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第二章
第八十一話 属性相性
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「──グルル」
俺達がいる魔法障壁の内部に闇狼きクロウが具現化する。
リリアが展開している『守護要塞』は非常に頑丈なだけでなく、要塞というだけであって半球状の障壁内は結構広い。
それでも巨大な狼型であるクロウが障壁内に具現化すると流石に狭いので、さっさと障壁の外側へと向かわせた。
「行け」
「グル!」
高所から落下するかのような速さで足元の影にクロウが沈む。
その闇の巨体が消えた次の瞬間、空中に浮遊しながら周囲を取り囲む〈射光の下位天使〉が地上に落としている影の1つが隆起する。
影から分離するようにして飛び出してきたクロウは、そのまま上空へ飛び上がって直上にいるエンジェルシューターへと喰らい付いた。
人間サイズの身体の殆どがクロウの口内に収まったエンジェルシューターは、抵抗する間もなく噛み千切られる。
一噛みで倒したエンジェルシューターを吐き捨てたクロウは、足元に生み出した闇の力場を蹴ることで空中を駆け抜け、次のエンジェルシューターへと襲い掛かっていった。
2体目のエンジェルシューターが倒された頃になってから、漸く周囲の全てのモンスターはクロウを認識し、俺達に向けていた攻撃の矛先を変えた。
一気に殺到する光弾に対し、クロウは闇の力場を足場にして細かくステップを踏むことで回避する。
だが、全方位から放たれてくる光弾を完全に躱わすことはできず、その巨体が不利に働き、徐々に被弾していく。
光弾が直撃する度に闇で構成される身体が削られていくのが見える。
やはり属性的な相性の効果は侮れない。
光属性と闇属性は、相互に有利不利の関係性があるので、クロウの闇の牙や闇の爪も光属性のエンジェルシューター達を一撃で屠っている。
なので、一方的に劣勢というわけではないのだが、数の暴力は凄まじく、敵の数を半分まで減らした頃には、クロウも既に死に体だった。
「属性の相性以前に、耐久力が高くないな。闇の身体が非実体寄りだからか?」
耐久力は低いが、攻撃力と速力は中々のものだ。
多数の光属性遠距離タイプという、闇属性近接攻撃スピードタイプのクロウとは色んな意味で相性が悪い相手でもここまでやれるなら使い道はありそうだな。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──精神値が7ポイント増大します。
──反応値が4ポイント増大します。
──知能値が6ポイント増大します。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──耐久値が4ポイント増大します。
──精神値が8ポイント増大します。
──魔力値が3ポイント増大します。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──耐久値が7ポイント増大します。
──敏捷値が8ポイント増大します。
──精神値が5ポイント増大します。
──スキル【乱れ撃ち】を獲得しました。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──敏捷値が5ポイント増大します。
──反応値が5ポイント増大します。
──知能値が6ポイント増大します。
──スキル【光の護り】を獲得しました。
最後に1体のエンジェルシューターの下半身に噛み付いたところでクロウが倒され、間もなく消滅した。
クロウについては再度具現化すれば復活するので気にする必要はない。
当初は24体いたエンジェルシューターも残り10体にまで減っているし、後は俺達だけでも大丈夫だろう。
「この数なら光弾で魔法が相殺されることもないはずだ。右側は任せたぞ」
「任されました」
リリアに向かって右側のエンジェルシューター達を任せると、俺は左側の空間にいるエンジェルシューター達の近くへと転移した。
「闇よ、模れ」
近くのエンジェルシューターへ右腕を振り抜きながら、右腕を闇の狼の前足へと変化させる。
これは【狩猟ノ闇獣王】の内包スキルにある、【闇影ノ支配者】による闇を支配する力と、獣の力をその身に宿す【百獣王戯】という2つの力の合わせ技だ。
闇狼の前足となった右腕でエンジェルシューターを薙ぎ払い、闇の狼爪にてその天使の身体を割断する。
逆の手で銀銃レフーラを引き抜くと、別の個体へと銃口を向けて素早く引き金を引いた。
──特殊条件〈早撃ち〉〈射敵命中〉が達成されました。
──スキル【早撃ち】を取得しました。
銀銃レフーラの【雷角魔弾】により生成された魔弾がエンジェルシューターに命中する。
破壊力に秀でた雷属性の魔弾だけあってダメージは大きい。
しかし、エンジェルシューターを一撃で倒せるほどではなかった。
やはり、闇属性を除いた自然属性に対する耐性を持つ天使系モンスターには本来の威力を発揮し難いようだ。
一筋縄ではいかないことを再確認しつつ、そのまま連続で引き金を引くことで一息に倒し切った。
「流石は摩天楼ダンジョンの通常モンスターと言うべきか」
【天脚】を使って空中を蹴り、【空間機動】による補助で体勢を立て直していると、少し離れた場所にいるエンジェルシューターの白翼が輝き出した。
今にも光弾を放ってきそうな敵に対し、【麻痺の邪眼】を発動させて、その攻撃行動を一時的に停止させる。
天使系モンスターは種族的に自然属性耐性だけでなく、高い状態異常耐性も持つ。
リリアの運命属性魔力による〈魅了〉よりは効くみたいだが、強力な邪眼スキルであってもこの〈麻痺〉状態は長くは保たないだろう。
だが、魔銃を連射するには充分すぎる時間だった。
── スキル【魔喰ノ精霊王】が発動します。
──対象への能力行使に成功しました。
──耐久値が4ポイント増大します。
──敏捷値が5ポイント増大します。
──精神値が4ポイント増大します。
リリアの方も討伐は順調のようだ。
無数の光弾による魔法の相殺さえなくなれば、リリアは〈魔女〉クラスの魔法補正を受けた魔法障壁で守りを固めながら1体ずつ確実に倒すことができる。
エンジェルシューターの高い耐性と耐久力の所為で多少時間はかかるだろうが、数体程度が相手ならば安心して見てられる。
迎撃するために放たれてきた光弾を〈白霊剣オルトレール〉で斬り払いながら距離を詰め、頭頂部から股下まで真っ二つに両断した。
「残り2体」
その後、浮島の外側へ逃げようとするエンジェルシューター達を追いかけ、持てる力を存分に振るって担当分の敵の掃討を終わらせた。
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