万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第三章

第百二十九話 戦果の再確認




※新作のお知らせ
 いつも拙作を読んでいただきありがとうございます。
 新作を書きましたので、この場を借りて簡単に宣伝させていただきます。


・『新世機生のアポストル』

 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。
 新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。
 旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。
 そんな世界に生きる若きベテラン探索者のベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。
 泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ったベリエルは、直後の依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……そんなSFっぽい感じもあるファンタジー作品です。

 興味がありましたら是非ご覧くださいませ。


 ◆◇◆◇◆◇


「──2人共、二日酔いか?」


 高価なモンスター肉を扱う高級焼肉店で打ち上げをした翌日。
 待ち合わせ場所にやってきたリリアとマリヤは、2人して病人であるかのようにマスクをしていた。
 これでサングラスと帽子を着けていたら完全に不審者スタイルだったが、幸いにも風邪予防スタイルでやってきた。


「よく分かりましたね……」

「リーダーもあんなに飲んだのに平気そうですね」


 2人のステータスに表記されている〈頭痛〉〈不快感〉などの状態異常から目を外し、〈月神の賢眼〉の鑑定能力の発動を解除する。
 マスクをして顔を隠しているということは、もしかして顔がむくんでいるんだろうか?


「まぁ、状態異常を消せる能力があるからな。昨日の打ち上げから帰った後に〈酩酊〉状態を消しておいたんだよ」

「「ズルい!!」」

「うおっ!?」


 詰め寄ってきた2人の圧に思わず後退る。
 ズルいと言われても俺自身の力なんだがな。
 

「それって自分以外にも使えますか?」

「まぁ、使えるけど」

「使ってください。お願いします」

「お願いします!」

「あ、はい」


 異能【万物変換コンバート】の第6層能力【状態変換】を2人に使用して、各種状態異常を健康な状態へと変換していった。


「お待たせ、って何をしてるのよ、3人共?」

「リリアとマリヤが二日酔いだから快復させてやってるんだよ。エリーは大丈夫そうだな」

「私、二日酔いとかなったことないのよ」

「なるほど。それならエリーは快復させる必要はないか」

「まぁ、ちょっと食べすぎて胃の調子が悪かったけど、自分の魔法で治したわ」

「……ちょっと、って言うわりには、かなりの量の肉を食べてたけどな」


 俺とマリヤも結構食べたが、俺達は戦士系の肉体と戦闘スタイルだから大食いでも不思議ではない。
 だが、回復役ヒーラーであるエリスが俺達以上に食べるとは思わなかった。
 その代わりエリスは殆ど酒は飲んでいなかったけど、あの食欲には本当に驚いた。
 ちなみに、リリアとマリヤが飲み食いした肉と酒の比率が7対3ぐらいで、俺は肉に偏っていたので大体8対2ってところだ。

 雑談もほどほどにして、集合場所から探索者ブースへと移動する。
 探索者ブースで借りた個室に入り、室内に監視カメラなどの類いの有無をチェックしてから席に着く。


「それじゃあダンジョンの戦利品の整理をするとしようか」


 大テーブルにF県の封鎖地区内にある特異性ダンジョン〈幻想遊戯〉で獲得した戦利品を並べていく。
 〈幻想遊戯〉で得た戦利品だということを隠すため、封鎖地区を出る際は入った時と同じ装備に戻した上で探索者協会のチェックを受けた。
 あのダンジョンの価値──正確には深部の魔王城エリアの宝物庫の価値と言うべきか──を今は隠す必要があるからだ。
 打ち上げの次の日に再び集まったのは、俺が3人から預かっていた戦利品を返すためでもある。


「取り敢えず、ボスからのドロップと宝物庫から回収した分のアイテムはこれで全部かな?」

「そうですね。私はこれで全部です」

「私も全部あります」

「私も大丈夫よ」

「そうか。数が数だから、念のため口頭で確認していくぞ」


 スマホにメモしておいた戦利品とそれぞれの分配一覧と見比べながら今一度確認を取っていく。
 俺は、素材アイテムの〈闇竜の魂石〉と〈悪魔金剛鉱〉、指環型マジックアイテムの〈聖邪の魔環〉、手甲型マジックアイテムの〈氷獄巨人の手甲〉、イヤリング型マジックアイテムの〈財宝王の四宝具:天運導く耳飾り〉、クローク型マジックアイテムの〈冥獄王の四死王具:冥府ノ外套〉の計6個。
 リリアは、イヤリング型マジックアイテムの〈悪魔姫の秘涙〉、指環型マジックアイテムの〈炎精の護環〉、長杖型マジックアイテムの〈幻想魔女杖ファンタズム〉、腕環型マジックアイテムの〈黄金魔女環ギーア〉の計4個。
 マリヤは、全身鎧型マジックアイテムの〈黒煌魔鎧アグレシア〉、ネックレス型マジックアイテムの〈炎命の首飾り〉、大盾型マジックアイテムの〈暴喰天盾ベルゼ〉、サーコート型マジックアイテムの〈大精霊に祝福されし騎士外套サーコート〉の計4個。
 エリスは、ネックレス型マジックアイテムの〈竜の魂骸〉、腕環型マジックアイテムの〈氷魔の結晶核〉、既に使用されて手元にはない特殊アイテムの〈秩序の聖像〉、長杖型マジックアイテムの〈能天聖杖エクシア〉の計4個。

