アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第一章

第三十三話 安全の確保だって大事だよ

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 ◆◇◆◇◆◇


 隣の県から大量の牛肉、もとい牛に似たモンスターであるクリムゾンブルの肉を持ち帰るためには、当然ながら徒歩ではなく車を使用する。
 移動手段については少し悩んだが、〈錬金鎧〉による防御手段があるので積載量を優先して冷凍車を使うことにした。
 機動性や戦闘力では軍用車である装甲機動車だが、大量の肉を持ち帰ることが出来ないため今回は置いていく。
 あとは冷凍車自体を見つける必要があるのだが、幸いにもコンビニの駐車場に放置されているのを見つけた。
 ガソリンもほぼ満タンなのでこのまま往復しても大丈夫だろう。


「問題は運転できるかどうかなんだが、まぁなるようになるか」


 冷凍車というか冷凍トラックと呼ぶのが適切なサイズなので、今の道路の状態では通れない場所も多そうだ。
 だが、今の俺には〈錬金鎧〉があるので、道の破損や障害物の問題も解決することができる。
 先日やったように冷凍トラックの前面に謎金属製の触手、いやタコのような触腕を作っておけばいいだろう。

 タコ……久しぶりに海産物も食べたいな。
 海まで行くとなると、距離的にも事前に予定を立てておく必要がある。
 謎金属による守りがあるとはいえ、あまり連続して長時間家を空けたくはない。
 超人部隊との再会の約束の日も近いし、実際に海に行くなら超人部隊と会って今後の交渉をしてからになるだろう。
 交渉での俺自身の価値を高めるためにも、今回の牛肉遠征で強さを高めておかないとな。

 冷凍トラックの使い方を調べて各種準備は済ませてあるので、あとはカロリー対策だ。
 一度ソフィアを迎えに上に戻ると、ちょうど玄関に荷物を置きにやってきたところだった。


「お兄さん、間食は食べやすいように全部串にしましたヨ」

「お、ありがとう」


 ソフィアが早起きして準備した巨鳥肉とデカウサギ肉の肉串の山が入った袋を受け取る。
 これは今回の牛肉遠征で〈錬金鎧〉を多用することになってカロリーを大量消費する俺用の間食だ。
 なお、大量の肉串とは別に昼食用の弁当も作ってくれている。
 今日は終日運転することになるためソフィアから二時間遅れで起きた時も、朝食を食べている時も、間食用肉串とは別にずっと作り続けていただけあって弁当はデカい器に入っていた。


「冷凍のお野菜とかも使って良かったんですよネ?」

「ああ。使う時は使わないとな。中身は見てないけど、肉オンリーじゃないみたいだな?」

「お肉とお野菜の在庫量の差と戦闘でのカロリー消費の問題からお肉が多いですケド、栄養バランスも大切デス」

「まぁ、超人化した身体の健康に栄養バランスがどれほどの比重を占めるかは分からないが、味に変化があるのは良いことだな」

「オニギリもありますヨ。あとは卵焼きがあれば良かったんですケド、流石に新鮮な卵は無いから無理でしタ」

「養鶏場は世界変革の初期の頃に雑魚モンスターにやられて壊滅してるもんな。無事だった卵も腐ってるし、また卵料理が食べられるようになるのはいつになることやら……」

「新鮮な卵を使ったオムライスが食べたいデス」

「俺も久しぶりに食べたいよ」


 二人で雑談をしながら家の戸締りと謎金属製の罠も仕掛け終わると、弁当などの荷物を持ってエレベーターに乗った。
 現在、自宅として使っているペントハウスがあるこのマンション内には、元住人らしきゾンビ達は一体もいない。
 全てのゾンビは倒して死体も建物から運び出し、敷地内の外で焼却済みだ。
 敷地内には偶に外から入り込むゾンビがいるが、マンション自体の出入り口は正面入り口以外は窓なども含めて、五階より下は全て謎金属で全て封鎖している。
 勿論、立体駐車場とマンションを繋ぐ渡り廊下のマンション側の出入り口も封鎖してある。

 そのため、俺達がマンションを出た後にマンションの正面入り口を謎金属で封じれば防犯セキュリティは完璧だろう。
 強引に破ろうとした者は謎金属製剣山によって串刺しになるだけだ。


「このお兄さんの金属ってスゴク便利ですよネ」


 ソフィアがマンションの正面入り口を封鎖した謎金属にペタペタと触れているが、俺の意思が入っているため彼女が攻撃されることはない。
 事前に色々検証した結果、ソフィアが触れたり攻撃しても反撃することはなかったが、俺が近くで操作しない限り彼女だけを通すといったことはできなかった。
 ただ、現時点でもソフィアだけを反撃対象からは外せているので、〈錬金鎧〉の力が上がれば可能になるかもしれないな。


「そういえばインナーの着心地に変化はないか?」

「大丈夫ですヨ。今も変わらず普通の衣類と違いはありまセン」


 ソフィアがグイッと引っ張った胸元から鋼色のインナーシャツが姿を見せる。
 検証の一環で、自作グレイヴを強化したように適当な衣類にも謎金属を浸透させて強度を強化してみた。
 不思議なことに、多少重くなったことと色が鋼色に染まったこと以外は、元の衣類から変化はなかったので同じように着ることができる。
 ただし、着ている謎金属化した衣類が増えれば増えるほど互いに干渉しあうのか、身体の動きが阻害されてしまっていた。
 それでも銃弾を弾く程度の防御力もあるので、今回からソフィアには謎金属化インナーシャツだけは着てもらうことにした。

 贅沢を言えば〈黒化〉もしておきたかったのだが、〈黒化〉は発動者から離れてしまうと長持ちしないことが分かっている。
 なので、謎金属化衣類の黒化処理は俺の分だけしか出来ないのだが、〈錬金鎧〉で肉体自体を謎金属に変化させ〈黒化〉もできる俺にはあまり意味がないため、ソフィアと同様にインナーだけを黒化処理済みの謎金属製にしておいた。

 この〈黒化〉にも〈錬金鎧〉同様に力の増大による変質を期待したいところだな。


 
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