身代りの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される

絵麻

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身代わりの花嫁は25歳年上の海軍士官に溺愛される(義孝の過去編)

一話『意外な特技』

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 花はいつものように、商店街へ買い物に来ていた。

「花さん、アサリはどうだい?」
 魚屋の主人が呼んだ。
「アサリですか?」
「今日は肉厚なアサリが安いよ」
「どれ?」
 呼吸に口を開いたアサリは、ふっくらと肉厚。
「あ、これ頂きます。二籠」
「あいよ!」

 新鮮なアサリをたくさん買い、花はルンルンと買い物を続ける。
「ん?」
 ふと、前方に人だかりが見える。

「Why?」
 見れば、外国人の少女と若い海軍士官が話しているのだが、言葉が通じず難儀している。

「えと、ENGLISHはどうもなぁ」
「あの」 
 人をかき分け、花が来る。
「Excuse me?」
「・・・・」

 ―――――皆が、あんぐりした。
 
 花が流暢な英語で、少女に訊ねたのだ。少女は瞳を輝かせる。

『赤い屋根の教会まで行きたいの』
『OK』

 花は海軍士官に訊ねた。

「赤い屋根の教会を探しているそうです」
「あ、教会なら分かります」

 少女は花から海軍士官が案内する旨を聞き、彼に挨拶する。

「花さん」
 通りの向こうから、義孝はその様子を見つめ、目を細める。
(・・・花さんに、こんな特技があるなんて意外だな)

 少女が花を振り返る。
「My name is SOPHI」
「え、ソフィ?」
「You Are name?」
「Hana!」
「花」
 にっこり、笑い合う。

「花さん」
 義孝が声をかける。
「義孝さん」
 花が目を輝かせる。
 大好きな主人を見つけた仔犬のように、花がとことこ歩く。
「お仕事、終わったんですか?」
「ええ。今日はこれから非番です、籠持ちます」
「ありがとうございます」
 二人で家に向かう。
「しかし、驚きました。花さんが英語を話せるなんて」
「あ、見ていたんですか?昔、父の診療所に外国人の患者さんが来て、父に習ったんです」
「それで・・・・いまだに話せるんですか」
 義孝は驚く。
「少しだけ、日常会話程度なら」 「さっきのは、日常会話どころの程度ではありませんよ」
 賢い、とは思っていたが、まさかここまでとは。義孝は驚いていた。

「今夜は、アサリの酒蒸しを作りますね。肉厚なアサリが安かったんです」
「それは楽しみです」
「第二火曜は商店街の特売なんですよ。義孝さん、何か食べたい物はありますか?」
 二人で、商店街で買い物しながら、献立を考える。

 ありふれた日常が、花には一番の幸せだった。
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