万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第三章

第百二十六話 秩序の聖像

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 ◆◇◆◇◆◇


 スカジャダの討伐によって宝物庫前のボス戦が終了したと見なされたらしく、イラダムの分も含めて2体分のボス宝箱と通常ドロップのアイテムが出現した。
 ボス宝箱の中身はそれぞれのボスに関連したマジックアイテムだったのだが、通常ドロップのアイテムは共に色違いのエンブレムだった。
 この赤と青のエンブレムは、正確にはエンブレム型の宝物庫の鍵であり、この2つのエンブレムを扉にある窪みに嵌め込むことで開かれる仕組みだ。


「お、ちゃんと開いたな」


 2つのエンブレムを嵌め込んだことで鍵が解除され、ゴゴゴッと重量感のある音を立てながら宝物庫の扉が開かれた。
 扉の先に真っ直ぐ伸びる道幅の広い通路を進んでいくと、至るところから眩い光が放たれている開けた空間に出た。
 室内には博物館の展示品の如くガラスケースに納められたマジックアイテムが大量に並べられており、その殆どから強い魔力が放たれているため、この魔力密度では低位の覚醒者には耐えられないかもしれない。
 幸いにも、俺達は王級1人と上級3人なので特に問題はないだろう。


「凄い魔力……」

「いっぱいありますね」

「どれもこれも高そうなアイテムばかりね」

「想像以上の数だな。ああ、あった。皆、あそこの壁を見てくれ」


 指差した宝物部屋の壁には銀色の星型のオブジェクトが設置されており、その5つの頂点には黄金色の炎が灯っていた。
 アレこそがこの部屋で最も重要なモノだと言っても過言ではない。


「アレは此処から外へと持ち出せるアイテムの数を示しているオブジェクトだ。宝物庫前のボス戦の戦果によって灯る炎の数が変わる。5つの炎は最高評価だな」

「それじゃあ、5個までお宝を持ち出せるんですね」

「ああ。全ての炎が消えた瞬間、宝物庫の外へ強制退出させられて俺達は2度と入れなくなるから慎重に選んでくれ。詳しくは知らないが、各アイテムの説明はガラスケースを注視したら分かるようになってるはずだ。あと、少し試したいことがあるから、各自1つずつアイテムを選んだら再び集合してくれ。アイテムに触れたら炎が消えるから気を付けてくれよ」

「分かりました」

「はーい」

「分かったわ」

「そういえば、エリーの目的の物はちゃんと此処にあるんだよな?」

「ええ。一緒に来てくれる?」

「興味があるし、一緒に行くよ」


 一先ず解散して各々で宝物部屋を散策する。
 俺とエリスは共に室内の一角に向かい、1つのガラスケースの前で立ち止まった。
 そこには青い結晶で作られた蛇の像が置かれており、よく見ると脱皮中の蛇を表現しているように見えた。
 ガラスケースを注視すると、『生と死を象徴する聖なる像。相応しい者に力を与える』といった説明がガラス面に浮かび上がった。

 その蛇の像〈秩序の聖像〉が納められたガラスケースにエリスの手が触れると、ガラスケースが大気中に溶けるように消滅した。
 隔てる物が無くなった蛇の像をエリスが掴んだ瞬間、像が眩い青い光を発する。
 蛇の像は光を発しながらエリスの身体の中へと入っていき、やがてその姿は見えなくなった。


── クエスト『聖女候補を導け』が達成されました。
──制限時間内に目的地に到達しました。
──聖女候補セイント・キャンディデート:神城エリスが〈救災の聖女〉のルートへと進みます。
──難敵に勝利しました。
──短時間でクエストを達成しました。
──クエスト対象人物がクラス〈聖女〉を獲得しました。
──報酬が確定します。
──達成報酬としてスキル【劣・神秘ノ代償レッサー・ディヴァイナー】、アイテム〈贄殿ノ指環〉、各種能力値ポイント+15を獲得しました。
──困難な道を選択しました。
──特殊なスキルを所持していることが確認されました。
──特別報酬:スキル【劣・神秘ノ代償レッサー・ディヴァイナー】→ 【偽・神秘ノ代償デミ・ディヴァイナー


 まさか、クエスト報酬で回帰前の〈災厄の聖女〉となったエリスの代表スキル【神秘ノ代償ディヴァイナー】の亜種スキルが手に入るとは思わなかったな。
 〈救災の聖女〉のルートに進んだことで潰えた可能性を拾い上げたとか、そんな感じなのだろうか?
 まぁ、こちらでもエリスが【神秘ノ代償ディヴァイナー】を取得する可能性はあるから一概には言えないか。


「何か変化はあったか?」

「……頭のモヤが消えたような、何となくスッキリした感じはするけど、それ以外に特に変化はないと思うわ」

「そうか。もしかすると王級へのランクアップ時に何か恩恵があるのかもしれないな」

「なるほど。それはありそうね」


 どうやらエリスは自分の身に起きた変化がはっきりと分からず戸惑っているようだ。
 アーティファクトである〈月神の賢眼〉でエリスを鑑定してみても、クラスの〈聖女〉のところが〈聖女?〉になっていることぐらいしか分からない。
 意味深な表記だが、おそらく王級へのランクアップ時に〈救災の聖女〉というクラスを取得することが確定しているからだと思われる。
 これで〈救災の聖女〉云々が関係なかったら逆に驚きだ。

 さて、エリスからの頼みであり〈システム〉のクエストだった件も無事に終わったことだし、俺も宝物庫からお宝を選ぶとしようかな。



 
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