 続けて、〈幻想遊戯〉のボスモンスターからはボス宝箱分と通常ドロップ分の2つのアイテムが手に入るので、それぞれのドロップ結果と紐付ける形でも分配漏れがないかを確認していく。
 〈闇躯竜骸ネクロス・ボーンドラゴン〉からは、〈竜の魂骸〉と〈闇竜の魂石〉。
 〈紫炎の悪魔騎士長ヴィオフレア・デビルズナイトリーダーアグレスム〉からは、〈黒煌魔鎧アグレシア〉と〈悪魔金剛鉱〉。
 〈悲嘆の狂歌麗嬢クレイジー・グリーファーシェルティア〉からは、〈聖邪の魔環〉と〈悪魔姫の秘涙〉。
 〈青生霊鎧の氷凍巨人アポイラ・フロストジャイアントスカジャダ〉からは、〈氷魔の結晶核〉と〈氷獄巨人の手甲〉。
 〈堕ちた炎熱の精霊イフリート・ダウンフォールンイラダム〉からは、〈炎精の護環〉と〈炎命の首飾り〉。

 そして最後に宝物庫からの獲得した分も再確認していった。


「んで、宝物庫で最後に選んだのが〈豊穣の大釜〉っと」


 宝物庫で選んだ計9個のアイテムの最後の1つをテーブルに置く。
 一見すると地味な見た目をした蓋付きの大釜だが、その能力はアーティファクトかと錯覚してしまうほどに有用だった。
 その効果は、『釜の中に入れた同格までの消費型マジックアイテムを1日1回1個までノーコストで増殖する』というもの。
 〈豊穣の大釜〉の等級は叙事エピック級なので、叙事エピック級までの消費型マジックアイテムを毎日1個増やせることを意味していた。

 誰かの装備品を選ぶことも考えたが、能力の有用性と希少性の観点から数あるアイテムの中から〈豊穣の大釜〉を選んだ。
 扱いとしては、パーティー共有の備品であり財産になる。


「さて、この大釜だけど、誰が管理する? 管理する人には毎日アイテムを増やしてもらいたいんだが」

「それなんですけど、ちょっといいですか、クロヤさん」

「どうした、リリア?」

「実は昨日、私達3人で同じ家で生活しないかって話をしていたんです」

「そうなのか? シェアハウスってことだよな。いつの間にそんな話を?」

「リーダーが女の人に連絡を取っていた時です」
 
「ああ、あの時か」


 昨日の打ち上げの最中、レイカ先輩に〈幻想遊戯〉のダンジョンのことを直接会って話すべく、都合の良い日を尋ねるために連絡を取った。
 電話で席を外している間に女性陣でそんな話をしていたらしい。


「前にも話しましたけど、探索者として知名度が上がったことで今住んでいる場所に居づらくなったんです。だから、何処かに引っ越そうかと思っていた時にこんなのを見つけました」


 そう言ってリリアが見せてきたのは、とある不動産屋の公式サイトだった。
 そこには現役探索者にもお勧めのシェアハウスプランなどと銘打たれていた。
 というか、此処って。


「俺が住んでるマンションじゃないか」


 つまりは、レイカ先輩の実家である天城家が経営している覚醒者向け高層マンションということだ。


「パーティーメンバーが近くに住んでいた方が探索者として活動する際に色々と都合が良いと思うんです」

「ちなみに発案者はリリアですよ」


 うん。なんとなくそんな気はしてた。


「私もこれまでの臨時の助っ人兼配信者の活動を辞めるから、心機一転の意味でも賛成したわ。家賃の負担も減らせるし、クロヤの近くにも住めるし良いこと尽くしよね」

「3人で住むなら、大釜の管理も1人でするよりも楽だと思います。なので、大釜の管理は私達でやりますよ」

「正確には引っ越してからですね。それまではリーダーに管理を頼みます」

「分かった。それなら3人が引っ越してくるまで俺が管理しておくとしよう」


 こうやって具体的な話をするということは、引っ越すのは確定なのだろう。
 あのマンションは1人で暮らすには広い家だが、3人で暮らすなら確かにちょうど良い広さかもしれない。
 折半してもなお家賃は高さそうだが……事前にレイカ先輩に言ったらサービスしてくれたりしないかな。
 ダンジョンの情報を教える際にダメ元で聞いてみるとするか。
 


 
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