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第一章
第七話 ロックゴーレム
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休憩を終えてダンジョン攻略を再開する。
再開したダンジョン攻略は、宝箱から手に入れたマジックアイテム〈盗賊王の七つ秘具:盗賊王の技装手〉によって非常にスムーズに進行した。
このマジックアイテムの能力【盗賊王の万能錠】は、能力の対象物が同ランク以下ならば、その対象物にかけられている凡ゆるロックを解除できるというものだ。
〈盗賊王の技装手〉の等級は叙事級と非常に高く、これは上から3番目の等級にあたる。
つまりは、叙事級に相当する罠までは無条件で解除できるということを意味している。
何より素晴らしいのは、能力を発動するのに魔力が殆ど必要ないことだろう。
おかげで、同化中は魔力を消費し続けるアーティファクト〈月神の賢眼〉の空間認識能力も併用することができていた。
そうして罠を看破し、その罠を解除してストレスなくダンジョンを進んでいった。
これら2つのアイテムの力があれば、最早このダンジョンの攻略は楽勝だな。
「……と思っていたらモンスターが出るのかよ。フラグを立てちまったな」
二振りの〈八咫烏の三翅刀〉を両手に持って構えると、通路の先から姿を現した魔法生物系モンスターを見据える。
人型の岩人形と称するのが適切な見た目をしている〈ロックゴーレム〉は、そのゴツゴツとした体表を裏切らない高い防御力を持つ。
〈八咫烏の三翅刀〉は高位マジックアイテムに片足を踏み入れる程度には良い武器ではあるが、このようなゴーレム系には刃物系よりも鈍器系の武器が適している。
一応は高位マジックアイテムなので、このままでもロックゴーレムを斬れるだろうが、鈍器系武器と比べるとダメージ量は少ないだろう。
武器の損耗に関しても、〈八咫烏の三翅刀〉の条件付き自己修復能力があるので、このまま戦闘を開始しても問題はないだろう。
「とはいえ、効率的じゃないのは確かだな」
──異能【万物変換】を発動します。
──魔力属性を〈陽光〉から〈破壊〉へと変換します。
──魔力属性の変換に成功しました。
〈八咫烏の三翅刀〉には【太陽の一刃】という能力がある。
陽光属性の力を刀身に宿すという能力なのだが、この陽光属性の力とは、つまりは陽光属性の魔力を意味している。
その陽光属性の魔力を異能【万物変換】を使って破壊属性の魔力へと一時的に変換した。
アーティファクト〈月神の賢眼〉のステータス鑑定能力によれば、異能【万物変換】の第3層能力【属性変換】は、『自らの魔力を認識済みの属性魔力へと変換可能』というモノらしい。
その鑑定結果通りならば、マジックアイテムがその能力によって宿す魔力を別の属性魔力へと変換することは不可能ということになる。
だが、俺は前世でマジックアイテムが宿す魔力を任意の属性魔力へと変換したことがあった。
その前世での経験があったため、同じように変換してみたのだが、予想通り属性魔力の変換に成功した。
この鑑定結果の矛盾についてだが、おそらくこの『自らの魔力』には、『俺自身の魔力』だけでなく、『俺が装備しているアイテムの魔力』も含まれているのだと思われる。
状況証拠からの推測だが、たぶん間違っていないだろう。
〈月神の賢眼〉のステータス鑑定能力が低い所為で正しく鑑定出来なかった可能性も考えられるが、前世での鑑定実績からアーティファクトである〈月神の賢眼〉の鑑定能力が低いとは思えない。
元より覚醒者が稀に有する異能には、その真価が判り難いモノも珍しくないため、鑑定系アーティファクトを使ってもその全貌を完全に解き明かすことは難しいのだろう。
異能に関してはアーティファクトの鑑定結果を鵜呑みにしない方が良さそうだな。
〈八咫烏の三翅刀〉の刀身に黒い光を宿らせたまま、ロックゴーレムへと駆け出す。
今いる回廊には罠が仕掛けられていないため、足元を気にすることなくロックゴーレムとの距離を詰めた。
迫り来る俺に対して、ロックゴーレムはその大質量な巨腕を振り下ろしてきた。
「遅いなッ!」
地面を蹴って跳び上がると、振り下ろされた岩の巨腕が身体のすぐ近くを通り過ぎていく。
背後で回廊の床が砕ける音を聞きながら、ロックゴーレムの頭部へと双刀を振るった。
刀身に宿した破壊属性の魔力によって容易く頭部を破壊できたが、それでもロックゴーレムが動きを止める気配はない。
まぁ、基本的にゴーレム系モンスターは心臓部にして動力であるコアを破壊しない限り活動停止しないので、頭部を失っても止まることはないだろう。
つまりは予想通りということだ。
「さてさて。その潤沢な魔力を頂こうか」
ロックゴーレムの頭部があった場所にしがみつくと、異能【万物変換】の第2層能力【彼我変換】を発動させる。
これは『俺と俺以外のモノの生命力と魔力を相互に変換する』という能力だ。
この力によってロックゴーレムが有する魔力を俺へと変換することで、ここまでの探索で消費した魔力を回復させる。
ゴーレム系モンスターにとって、魔力とは身体を動かすための燃料のようなものだ。
その燃料を奪われることは命を奪われるに等しいからか、抵抗するようにロックゴーレムが激しく暴れ回る。
だが、外部情報を取得し思考するための機能が多く集まる頭部が破壊されているため、ロックゴーレムは自分の頭部があった場所に張り付いている俺を引き剥がすという判断ができずにいた。
ゴーレム系モンスターは前世で討伐経験が豊富なので、ロックゴーレム程度なら倒すのは慣れたものだ。
魔力が全回復してもまだロックゴーレムが動いていたので、その余剰魔力を使ってロックゴーレムの巨腕を無力化するために肩部を攻撃した。
破壊属性の魔力を宿す刀身を、地面を掘るようにロックゴーレムの肩へとザクザクと突き立て続ける。
ロックゴーレムが暴れ回った際に飛散した床や壁の破片が当たり多少怪我をしたが、ロックゴーレムの生命力を俺に変換することですぐに治癒できた。
瞬時に治癒された負傷箇所から白煙が上がるのを横目に見ていると、突然ロックゴーレムの動きが止まった。
変換できる魔力が無くなっていることから、これ以上は動くことはできないようだ。
ロックゴーレムの正面に降り立つと、首無し片腕無しのロックゴーレムの胸部を斬り刻んでいく。
やがて露出したコアを真っ二つにして破壊することで、確実にロックゴーレムを討伐した。
「フゥ。やっぱりゴーレム系は倒すのに時間がかかる。早く強くならないとな」
ゴーレム系モンスターのコアは高純度の魔力構造物で高く売れるため、しっかりと回収しておく。
背中に背負っているリュックサックにコアの残骸を全て押し込んでから、ダンジョンの攻略を続行した。
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