45 / 76
第一章
第四十五話 答えは其処にあるものだ
しおりを挟む◆◇◆◇◆◇
世界変革から五ヶ月が経過しようとしている、夏真っ盛りなそんなある日。
臨時政府直轄の超人部隊と再会を約束した日が、遂にやってきた。
「無事に話が進むといいデスネ」
「ホントになー。どうなることやら…….」
出来るだけ多くの実益が得られるように頑張るつもりだが、何せ俺は交渉の素人だからなぁ。
そもそもの話、どういう感じの交渉になるのかも分からないため、甘く見られないように武力だけは上げ続けてきた。
万が一にも向こうが此方を罠にかけるなど、敵対することになっても反撃し生き延びられるように力を上げ続けたという理由もある。
この国の生存者全体の戦闘力の最小値と最大値が分かれば楽なんだが、そんな都合の良い情報が現段階で分かるはずがないからな……。
「今の俺達の強さがどれほどか分かると交渉もしやすいんだけどな」
「強気に出るか、下手に出るかですカ?」
「有り体に言えばそうなるが、まぁ直接会えば気配で分かるだろう」
俺みたいに〈気配希薄〉が使える場合は意味がなくなるが、その時はその時だ。
朝早くから装甲機動車を走らせ、待ち合わせ場所である超人部隊と初めて会った旧自宅近くへと向かう。
この待ち合わせ場所は怪物トカゲと戦った場所でもある。
以前、デカウサギを狩りにいった際に近くを通った時には怪物トカゲの死体は骨だけになっていた。
他のモンスターに食われたようだが、骨はそのままだったため今も変わらず其処にあるだろう。
「この辺りを通るのはデカウサギ狩り以来ですケド、モンスターだけじゃなくて人の気配もしまセンネ?」
「ゲートが出現して掃き出されない限りモンスターも有限だからな。食用モンスターを探して生存者達も移動したんだろう」
「まるで遊牧民みたいデス」
「内容的には狩猟民族だけどな」
「確かにそうですネ」
現自宅がある地域のゾンビとスケルトン達の数も減っていたのと合わせると、もしかして最近は新規のゲートが出現していないのかもしれないな。
定期的に出現し続ける黄色ゲートを除けば、青色と赤色のゲートは最初に出現した際にモンスターを掃き出すと消滅してしまう。
黄色ゲートの目撃情報の少なさから出現率も察せられる。
黄色ゲートが掃き出すモンスターが食用可の場所、無闇に黄色ゲートのボスモンスターを倒してしまうと、食用モンスターの存在で解消されつつあった食料不足の問題が再び深刻化しそうだ。
「……まぁ、後の祭りか」
「何がデス?」
「いや、せっかく食える牛系モンスターを掃き出す黄色ゲートがあったのに、ボスを倒してゲートを消してしまったなぁ、と思ってな」
「んー、黄色ゲートを維持するならボスモンスターはそのまま生かしとく必要がありますよネ?」
「そうなるだろうな」
「あの黒ミノタウルスを放置して牛肉の定期調達は無理だと思いマスヨ?」
「……確かに無理だな」
結局のところ、黄色ゲートを維持するにはボスモンスターが雑魚であり、生かしたまま隔離する何かしらの手段がなければ無理というわけか。
だから、黒ミノタウルスを倒して牛肉ゲートを消滅させた俺は何も悪くナイ……。
「っと、到着だ。まだ来ていないみたいだな」
装甲機動車を停車させて車から降りる。
其処には真夏の暑さによる腐敗も重なったことで僅かに残っていた肉も腐り落ち、完全に骨だけになった怪物トカゲの死体があった。
周辺の気配を探るが、待ち合わせの時間まで時間があるからか、超人部隊はまだ来ていないようだ。
「コレが怪物トカゲですカ? 話には聞いてましたケド、本当に大きいデスネ」
「今なら分かるが、この怪物トカゲは時期的に赤色ゲートのボスモンスターだったんだろうな」
「アーティファクトは……」
「出現していない。たぶんな」
ネット上ではアーティファクトの出現率は低いと言われているが、参戦人数が多ければ多いほど出現率が低くなるとかの条件がありそうだ。
ソフィアと出会う前に戦った怪物トカゲを除くと、俺達は計三体のボスモンスターに遭遇している。
遭遇時こそ二人で相対したが、実際の戦闘ではボスモンスターとは単独で戦い勝利していた。
参戦人数が多かった怪物トカゲの件も含めて考えると、参戦人数でアーティファクトの出現率が変わるというのは割りと本気であり得る話だと思う。
つまり、他にアーティファクトを持っている者は単独か少人数でボスモンスターを狩れるほどの強者ということになる。
アーティファクトの有無は、一目で相手が強者かどうかを判断するのにちょうど良い指標にできそうだ。
12
あなたにおすすめの小説
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。
タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。
しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。
ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。
激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。
天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~
仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ダンジョン菌にまみれた、様々なクエストが提示されるこの現実世界で、【クエスト簡略化】スキルを手にした俺は最強のスレイヤーを目指す
名無し
ファンタジー
ダンジョン菌が人間や物をダンジョン化させてしまう世界。ワクチンを打てば誰もがスレイヤーになる権利を与えられ、強化用のクエストを受けられるようになる。
しかし、ワクチン接種で稀に発生する、最初から能力の高いエリート種でなければクエストの攻略は難しく、一般人の佐嶋康介はスレイヤーになることを諦めていたが、仕事の帰りにコンビニエンスストアに立ち寄ったことで運命が変わることになる。
どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-
すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン]
何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?…
たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。
※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける
縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は……
ゆっくりしていってね!!!
※ 現在書き直し慣行中!!!
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる