万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵

文字の大きさ
78 / 139
第二章

第七十八話 堕天の回廊

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


 〈堕天の回廊〉と名付けられたダンジョンは、高難易度ダンジョンに分類されており、この高難易度ダンジョンには〈摩天楼ダンジョン〉という俗称が付けられている。
 世界各地に存在するダンジョンは全て黒い塔型の建造物だ。
 この塔の高さはダンジョンによって異なっており、その中でも際立って高いダンジョンの全てが高難易度ダンジョンであることが判明している。
 それ故に、挑戦するのが困難であり、塔の高さと同じく難易度も高みにあるという意味も込めて、高難易度ダンジョンは〈摩天楼ダンジョン〉と呼称されていた。
 この〈摩天楼ダンジョン〉には一般的なダンジョンとは異なる点が幾つか存在するのだが、まぁ軽く挑戦する今日はきにしなくてもいいか。


「摩天楼ダンジョンを真下から見たのは初めてですけど、本当に高いですね」

「ああ。摩天楼の名を裏切らない高さだな」


 ゲート近くに併設された入場受付で手続きを行う。
 他に仲間はおらず、2人だけで挑むと聞いた探索者協会の職員に止められたが、今日は浅いところを軽く潜るだけと伝えたら渋々手続きを行なってくれた。


「お二人だけでダンジョンを攻略なされたことがあるのは存じております。ですが、ここのダンジョンは通常のダンジョンよりも厳しい環境が広がっています。とても強力なモンスターも多数出現しますので、無理をせず慎重に挑んでくださいね」

「ありがとうございます。気を付けて進みます」

「ありがとうございます」
 

 心配してくれた職員にリリアと共に礼を言ってから、返された探索者IDを受け取りゲートへと向かった。


 ◆◇◆◇◆◇


「これは……凄い空間ですね」

「ああ。天国みたいな場所だが、高所恐怖症の奴にとっては地獄の場所だろうな」


 ゲートを潜った先にはどこまでも続くような大空が広がっていた。
 ゲートがある浮島や、そういった浮島同士を繋ぐ橋を除けば、地面が一切ない吹き抜けの空間。
 上も下も、その果てには白い雲しかなく、少なくとも視覚では何も情報は得られないだろう。
 このように、〈天空〉と呼称される特殊なフィールドが広がっているのが、この〈堕天の回廊〉の最大の特徴だった。

 浮島の下に落ちた物がどうなるかは分かっていない。
 白い雲の中に満ちた魔力などの所為でドローンやカメラはすぐに壊れてしまうからだ。
 人を使った調査は流石に行われておらず、誤って落下してしまった者の行方も不明のままなので、落ちたら死ぬと考えた方がいいだろう。


「リリアは『飛翔フライ』の魔法は使えるよな?」

「はい。【風塵魔法】スキルがありますので、風属性魔法の『飛翔フライ』は使えますよ。流石に空を飛ぶ手段がなかったら、ここのダンジョンは挑みたくありませんね……」

「無属性魔法の『浮遊板フローティングボード』でも代用出来なくはないけど、まぁ透明な板の足場とか不安定すぎて嫌だよな」

「そうですね……」
 
 
 そう考えると、リリアが〈魔女〉のクラス取得時に【時間魔法】だけでなく【風塵魔法】も獲得したのはラッキーだったな。
 俺も【風塵魔法】を持つから『飛翔フライ』が使えるし、空中を歩けるスキルである【天脚】もあるので天空フィールドでも問題なく活動ができる。
 加えて、異能【万物変換コンバート】の第7層能力【座標変換】で転移することも可能だ。
 この転移があるので、仮に飛行手段を持たない者が落下した場合でも、俺なら転移を駆使して救出することもできるだろう。
 だが、戦闘中の落下ともなると、いつでも助ける余裕があるとは限らないため、各自で飛行手段を用意しておいた方が確実だ。
 このような落下対策についても考える必要があるのも、〈堕天の回廊〉の難易度が高い理由の1つだった。


「さて、そろそろ移動するか」


 〈堕天の回廊〉のスタート地点である浮島を見渡す。
 ゲートがある浮島から伸びる橋は複数あり、それぞれの橋の先にはまた別の浮島が浮かんでいる。
 今日は時間が無いので、〈堕天の回廊〉での戦いを体験すべくモンスターと軽く戦うだけにするつもりだ。
 事前に調べた情報と回帰前の知識を元に、1番モンスターの数が多い浮島へと繋がる橋を選んでから先に進む。

 3車線道路ほどの横幅の橋は大理石のような材質で作られており、落下防止の柵はない。
 先に進むにつれて橋を渡っている時に突風が吹く頻度が増えていくため、移動中であっても油断はできない。
 今いるのはゲートがある浮島と繋がる橋の上なので、偶に吹く風も微風レベルだ。
 少なくともこの風が原因で落下することはないだろう。
 高難易度ダンジョンであっても浅い場所の難易度はそこまで高くはないのだ。


「まぁ、低くもないんだけど」


 橋を渡った先の浮島には草原が広がっており、その草原には背中に白い翼を生やした様々な魔獣タイプのモンスター達が生息していた。
 直径1キロほどの広さの浮島にいる全てのモンスター達が、侵入者である俺達の気配を感知したらしく、一斉に此方を向いてきた。


「来るぞ。まずはリリアの異能が通じるかを確認しよう」

「分かりました。いきます!」


 そう宣言したリリアが、此方へ駆けてくるモンスターに向かって運命属性魔力を解き放つ。
 3割ほどのモンスター達が〈魅了〉され、それ以外は特に影響を受けた様子もなく殺意剥き出しで変わらず向かってくるのが見えた。
 そんなモンスター達へ両手に持った2挺の魔銃の銃口を合わせると、それぞれの引き金を引いて迎え撃った。



 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵
ファンタジー
 異界から突如出現したモンスターによって、古き世界は終わりを告げた。  新たな世界の到来から長い年月が経ち、人類は世界各地に人類生存圏〈コロニー〉を築いて生き残っていた。  旧人類、新人類、コロニー企業、モンスター、魔力、旧文明遺跡、異文明遺跡……etc。  そんな様々な物が溢れ、廃れていく世界で生きていた若きベテランハンターのベリエルは、とある依頼で負った怪我の治療費によって一文無しになってしまう。  命あっての物種、だが金が無ければ何も始まらない。  泣く泣く知り合いから金を借りてマイナススタートを切ることになったベリエルは、依頼で危険なコロニーの外へと向かい、とある遺物を発見する……。  

女神の白刃

玉椿 沢
ファンタジー
 どこかの世界の、いつかの時代。  その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。  女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。  剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。  大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。  魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。  *表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。  そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。  【魔物】を倒すと魔石を落とす。  魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。  世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

この世界にダンジョンが現れたようです ~チートな武器とスキルと魔法と従魔と仲間達と共に世界最強となる~

仮実谷 望
ファンタジー
主人公の増宮拓朗(ましみやたくろう)は20歳のニートである。 祖父母の家に居候している中、毎日の日課の自宅の蔵の確認を行う過程で謎の黒い穴を見つける。 試にその黒い穴に入ると謎の空間に到達する。 拓朗はその空間がダンジョンだと確信して興奮した。 さっそく蔵にある武器と防具で装備を整えてダンジョンに入ることになるのだが…… 暫くするとこの世界には異変が起きていた。 謎の怪物が現れて人を襲っているなどの目撃例が出ているようだ。 謎の黒い穴に入った若者が行方不明になったなどの事例も出ている。 そのころ拓朗は知ってか知らずか着実にレベルを上げて世界最強の探索者になっていた。 その後モンスターが街に現れるようになったら、狐の仮面を被りモンスターを退治しないといけないと奮起する。 その過程で他にもダンジョンで女子高生と出会いダンジョンの攻略を進め成長していく。 様々な登場人物が織りなす群像劇です。 主人公以外の視点も書くのでそこをご了承ください。 その後、七星家の七星ナナナと虹咲家の虹咲ナナカとの出会いが拓朗を成長させるきっかけになる。 ユキトとの出会いの中、拓朗は成長する。 タクロウは立派なヒーローとして覚醒する。 その後どんな敵が来ようとも敵を押しのける。倒す。そんな無敵のヒーロー稲荷仮面が活躍するヒーロー路線物も描いていきたいです。

ダンジョン学園サブカル同好会の日常

くずもち
ファンタジー
ダンジョンを攻略する人材を育成する学校、竜桜学園に入学した主人公綿貫 鐘太郎(ワタヌキ カネタロウ)はサブカル同好会に所属し、気の合う仲間達とまったりと平和な日常を過ごしていた。しかしそんな心地のいい時間は長くは続かなかった。 まったく貢献度のない同好会が部室を持っているのはどうなのか?と生徒会から同好会解散を打診されたのだ。 しかしそれは困るワタヌキ達は部室と同好会を守るため、ある条件を持ちかけた。 一週間以内に学園のため、学園に貢献できる成果を提出することになったワタヌキは秘策として同好会のメンバーに彼の秘密を打ちあけることにした。

処理中です...