前代未聞のダンジョンメーカー

黛 ちまた

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第四章 魔女の国

057-3

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 司書さんと話すために図書室に向かっていたらパフィと、その後をついて行くネロがいた。黒猫が二匹並んで歩く姿は可愛い。

「パフィ、ネロ」

 声をかけるとネロが走って来た。

「散歩?」

『王子の邪魔をしに行くところだ』

 邪魔、本当にするんだろうな……。
 ネロもいるし、殿下、仕事にならないかもしれない。

「ほどほどにしてね」

 にやりと笑うと、また歩き出すパフィを、ネロが追いかける。

 図書室の重い木の扉を押して入る。
 僕に気づいた司書さんが手を振る。

 皆が食べたいものをどうやってまとめようかという話は、司書さんがまとめてくれることになった。

「私があんなふうに話した所為だからねぇ、それに普段図書室に来ない人も、アシュリーくんとラズロくんに料理を作ってもらいたかったら来るしかないんで、面倒な人は来なくなるから丁度良いだろう」

 食べたい料理がある人は、図書室にいる司書さんを通して伝える。直接言うのは駄目ということになった。

「あの、仕事の邪魔になりませんか?」

 きっかけはそうだったとしても、司書さんに迷惑をかけたくない。お礼のつもりだったのに、迷惑をかけたら、したかったことと反対になっちゃう。

「いつもは限られた人としか話をしませんから、これをきっかけに色々話せるかもしれないと、年甲斐もなくはしゃいでいるんですよ」

 にこにこと微笑む司書さんは、楽しそうに見えた。

「ありがとうございます。やめたくなったらすぐ言ってくださいね」

「勿論」

 僕の頭を撫でる手は優しい。

 司書さんの机の上にある本が目に入った。
 冬の王の本。

 北の国に冬の王が現れたけど、要請はきていないみたい。他の国に応援を頼んでいるんだろうな。
 被害が少ないといいんだけど。
 そういえば、冬の王のことで聞きたいことがあったのを思い出す。

「冬の王子って、あちこちに現れるんですよね?」

「いや」

 司書さんが首を振る。

「冬の王はここ周辺の国にしか現れないねぇ」

「そうなんですか?」

 そうなんだよ、と司書さんは頷く。

「いつから現れるようになったのかは分からんのだがねぇ、かなり昔からこの一帯に冬になると現れるんだよ」

 あちこちに現れるのかと思ってた。

「それも、魔力が高い魔物が生まれなくては現れないからねぇ。冬の王は魔物に乗り移る。その魔物を倒してしまえば退散する。
知性があまり高くないようでねぇ。なにが目的なのかも分かってないんだ」

 それで、毎年のように現れては退治されてるのか。
 うーん……冬の王ってなんなんだろう。

「分かっているのは、冬になると魔力の高い魔物に乗り移るということと、更なる魔力を求めて動くから、魔法使いや魔術師が多い北の国が多く狙われるということなんだよ」

 いつも北の国だと思っていたけど、そういうことだったんだ。

「今年は要請を受けないからねぇ、どうなるか分からんが、私は平民だからね、戦争に駆り出される同じ平民が不憫でならないよ」

 貴族でも王族でも、良い人もいれば悪い人もいる。平民だってそう。
 でも北の国の貴族の人たちは、平民のことを大切にしないって何度も聞かされた。貴族の多くは魔法使いだというのも。
 冬の王が狙うのは、魔力が高い魔法使い。貴族の人たちを守るために平民の人や奴隷にされた魔術師たちが辛い思いをするんだろうな……。

 魔術師たちを助けるってティール様たちは言ってた。危険なことはしてほしくないけど、逃げてきて欲しいな。
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