新世機生のアポストル 〜Restart with Lost Relic〜

黒城白爵

文字の大きさ
3 / 27

第三話 依頼と戦闘

しおりを挟む


 ◆◇◆◇◆◇


「──なるほど。前回受注された指名依頼で破損したのですね?」

「ああ。今のところ大丈夫だが、見ての通り端末の画面が割れている上に手帳形態しか使えなくてな。これ以上壊れて中のデータが消える前に新しい端末に取り替えて欲しいんだ」

「そういう理由でしたら許可は出るかと思われます」

「それは良かった。金額は?」

「ベリエル様の探索者ランクとこれまでの活動実績から無償で交換させていただきます」


 良し! 予想通り無償交換だったな!
 探索者協会の職員の言葉に内心で大喜びしつつも、クールな表情は維持する。
 今使っている端末は探索者協会から希望する協会員に対して支給されるものであり、備わっている機能は最低限の物しかない。
 第1エリアに住んでいるわけでもなければ、コレで十分なので引き続き利用するつもりだ。


「2時間もあれば新しい端末はご用意できますが、如何なさいますか?」

「2時間か。それなら今日の依頼の帰りに受け取ろうかな」

「かしこまりました。では、そのように通達しておきます」

「よろしく。このまま依頼の話をしていいか?」

「はい。承ります。どうぞ」

「退院後のリハビリもしつつ金を稼ぎたいんだが、何か良い依頼はないか?」

「少々お待ちください」


 そのまま受付で待っていると、1分足らずで職員がお薦めの依頼を提示してくれた。
 それから職員と少し話をしてから依頼を受注し、探索者協会を後にした。


 ◆◇◆◇◆◇


 フォンという独特な音を鳴らしてから起動した魔導二輪車バイクのアクセルを回して荒野を駆け抜ける。
 探索者協会で借りたバイクのレンタル料は1日8万エィン。
 よって残り残金2万エィン。
 あっという間に手持ちの金が溶けていくことに寂寥感を抱きながらも、目的地へ向けてバイクを走らせていった。

 今回受けた依頼は、荒野にある違法薬物の生成プラントの破壊だ。
 第1次コロニー防衛戦時に建てられた前線基地の生成プラント跡を修理してから使っているようで、それなりの技術力を持つ闇組織が関わっていると資料には書かれていた。
 その闇組織が有する武装勢力が薬物プラントを守っているらしく、組織の規模から推定される数からすると、ベテラン探索者でもソロで挑めるのは一握りだけ。

 数を集めれば殲滅は容易だろうが、それだけ闇組織側に事前に気付かれる可能性が高まる。
 そのため、探索者協会も少数精鋭での遂行を望んでおり、そんな時に俺が偶然やってきた。
 ソロで遂行可能な一握りの探索者の中で、ちょうど手が空いているのが俺だけだったのもあって運良く受注することができたというわけだ。

 こういった武装勢力との戦闘が予想される依頼の場合、その武装勢力の装備は違法な物を除けば受注者の戦利品として扱われるのが殆どだ。
 この戦利品を売却すれば金になるので、俺が求めた条件に当て嵌まる上、今の装備よりも良いのがあれば装備を更新することもできる。
 退院したその日のうちに、良いこと尽くめの依頼を受けられたのはラッキーだったな。
 

「あそこが目標のプラントか」


 バイクを走らせること約1時間後。
 運良くモンスターに遭遇しなかったおかげで予定よりも早く到着することができた。
 プラントから少し離れた場所でバイクを停めると、物置き部屋から発掘した昔使ってた遠視ゴーグルでプラントを監視する。


「見える範囲で兵士が……8、いや10人か」


 外に最低8人の兵士がいることを確認すると、足音と気配を消してプラントに近付いていく。
 路地裏の孤児時代から自然と身に付けた【隠密】技能を用いて近付くと、先ほどの場所よりもプラントに近い岩陰に隠れる。
 そこから再び警備状況を目視で確認した後、地面に魔力を流してプラント一帯に気配の数を探知する。
 魔力と生来の感知機能を駆使することで可能な【索敵】技能によって分かった数は、外に8人、中に25人だった。
 その全てが武装勢力の戦闘員かは分からないが、少なくとも30人以上の人がいることは分かった。
 あとは獲物を順番に狩っていくだけだ。


