パフィ、あれだけでワインをひと瓶空けちゃったもんね。
今回は端肉のパテを焼いて、その上にチーズをのせてとろけさせてみようか」

「いいな!」

 ラズロさんから反応がきた。

「あー、腹減ってきた。ヨウルト食って良いか?」

 すっかり小腹を満たすのにヨウルトが食べられるようになってしまったけど、ヨウルトは作り続けなくちゃいけないから、食べてもらえるのはとても助かる。
 殿下も好きみたいでよく食べてくれているので嬉しい。殿下の体重が少し増えた、ってクリフさんが言ってたし。
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