アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵

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第一章

第四十六話 安穏とはいかないらしい

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 ◆◇◆◇◆◇


「ーー遅いな」

「遅いですネ。日時は合ってるんですよネ?」

「ああ。ついさっき待ち合わせの時間から一時間が過ぎたな」


 そろそろ昼時の時間帯に突入しようとしている。
 だが、待ち人である超人部隊は未だ姿も気配も確認できない。


「電話やメール、SNSとかの連絡先は聞いていないんデスカ?」

「情報管理の一環とかで、規則で隊員といった身内以外には教えられないらしい」

「ナルホド。納得デス。それによって待ちぼうけを食らってますケド」

「そうなんだよなぁ……」


 まぁ、脅威度の高いモンスターを狩ったり、有力な人材のスカウトをしたりと忙しく各地を飛び回っていると聞いた際に、時間通りには来れない可能性もあるとも聞いていたので、特に怒りや不安はない。
 ただ、いつになったら来るのかなという、疲労感のようなモノがあるだけだ。

 昼食代わりに持参していた、モンスター肉を使った自作携帯食であるジャーキーモドキを食べながら根気強く待ち続ける。
 モンスターも人もいない周囲に変化があったのは、持ってきた二十個のジャーキーモドキが半分を切ったタイミングだった。


「……誰か来たな。数は一人か」

「移動スピードが速いですネ。車かバイクでしょうカ?」

「たぶんな。超人部隊か?」


 此方に向かって真っ直ぐ接近してくる気配を警戒していると、程なくして警戒対象が肉眼でも確認できる距離までやって来た。
 やってきたのはスタイリッシュなデザインの大型バイクで、運転手はライダースーツに身を包んでいる。
 身体のスタイルが良く分かる格好なのもあって、相手が女性であることが分かった。
 今の情勢下でも律儀にフルフェイスヘルメットを被っているため顔は分からないが、少なくともスタイルは良いのは間違いない。

 徐々にスピードを緩めていき、俺達から少し離れた位置でバイクは停車した。
 バイクから降りた女がヘルメットを取る。
 ヘルメットに隠されていた運転手の容姿を簡潔に表現するならば、切れ長の目に艶やかな質感の長い黒髪を持つ長身のクール系美女といったところか。
 外見的に年齢は二十代半ばぐらいだが、実年齢は意外と若い可能性もある。勿論その逆のパターンもあり得る。
 そんな一目で美女だと分かるほどの容姿端麗さだが、その整った容姿の中でも唯一瞳の色が紅いことだけが異質だ。
 カラコンかと思ったが、なんとなく違う気がするので、おそらくは何らかの能力由来の変質なのだろう。

 黒髪に白い肌、鮮やかな紅い瞳と非常に目立つカラーリングをした美女だと言える。
 紅目美女は、その場で手元のスマホと此方の顔を交互に見比べている。
 そういえば、本人確認用に顔写真を撮らされっけ。
 ただ、俺が会った超人部隊の面々の中にこんなにも目立つ容姿の美女はいなかった。
 いたら間違いなく忘れない自信がある。
 紅目美女は俺の顔の確認が済むと、訝しげにソフィアをチラッと見た後に此方に近付いてきた。


「お待たせしました。この場所で待っているということは、貴方が話に聞いていた方で間違いありませんか?」

「はい。そちらは超人部隊の方でしょうか?」

「はい。貴方が会った部隊とは違う所属ですが、同じく臨時政府に属する者です。〈黒鐘紫音クロガネシオン〉と申します」


 そういって紅目美女は首から下がっていた紐を外すと胸元からIDカードを取り出して手渡してきた。
 IDカードには彼女の氏名が書かれており、名前以外にも彼女の所属を示す幾つかの名称が記載されていた。
 どうやら超人部隊といっても幾つか種類があるようだ。
 今のご時世にこんな手の込んだ偽物を作るとは思えないので、本物の超人部隊の隊員だと思っていいだろう。

 今の俺は名刺を持っていないので、ソフィアと共に口頭で軽く自己紹介をした。


「それで、以前会った超人部隊の方々は?」

「……そのことについてお話したいところなのですが、移動しながら構いませんか?」

「はぁ、まぁ構いませんが」


 彼女からの軽い焦燥感を感じつつ了承すると連絡先を交換した。
 通話しながら移動し事情を説明するらしい。
 何かが起こっているようだが、少なくとも良いことではなさそうだな。


 
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