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第一章
第八話 ランクアップ
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回帰してから初のロックゴーレム戦の後もゴーレム系モンスターとの戦いは続いた。
ダンジョンの奥に進むにつれてゴーレム系モンスターとのエンカウント率が上がっていき、モンスターがいる通路上にも罠が設置されているようになっている。
幸いにもと言っていいか微妙だが、ロックゴーレムとは別種のゴーレム系モンスターの強さは、強くてもロックゴーレム程度だった。
その上、通路の広さの関係からか、出現する数は1体ずつだったため十分に対処することができた。
・ロックゴーレムのコア残骸×3
・ストーンゴーレムのコア残骸×4
・フレイムゴーレムのコア残骸×1
・ファイアゴーレムのコア残骸×2
・アクアゴーレムのコア残骸×2
・ウォーターゴーレムのコア残骸×3
ここまでにゴーレム達から得た戦利品から、下位種と上位種がいることが分かる。
無生物タイプであるゴーレム系モンスターしかいないため、通路上の罠は毒ガスなどの無生物には効果が無く、生物には効果がある罠しかない。
罠の位置を看破できる〈月神の賢眼〉と罠を解除できる〈盗賊王の技装手〉がなければ、ゴーレム達との戦闘どころではなかっただろう。
この2つのアイテムのおかげでゴーレム達を倒すことができたわけだが、それだけ得られる戦利品も多く、持参したリュックサックだけでは全てを回収することは出来なかった。
だが、その問題は道中で見つけた宝箱から獲得したアイテムによって解決された。
○宝納の指環
等級:宝物級。
とあるダンジョンで産出された指環型マジックアイテム。
等級によって収納容量が異なる。
・【空間収納】……手にしたアイテムを専用の収納空間へ収納できる。着用者の意思に従って収納空間内のアイテムを取り出すことが可能。
マジックアイテムとしては低位に属する等級だが、収納系マジックアイテムは非常に貴重だ。
たとえ低位であっても、その収納容量は非マジックアイテムのリュックサックや他の収納バッグの比ではない上に、専用の収納空間に納められるので嵩張ることもない。
宝箱から手に入れたこの指環によって、各種ゴーレム戦でも身軽に戦うことができた。
ゴーレム達から回収した素材は高く売れるため、暫くは金に困ることはなさそうだ。
──レベルが10に達しました。
──等級が〈下級〉から〈中級〉へとランクアップします。
──〈中級〉へのランクアップに伴い、クラス〈ジーニアス〉がクラス〈破壊者〉へと変化しました。
──新たなクラス獲得により、スキル【耐性貫通】【破壊本能】を取得しました。
たった今倒したフレイムゴーレムのコアの残骸を回収していると、レベルが10に達したことなどを〈システム〉がウィンドウで知らせてきた。
こういった覚醒者としての格が上がった場合は、覚醒者であれば誰もが感覚で理解できるようになっているのだが、俺は〈システム〉のおかげでより具体的に知ることができるようだ。
○スキル【耐性貫通】
常時発動型補助スキル。
対象への攻撃行動などの干渉時、対象が有する耐性能力を突破して干渉が可能。
ただし、無効化系耐性能力に対しては効果がない。
○スキル【破壊本能】
常時発動型補助スキル。
生物・無生物問わず対象を破壊する度に一時的に攻撃力が1%ずつ(最大100%)上昇する。
下級覚醒者のクラスは〈ノービス〉か〈ジーニアス〉のどちらかだが、中級覚醒者からは取得可能クラスは一気に増える。
取得条件が不明のクラスも多く、未来という前世の情報を持つ俺でも知っている取得条件は少ない。
〈破壊者〉の取得条件も知らなかったのだが、状況的にも破壊属性の魔力を扱うことが関係ありそうだ。
〈破壊者〉のクラス特性によって常時攻撃力が上がるし、取得特典で得たスキルも中々使えそうだな。
「とはいえ、現状で役立つかは微妙か」
〈システム〉の機能にある〈広域マップ〉を発動させ、このダンジョンの地図をウィンドウに表示させる。
地図にはここまでに通ってきた道や地形が全て表示されていた。
地図の縮尺から結構な範囲を歩き回ってきたのが分かったが、それでもボスモンスターには未だに遭遇していなかった。
地図を見た限りでは、ダンジョン内の全ての場所を明らかにしたわけではないようだが、その範囲は大して広くはない。
多くのダンジョンの攻略条件であるボスモンスターがいる空間は、最低でもそれなりの広さがあるのだが、その広さからすると残る未踏破エリア内にボス部屋があるかは微妙なところだ。
「やっぱり攻略条件はギミック系か。条件はなんだ?」
フレイムゴーレムによって刀身に宿した破壊属性の魔力ごと溶解された〈八咫烏の三翅刀〉を【二損一存】で修復しつつ、ウィンドウの地図を凝視する。
スマホに保存してあるダンジョン内の画像も確認しながら考えるが、ダンジョン攻略に必要なアーティファクト出現のためのギミックが全く分からなかった。
「ここって、たぶんダンジョンの中心だよな。ここから出入り口まで戻るのは時間がかかるから、攻略して一気に戻りたいんだが……」
地図で明らかになっているダンジョンに全体図は円状だった。
俺の現在地を示す光点はその中心に位置しており、ダンジョンの出入り口であるゲートからは距離があった。
「直線距離ならそうでもないから、間の壁を突き破れたら戻るのが楽なんだけど……ん?」
今いる中心部とゲートがある外縁部を直線で結ぶと、その途中にとても小さな未踏破エリアがあった。
壁の中といった侵入不可な場所を示す白色とも、踏破済みエリアを示す半透明な色合いとも異なる真っ黒な未踏破エリアが存在している。
その未踏破エリアは壁の中に隠されているらしく、その所為で目の前の回廊を通過しても気付かなかったようだ。
「怪しいな。非常に怪しい」
直感に従って目的の場所へと直行する。
道中に現れたストーンゴーレムなどから、フレイムゴーレム戦で消耗した分の生命力と魔力を奪って回復させていく。
そうしながら来た道を戻ること30分後、目的地に到着した。
そこは一見すると何の変哲も無い壁だったが、改めて見てみると、ここの壁の装飾だけ他の場所よりも派手な気がする。
スマホに保存した画像と見比べてみると、その違いがよく分かった。
「ここにアーティファクトがありそうだけど、開くギミックが分からないな。コレで開いたりしないかな?」
このダンジョンの宝箱で得たマジックアイテムである〈盗賊王の七つ秘具:盗賊王の技装手〉を着けた手で壁に触れ、その能力である【盗賊王の万能錠】を発動させてみた。
すると、目の前の壁が重々しい動きで開いていった。
「いや、ホントに開けるのかよ……まぁ、いいけどさ」
どこか釈然としない気持ちになりつつも、壁の先の小さな空間にあったアイテムを手に取る。
その瞬間、ダンジョンが振動し出した。
やっぱりコレがこのダンジョンの核のアーティファクトだったみたいだ。
未来から回帰してきたとはいえ、覚醒して間もないのに2つもアーティファクトが手に入れられるとは運が良い。
このダンジョンの存在を教えてくれた〈システム〉様々だな。
正直、幸先が良すぎて怖いが、強くなることを第一に考えるならば良いことだ。
今後も〈システム〉と前世の知識を有効活用して頑張っていくとしよう。
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