「これ以上近寄ると見つかるな……あそこが良いな」


 プラントの近くに聳え立つ細長い岩を見つけたので、敵に見つからないようにそこまで遠回りをして移動する。
 細長い岩を登っていき頂点に到着すると、そこからタイミングを計って天高く飛び上がった。
 空中で一回転してから位置を調整し、外の警備をしている戦闘員達の真っ只中に着地する。

 
「は?」

「じゃあな」


 着地した体勢のまま横回転しながら右手で風月を鞘から抜き放ち、周囲を薙ぎ払う。
 数瞬後、周りにいた戦闘員5名が腰から真っ二つになり死んだ。
 その間に素早く腰のホルスターから引き抜いたベルベットの引き金を3度引いて、残る3人の警備も始末した。


「んー。多少動きが遅い気もするけど、そこは装備のグレードの差かな。まぁ、大丈夫だろう」


 周囲を索敵しながら倒した敵の装備品を漁る。
 違法な金を稼いでいる闇組織お抱えの武装勢力の戦闘員なだけあって、意外と良い装備をしている。
 ただ、品質や整備状態の面から比較すると、殆どの戦利品よりも今の装備の方が上のようだ。
 となると、今すぐ使えるような物は必然的に消耗品の類いが殆どだった。
 その中からリーヴMkⅢやベルトに装着できる物は装着し、それら以外の殆どは亜空間ポーチに突っ込んでおいた。
 自分で使わない分の装備品に関しては、適当にその辺の物陰に積んでおいて帰りに回収するとしよう。



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

鬼死回生~酒呑童子の異世界転生冒険記~

今田勝手
ファンタジー
平安時代の日本で魑魅魍魎を束ねた最強の鬼「酒呑童子」。 大江山で討伐されたその鬼は、死の間際「人に生まれ変わりたい」と願った。 目が覚めた彼が見たのは、平安京とは全く異なる世界で……。 これは、鬼が人間を目指す更生の物語である、のかもしれない。 ※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ネオページ」でも同時連載中です。

万物争覇のコンバート 〜回帰後の人生をシステムでやり直す〜

黒城白爵
ファンタジー
 異次元から現れたモンスターが地球に侵攻してくるようになって早数十年。  魔力に目覚めた人類である覚醒者とモンスターの戦いによって、人類の生息圏は年々減少していた。  そんな中、瀕死の重体を負い、今にもモンスターに殺されようとしていた外神クロヤは、これまでの人生を悔いていた。  自らが持つ異能の真価を知るのが遅かったこと、異能を積極的に使おうとしなかったこと……そして、一部の高位覚醒者達の横暴を野放しにしてしまったことを。  後悔を胸に秘めたまま、モンスターの攻撃によってクロヤは死んだ。  そのはずだったが、目を覚ますとクロヤは自分が覚醒者となった日に戻ってきていた。  自らの異能が構築した新たな力〈システム〉と共に……。

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい

黒城白爵
ファンタジー
 ーーある日、平穏な世界は終わった。  そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。  そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。

日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890
ファンタジー
召喚獣。 それは向こう側とされる所から、10歳を迎えた日本人の子供の下に召喚されるモンスターのことである。 初代天皇・神武天皇が日本を建国した際に書かれた絵画には彼は金鵄と呼ばれる金色に輝く鵄(とび)と契約したのが原初となっている。 そして、縄文、弥生、古墳、飛鳥、平安、戦国時代から近代から今に至るまで、時代を動かしてきた人物の側には確かに召喚獣は介在していた。 また、奇妙な事に、日本国に限り、齢10歳を迎えた日本在住の日本人にのみ体のどこかから多種多様な紋章が発現し、当人が念じると任意の場所から召喚陣が現れ、人ならざるモンスターを召喚される。 そして、彼らモンスターは主人である当人や心を許した者に対して忠実であった。 そのため、古来の日本から、彼ら召喚獣は農耕、治水、土木、科学技術、エネルギー、政治、経済、金融、戦争など国家の基盤となる柱から、ありとあらゆる分野において、今日に至るまで日本国とアジアの繁栄に寄与してきた。 そして、建国から今まで、国益の基盤たる彼ら数万種類以上をも及ぶ召喚獣を取り締まり管理し、2600年以上と脈々と受け継がれてきた名誉ある国家職がーーーーー国家召喚獣管理官である。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...