アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第一章

第四十話 周りの変化から読み取れるモノもある

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 ◆◇◆◇◆◇


 本来ならば荒廃して通行できない道を〈錬金鎧〉の謎金属を使った急造の道で乗り越え、邪魔な放置車両などの障害物を冷凍トラック前面に生み出した謎金属製触腕で退かしながら進む。
 他の大半の生存者達には使えない手段のおかげで、途中で廃墟のサービスエリアで休憩してもなお、日が沈む前に自宅のマンションがある区域内に入ることができた。


「それにしても、街中のゾンビの数も減ったな」

「ゾンビどころかスケルトンの姿も見えませんネ?」

「単純に追加でゾンビ化するような生存者がいなくなったんだろうな。数が増えないなら、後は減っていくのみだろうし」


 周辺の気配を探ったところ、ゾンビやスケルトンらしき気配は感じるのだが生存者の、つまりは人間の気配は感じられない。
 先週かその前の週ぐらいまでは転々と人の気配はあったし、ドラッグストアでは生存者と戦ったりもした。
 アレらがこの辺りにいる俺達以外の最後の生存者というわけでもなかったのだが、こうして気配を探ってみてもモンスターの気配しかない。


「食料が尽きて死んだのかもな」

「移動したんじゃないデスカ? 私達が外出する度に数は減っていったでしょうシ」

「あー、その可能性もあるといえばあるか」


 このあたりに徘徊しているモンスターはゾンビやスケルトンといったアンデッド系のみ。
 グルメ番組によって食べられるモンスターがいると分かっても、アンデッド系モンスターは一目で食えるタイプではないことは分かるだろう。元人間が大半だし腐ってるしな。
 完全に飢え死にする前に可食モンスターがいる地域に移動するというのは、確かにあり得る話だ。

 微妙に進むのに邪魔だった放置車両を金属触腕で跳ね退けると、衝撃でガソリンが漏れてきた。
 世界変革から四ヶ月が過ぎたが、今ならまだ車に残っているガソリンは問題なく使えると思われる。
 その世界変革が起こったのが朝の時間帯だったことを考えると、補充のタイミング次第ではあるが、ガソリンが補充されて間もなかったガソリンスタンドも多いだろう。
 モンスターが出現してすぐの頃の混乱と、その後の生存競争によって一気に人が減った。
 生存者の殆どは避難所や自宅に引き篭もったようだし、利用者が殆どいないガソリンスタンドではまだまだ給油は可能なはずだ。
 食料的にも燃料的にも生存者達が拠点を移動するのは自然なことなのかもしれないな。


「まぁ、移動中や食料調達中に死んでるかもしれないけど」

「それを言ったらおしまいデス。あ、やっぱり家の近くにはいますネ」


 生者である俺達の気配を遠くから感知しているのか、自宅のマンションの敷地内にはちょくちょくゾンビやスケルトン達がやってくる。
 外出の前後でこのアンデッド達を排除しているのも区域内でモンスターが減少した原因なのかもしれない。

 マンション正面入り口前に停車すると、金属触腕に使った分とマンション正面入り口を封鎖するのに使った分の謎金属を操作する。
 この謎金属を再利用して冷凍トラックとマンション正面入り口を囲い込む金属壁を作り出してから、荷台の冷凍室内の牛系モンスター肉の搬入作業を開始した。
 壁の向こう側に集まってきたアンデッド達が自動迎撃によって倒されていくのを感知しつつ、二人がかりでエレベーターを使って運んだことで作業はすぐに終わった。


「じゃあ、適当に停めてくるから先に上がっていてくれ」

「分かりマシタ」


 ソフィアが最後のモンスター肉が入ったクーラーボックスを抱えてエレベーターに乗り込んだのを確認すると、壁に使った謎金属を使って一度マンション正面入り口を封鎖する。
 周りの壁に使った謎金属が消えたことで群がってきたアンデッド達に向かって、革手袋形態のアーティファクト〈黒金雷掌ヤルングレイプ〉から銀雷を放って処理していく。
 いつまでも名前が無いのもどうかと思ったので、某神話に出てくる神の手袋型アイテムの名前を付けた。
 これで雷のハンマーを持てば完璧だろうな。

 〈銀雷生成〉だけでもゾンビやスケルトンを倒すにはオーバーキルだったらしく、アンデッド達は次々と消し炭になっていった。


「クッサ。焦げ臭さは盲点だったな……帰ったら風呂入ろ」


 今日はガスマスクを持ってきてなかったため、腐敗臭と焦げ臭さがダイレクトに鼻にキタ。
 グレイヴで処理して肉片が飛び散るよりかはマシだが、やはり臭いものは臭い。
 冷凍トラックを立体駐車場近くに停めると、グレイヴ片手にマンション正面入り口へと向かった。



 
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