前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第四章 魔女の国

057-1

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 司書さんが食べたいといったエビの料理は、炒めたエビにマヨネーズ、ケチャップ、ヨウルト、豆を煮て潰して発酵させたもの、それから塩、コショウで味付けしたもの。
 この豆の発酵した奴は少しクセがあってにおいもあって苦手なんだけど、ヨウルトで味がまろやかになるしにおいも気にならないってレシピには書いてあった。
 少し不安だったけど、味見をしてみたらその通りだった。エビは噛むとぷりぷりとした歯応えで、甘い。マヨネーズのこってりした感じと、ケチャップの甘さと酸味と、ヨウルトの酸味がよく混ざり合って、ちょうどいい味だった。美味しそうなにおいしかしない。
 こってりとして、甘さがあって、酸味もあって。もう一つ、と思っちゃう。

「これは……イケる」

 味見をしたラズロさんが隣で呟く。なにがイケるんだか分からないけど、なんとなく分かる気がする。ナインさんはラズロさんの横で目をきらきらさせていた。

「エビ、皮剥く。また作る」

 ナインさんがそう言うと、ラズロさんもうんうんと頷いた。

「これは苦労の甲斐があるな。でも酒が合う味なのに飲めんとは……。ザックに作ってもらって飲みながら食いたいが、皮剥きが大変だろうしなぁ」

「皮を剥いて背わたを取った状態で売ってたら助かりますよね」

 もっと味見したいのを我慢して、料理を皿によそっていく。海鮮料理は苦手な人もいるので、煮込み料理を別で作っておいた。煮込み料理ならこのまま夜の食事にも出せるから。
 カトラリーだとか副菜を皆にそれぞれ取ってもらうようにして、メニューをこれまでの一種類から二種類に増やした。これ以上は増やさないけど。
 前にこれは食べられないから今日は外で昼を食べてくる、と言った人がいて、たしかにこれまでのようにメニューが一つしかないとそうなるよね、って話になって。
 それで煮込み料理のほうはあまり人が嫌わないものを作ることにしている。

「それだ!」

 突然ラズロさんが大きな声を出すからびっくりした。

「エビを買いに行ったときにな、なかなか手間のかかる魚介は買われにくいってぼやいてたんだよ」

「ギルドに氷室はないんですか?」

「あるが、そのまま凍らせた奴を売るだろ? 買った奴は解けるのを待たなきゃならんだろう。だから使いづらいらしくてな、魚はまぁまぁ売れるらしいが、エビや貝は売れにくくて値段が安いんだと」

 デボラさんはまるごと魚をオイル漬けにしてたなぁ……。美味しいけど。
 屋台で買って食べた焼いた貝も美味しかったけど、ひとつひとつ皮とか殻を剥かなくちゃいけないもんね。前に皆で中庭で焼いて食べたけど、あんなことは普通の家では難しいだろうし……。

「皮を剥いて背わた取った奴を冷凍しておけばいいんだよ」

「あ、それは助かりますね。解けたらそのまま使える」

 フルールにはちょっと申し訳ないけど。

「ちょっと提案してみるわ」

 皮剥きをしなくてよくなったら、エビ料理とかもっとできそうだな。貝はいつも焼いたり蒸してるけど、殻を剥いた身で他の料理も美味しそう。
 司書さんに相談してみよう。
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