前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第四章 魔女の国

057-2

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 いつもなら司書さんは混む時間を避けて食堂に来る。でも今日は昼時にやって来た。混雑は苦手だって言ってたのに。

「やぁやぁ、今日も賑わってますねぇ」

「食べに来てくれたんですね」

 司書さんの分を取っておこうと思ってたんだけど、その必要はないみたい。温かいうちに食べたほうが美味しいし、早めに来てくれてよかった。
 司書さんのいる図書室は、本が沢山あるから食べるのも飲むのも禁止されてる。持っていくこともできないし、来てもらえなかったらどうしようかと思ってた。

「アシュリーくんがエビ料理を作ってくれると聞いてね、我慢できずに早めにきてしまったよ」

「なになに、今日のメニューはダグ先生がお願いしたものなの?」

 司書さんの後ろに並んでいたリンさんが身を乗り出す。

 ダグ先生というのは司書さんのことで、物知りでなんでも知ってるから先生と呼ばれてる。
 いつもにこにこしていて、言葉も話す内容もとても優しい。僕にはいなかったけど、おじいさんが生きていたらこんな感じかな、こんな人だったらいいなって思う。
 
「図々しくも食べたい料理を言ったら、アシュリーくんが作ってくれてねぇ」

「えぇーっ! 羨ましい! 私も作ってもらいたい料理あるー!」

 そこから並んでる人たちがなんだなんだと騒ぎだして、アレが食べたいコレが食べたいと言い出してちょっとした騒ぎに。
 そのせいで列が進まなくなっちゃった。
 いつの間にか厨房から出て行ったラズロさんが、手を叩いて大きな音をさせると、皆がラズロさんを見た。

「分かった分かった! どうやるかは考えるから、とりあえず今日はアシュリー渾身のエビ料理を楽しんでってくれ! 熱いうちが美味いんだ!」

 ラズロさんの言葉に納得したみたいで、料理ののった皿を持って着席していく。
 食べている人たちの表情を観察する。思っていたよりも喜んでくれてるみたいで安心した。

 厨房に戻ってきたラズロさんはにやりと笑う。

「これで日々のメニュー決めが楽になるに違いない。ついでにオレは美味いものも食える。一石二鳥だな。
問題は、どうやってその情報を集めるか、については作戦会議だ、アシュリー」

 毎日のメニューを考えるのは楽しいけど、たまに困る時があるんだよね。だからラズロさんの言うことも分かる。

「あ、そうだ。片付け終わったら仕入れにギルド行くから、その時に朝話してた件、相談してみるわ」

「取り入れてもらえたらいいですね。宵鍋や出店のメニューも増えるかもしれないです」

 またエビ料理を作って食べたいけど、あれだけの量を剥くのは大変だったから、剥いてあるエビ、売って欲しい。

「美味いものが増えるのは大歓迎だな」

 エビの串焼きとかも美味しそう。
 そういえばあの殻は焼いても硬くて食べられないのかなぁ? パリパリっていうか、カリカリになって食べやすくなったりしないのかなぁ。
 油で揚げてみるとか? 図書室の本にあったりするかな?
 今度行った時に探してみよう。
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