アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第一章

第四十一話 若さを懐かしむことが老いの始まりかもしれない

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 ◆◇◆◇◆◇


「ーー今気付いたんですケド」

「ん?」

「私とお兄さんが初めて会ったオフィス街にもボスがいるんじゃないデスカ?」


 黒ミノタウルスの肉の分厚ーいステーキを食いながら、ウマーと歓喜していたら、向かいに座るソフィアがそんなことを言ってきた。


「いるとしたら昼じゃなくて夜にだろうな?」

「だと思いマス。お兄さんが倒したデュラハンは三体いましたカラ、ボスじゃないはずデスシ」

「んー、あのエリアって昼間はまだしも、夜間に現れるアンデッド系モンスターの種類って豊富だよな」

「ファンタジーゾンビに腐肉巨人、幽鬼、死風鳥、不浄霊狼、デュラハン……あと何がいマシタ?」

「自爆肉塊と亡霊がいたな」

「いましたネー。他のアンデッドを倒してたら一緒に倒してたぐらいには弱いから忘れてマシタ」

「大半は炎上道路で勝手に倒せてたもんな」

「こうして振り返ると結構種類はいますネ」

「そうだな。ボスモンスターならこの中のどれかのアンデッドのボスバージョンということか」

「今日の黄色ゲートはそうでしたケド、オフィス街も同じとは限らないと思いマスヨ。あと、アンデッドの種類が多いのでボスが複数いる可能性もありマス」


 確かに否定は出来ないな。
 だが、同時にボスモンスターが確実にいるという保証もない。


「赤色も黄色も一つも出現していなくて、大量の青色ゲートが開いたことでアンデッドの種類が豊富なだけかもしれないぞ?」

「……その可能性もありマシタ。でも、状況的にもボス出現率の悪くない場所だと思うのデス」

「まぁな……行きたいのか?」

「ハイ!」


 どれだけアーティファクトが欲しいのやら。
 臨時政府直轄の超人部隊との再会も近いから、休息日のことも考えると時間に余裕はない。
 だが、今後アーティファクトの情報が周知されるようになれば、ボスモンスター討伐の競争率は一気に高くなるだろう。
 そのアーティファクトが複数個手に入る可能性があるというのは非常に魅力的だ。


「いつ行くよ?」

「今からデス!」

「……マジで?」

「ハイ!」


 これが若さか。昔は俺もバイタリティーに溢れてた……いや、ここまで元気じゃなかったな。


「元気なようで何よりだが、ボスモンスターが複数体いる可能性も考慮したら、装備の点検と体調を整えて万全の態勢で挑んだ方がいい。だから早くても明日だな」

「んー、仕方ありマセンネ。確かに私も今日獲れたお肉を食べたいデスシ、今夜は止めておきマス」

「そうしてくれ。今夜はステーキパーティーを堪能しよう」


 テーブル上には量の少ない黒ミノタウルスのステーキ以外にも、通常のミノタウルスの肉とクリムゾンブルの肉のステーキも並んでいる。
 ミノタウルスとクリムゾンブルのステーキ肉に関しては、予め全て一口サイズのサイコロ状にカットされており、大皿の上に大量に積み上げられていた。

 ミノタウルスのステーキ肉は、ミディアムでもかなり弾力があり、超人化前の顎の力では食べるのが大変だったくらいには硬い。
 ただ、味自体は昔外食で食べたステーキ肉よりも美味しかった。
 今日はシンプルに焼いただけだったが、調理の仕方や料理のチョイス次第では柔らかくなる気がする。

 クリムゾンブルのステーキ肉は、まさに牛肉といった感じだ。
 完全に同じかと言われたら俺の牛肉実食歴が浅いので即答はできないが、ソフィア的にはブランド牛レベルには美味しいらしい。
 ミノタウルスの肉にはサシがほぼ無かったが、クリムゾンブルには少しあった。
 個人的な感想だが、味ではミノタウルスの肉、ジューシーさと柔らかさではクリムゾンブルの肉に軍配が上がるだろう。

 そして、その二つ以上に美味く食べやすいのが、ボスモンスターである黒ミノタウルスの肉だ。
 あんなに筋肉質なのに何故か通常のミノタウルスのように硬くなく、サシもないのにジューシーという謎すぎる肉質をしていた。
 ボスモンスターの肉という希少性から、他の二種のモンスターとは違い、内臓系以外は余すことなく持ち帰る判断をしたのは正しかったようだ。

 あと、気のせいかもしれないが、黒ミノタウルスのステーキ肉を食べる度に力が沸いてくる気がする。
 検証のしようが無いが、感覚的に身体能力が強化されているのかもしれない。
 通常のミノタウルスとクリムゾンブルの肉では感じられないからこそ、その変化が顕著に分かった。
 ボスモンスターという普通ではないモンスターだからか、黒ミノタウルス自体が特殊なのかは不明だが、この黒ミノタウルスの肉はその味以上に大変貴重な価値がある。

 以前の怪物トカゲの時みたいに、住まいが破壊されて食材が駄目になる可能性もあるから、黒ミノタウルスの肉だけでも〈錬金鎧〉の謎金属で作った特別製の保冷庫にでも入れて保管しておくべきだろう。
 そうしておけば、消費する前にこのマンションが破壊されても後で回収することができる。
 全ての肉に同じ処置をするのは面倒なので、通常のミノタウルスとクリムゾンブルの肉については三体分だけにしておく。

 とまぁ、そういった作業は食後に行うとして、今はこのステーキパーティーを楽しむとしよう。
 明日のボスアンデッドの捜索のためにも英気を養っておかねば。


 
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