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第三章
第百二十八話 ダンジョンからの帰路
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俺のクラススキル【混沌再世】で宝物庫から獲得できるアイテムの数を増やし、合計で9個のアイテムを獲得した。
リリアは〈幻想魔女杖ファンタズム〉〈黄金魔女環ギーア〉、マリヤは〈暴喰天盾ベルゼ〉〈大精霊に祝福されし騎士外套〉、エリスは〈秩序の聖像〉〈能天聖杖エクシア〉、俺は〈財宝王の四宝具:天運導く耳飾り〉〈冥獄王の四死王具:冥府ノ外套〉とそれぞれ2個ずつ選び、最後の1個は全員で話し合って選んだ。
遺物級の〈天運導く耳飾り〉と特殊アイテムの〈秩序の聖像〉を除けば、その全てが叙事級のマジックアイテムであり、道中で倒したボスモンスター達から獲得した同格の戦利品の数々と合わせて、1度のダンジョンアタックでの成果としてはかなりのものになる。
王級1人上級3人のたった4人で約1日ほどで成遂げたことだと言っても、一体どれだけの人が信じてくれるだろうか?
まぁこれも道中を大幅にショートカットし、回帰前の情報で対策し、【混沌再世】で宝物庫からの戦利品を増やしたおかげだ。
俺達4人は二度と魔王城の宝物庫に入れないが、戦利品のアイテムを自分で選べる宝物庫が持つ価値は非常に高い。
道中のボスモンスターからの戦利品も良いものばかりだし、このダンジョンのことをレイカ先輩に教えてあげるのもアリだろう。
鑑定宝玉を早期に開発させてくれた礼をしたいと思っていたからちょうど良い。
「帰りはオークを見かけませんね」
「まぁ、そういう時もあるさ」
「豚肉が……」
「オーク肉な、って行きの時もしたな、この会話」
マリヤの豚肉発言にツッコミを入れながらハンドルを切る。
宝物庫から閉め出された後、帰りは異能【万物変換】の第7層能力【座標変換】でダンジョン内のゲート前まで一気に転移した。
そこからダンジョンを脱出し、近くに停めておいたレンタルの型落ち軍用車に乗って封鎖地区を駆けている。
往路の時とは違って搭乗者にエリスが増えているが、車内にまだまだ余裕がある点は流石は元軍用車だと言うべきか。
「ダンジョン後の打ち上げはモンスター肉も扱う高級焼肉店ですよね?」
「よく覚えていたな」
「だってお腹が空きましたもの」
「まぁ、なんだかんだで丸一日ぐらいダンジョンにいたからな」
予想以上に長くダンジョンに滞在して強敵との死闘を繰り返したため、各自で事前に持ち込んだ食べ物だけでは不十分だった。
そのため、空腹を訴えているのはマリヤだけではなかった。
「お腹は空きましたけど、その前に汗を流したいです……」
「同じく。私の場合は臨時パーティーメンバーの死亡手続きもしないといけないわ」
「あー、それもあったな。連戦の疲労もあるし、打ち上げは明日以降にするか」
「「賛成」」
「んー、まぁ仕方ないですね。私も眠いですし」
全員が賛成したので打ち上げは後日に回すことになった。
幸か不幸か、一度もオークに遭遇することなく封鎖地区への人の出入りを管理する入場門に辿り着いた。
借りた軍用車を返した後、探索者協会の職員へ臨時パーティーメンバーの死亡手続きをしているエリスの横で、俺も回収しておいた探索者達の死体を職員に引き渡し、任意での事情聴取を受けた。
幸いにも、遺体にあった損壊具合からオークにやられたものであるのは分かるようで、俺達が殺したなどと疑われることはなかった。
ダンジョンの深部まで行っていたことは除いて、俺達3人とエリスが邂逅するまでの経緯を職員に説明すると、死亡手続きは終わり解放された。
「手続き自体はスムーズに終わりましたけど、もう夕方ですね」
「ホテルを取るならギリギリか。そういえば、エリーは何処に住んでるって言ってたっけ?」
「A県のH市よ」
「あ、そうだった。隣の市だったな。それなら打ち上げは家の近くでするか」
「ええ。そうしましょう。フフフ、お互いに家から遠く離れた場所に遠出した先で出会ったのに、住んでるところは近かっただなんて、凄く運命的よね?」
「そう、かもな?」
グイッと近寄ってきたエリスの圧に押されながら、予め呼んでおいたタクシーに乗り込む。
行きの時よりも1人増えているので、全員で後部座席には座れない。
やはりここはパーティーで唯一の男である俺が助手席に座るべきだろう。
「……マリヤ?」
「どうしました?」
「何故助手席に座るんだ?」
「私が一番身体が大きいからです」
「行きの時は普通に3人で座ってただろ」
「今は4人ですからね。自主的に前に座ろうとする私って良い女ですよね」
「悪意を感じるんだが……」
「気のせいですよ、リーダー」
惚けるマリヤは助手席から動くつもりがないようなので、諦めて後部座席へと向かう。
行きの時はマリヤ、リリア、俺の順で座っていたのに、今はリリアとエリスに挟まれる形で座らされている。
ダンジョンで得た戦利品は一度全て俺の【堕天の蔵】に収納しているため、荷物は嵩張っていない。
だというのに、後部座席は凄く圧迫感を感じる空間と化していた。
「エリス? クロヤさんが窮屈そうだから少し離れた方がいいと思いますよ?」
「そんなことないわよ。そういうリリアだってクロヤに密着し過ぎなんじゃない?」
俺を挟んで交わされる2人の会話内容や、左右から密着している2人の身体の柔らかさなどを意識しないように努力する。
忍耐力を試されるこの空間から抜け出すためにも、早く駅に着いてくれることを密かに祈るのだった。
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