万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

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第三章

第百三十四話 珠玉の権果

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 ◆◇◆◇◆◇


 資源ダンジョン〈紅果の森〉の深層部に出現するハチ系モンスターである〈紅喰大魔蜂クリムゾンホーネット〉は非常に凶暴だ。
 深層部にのみ生えている紅果の木に咲く花から蜜を集める役目があるため、その紅果の木に近寄るならば探索者や他のモンスターに関係なく敵と見做し襲い掛かってくる。
 そんな凶暴なクリムゾンホーネットだが、攻撃的な上に単独では行動しない。
 多い時は10体ものクリムゾンホーネットが一塊になって行動しており、そういった数の多い集団との遭遇率は奥に行けば行くほど上がっていく。

 現在俺達は深層部の中でも奥まった場所にいるため、多くのクリムゾンホーネットで構成された集団に頻繁に遭遇していた。
 だが、未だに1度もクリムゾンホーネットから攻撃を受けていなかった。


「リリア、任せた」

「任されました。えい!」


 遠くに見える紅色の果実と見紛う色をした5体のクリムゾンホーネットに向けて、リリアから特殊属性魔力が照射される。
 〈魔女〉のクラスとレベル、そして各種マジックアイテムによって強化された魔力制御力は、リリアの異能【魔性運命ファムファタール】が持つ特殊属性魔力である運命属性魔力を指向性を持たせた上で高速で照射することができるほどになっていた。
 運命属性魔力を浴びたクリムゾンホーネット達が、抵抗レジストできずに次々と〈魅了〉状態になっていく。
 程なくして全てのクリムゾンホーネットが魅了状態になり、お互いを攻撃しはじめた。
 その光景をチラリと眺めた後、視線を周囲の紅果の木々へと向ける。


「さて、権果を探すか」

「そうね。それにしても本当によく効くわね」

「昆虫系のモンスターは支配者階級でもなければ知性が低いからな。種族的にも本能に偏った生態だから魅了とかの精神に干渉する力は効きやすいんだよ」

「つまり、ハチ達はリーダーとリリアのフェロモンにやられたということですね」
 
「それは何か違う気がするが……まぁ、俺達の魔力に惑わされているのは確かだな」


 俺も異能【万物変換コンバート】で通常の魔力の属性を変換して運命属性魔力を使用できるため、クリムゾンホーネットへの魅了攻撃はリリアと交代で行なっている。
 クリムゾンホーネットによる攻撃は苛烈で、同士討ちが終わった頃には最後まで生き残った個体は大ダメージを負っているので、倒すのは非常に簡単だ。
 その最後の1体をリリアが攻撃魔法で倒すのを横目に見つつ、周囲の紅果1つ1つを鑑定し権果を探す。
 プラス効果の迷果があった時以外はその場から動くことはなく、4人で分担して周りに実っている紅果を鑑定していく。

 深層部の奥地に向かうほど多くの紅果が実っており、この紅果とは〈珠玉の迷果〉と〈珠玉の権果〉で構成されている。
 迷果は更にプラス効果とマイナス効果に分けられるため、実質的に全部で3種類の紅果があることになる。
 その紅果を実際に1つ1つ鑑定していったところ、7割がマイナス効果の迷果で、3割弱がプラス効果の迷果だった。
 残る権果についてだが、紅果を100個鑑定して1個あるかどうかの確率であり、この5時間で1000個以上鑑定して8個しか見つからなかった。


「お、見つけた」

「権果ですか?」

「ああ。これで9個目だな」

「リーダーが1番発見しますね」

「やっぱりステータスの幸運値の高さが関係するのかしら?」


 一定範囲内の財宝を探知する〈財宝王の四宝具:財を漁る魔宝環〉の【財宝探知】、財運を高める〈財宝王の四宝具:命運握る首飾り〉の【財運招福】、直感力を高める〈財宝王の四宝具:天運導く耳飾り〉の【勘威宝冠】。
 この3つの財宝王シリーズのマジックアイテムの能力のシナジーにより、最も価値のある紅果である権果がある場所がなんとなく分かる。
 装備ボーナスで幸運値も上がっているため、場所を移動する度に権果を発見することができていた。
 感覚的には奥地に向かって根刮ぎ権果を採り尽くしている気分だ。
 権果が再び採取可能になるインターバルがどのくらいかは知らないが、アイテムの希少性を考えると半年ぐらい必要かもしれないな。


「どうせ売却するつもりはないし、さっきの能力値増大の迷果みたいに今食べてしまおうか」

「良いですね!」

「果実を食べてスキルが獲得できるってどんな感じなのか楽しみです」

「使えるスキルが当たると良いんだけど」


 9個見つかった権果の内、1個はキープしておき残りの8個を4人で均等に2個ずつ分けていく。
 ちなみに取り分けるのは俺がさせられた。


「何故俺が……」

「クロヤさんに任せた方が良いスキルが当たりそうですので」


 自分でもそんな気はしてるけど、パーティーメンバーの共通認識になっているのがなんだかなぁ……まぁ、いいか。


「こんなところか。この残る1個はキープしとくぞ」

「はい。お願いします」

「それじゃあ、いただきます」

「「「いただきます」」」


 権果を食べた途端、口の中に甘酸っぱい味が広がる。
 その味を噛み締めていると、〈システム〉の通知を知らせるウィンドウが目の前に表示された。


──特殊アイテム〈珠玉の権果〉が使用されました。
──スキル【鏡像ノ偽権ミラーコード】を獲得しました。

──特殊アイテム〈珠玉の権果〉が使用されました。
──スキル【断罪】を獲得しました。

──条件が達成されました。
──スキル【悲嘆の悪魔グリーファー・デビル】【混沌魔手】【無情狂声】【断罪】が統合され、スキル【悪獄ノ王マーレボルジェ】を獲得しました。



 
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