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姫を侍らせ挨拶を受ける。
皆一様に姫には距離感を計りかねる挨拶をしていた。
儂はこれまで女を伴い会場に入った事などない。
これが初めてだ。
そもそもを言えば、こうした席に登場した事自体が珍しい。
これで相当姫の重要性は示せているだろう。
退屈な挨拶を受けている間も姫は柔かに儂の横に立つ。
「陛下ご機嫌麗しゅうございます。この度は陛下とマグダラス王女殿下のご婚約、言祝ぎ申し上げます」
この女はレニタ・ヴィルヘルミーナ・ホンカサロ。儂の第3妾妃だ。
長い紺青の髪を揺らし、優雅に挨拶する。
「次期御正妃様もご機嫌麗しゅうございます」
ひたと紫の瞳が姫を捉える。
「ご機嫌麗しゅうございます。ホンカサロ様」
姫は柔かに応える。
「私の事はどうぞレニタとお呼び下さいませ」
この女は昔から底が知れない。
何かを求める訳でも何でもなく、後宮を乱す訳でもない。
家柄で言えばヴィルッキラ家などの大幹部などには見劣りするが、昔から仕えた名家の一つだ。
妾の二派はそういう名家から妾妃として輿入れした者と、元は庶民の出の者とで分かれる。
この女はその名家の派閥の中でも特に目立つ動きはしていない。
ただ所属してるだけに見えた。
「レニタ様。私の事もどうぞレイティアとお呼び下さい」
「そんな。次期御正妃様に畏れ多い事です」
頭を下げてレニタは言う。
「構いません。どうぞお呼び下さい」
姫が柔かに言う。
「わかりましたわ。レイティア様」
微笑んで応える。
「所でレイティア様はずっと陛下の横に侍られておいでですが、折角のお披露目ですのに踊られないのですか?」
なるほど。引きずり出したいか。
「其方の言う通りだな」
横から口を挟む。
「挨拶にも飽いた。丁度、曲が始まる。レイティア王女よ。儂と踊らぬか?」
一瞬、瞬いた後、柔らかく笑った姫は答える。
「はい。喜んで」
玉座から立ち上がり、姫の手を取る。
レニタの呆然とした気配を感じるが2人で通り過ぎる。
壇上から降りて、ホールの中心へ姫と共に歩む。
皆の注目を一心に受ける。
どよめきが一瞬起こり、息を呑み、その後は沈黙が降る。
一礼し姫と組み合う。
曲が始まるとステップを踏む。
密やかに姫に話しかける。
「儂はこういったものは苦手だ。姫は上手いものだな。ダンスは得意か?」
いつもの笑顔で儂に答える。
「お勉強よりは捗ったんです。なんせ動いていていいでしょう? 体を動かしている方が向いているようで」
それに思わず笑んでしまう。
「そうか。実に姫らしい返答だ」
周囲が儂の行動に呆然としているようだ。
儂が笑んでいる所を見たのは初めてだという者も多いだろう。
そもそも、ダンスなど王太子であった時代に数度踊った位で王になってからは初めてだ。
これで儂の姫への寵愛を確信した事だろう。
下手な扱いをされる事もないだろうが、危険も孕む。
その筆頭が妾妃達の後ろ盾の面々だろう。
この件は儂の怠惰が招いたモノだ。
儂が刈り取る。
次第に曲が終わる。
礼を取り、舞踊の終了を告げる。
そして次の曲が始まる前に姫の肩に手を置き、壇上に促す。
そして元の玉座に戻り座る。
姫も元の様に儂の横に立つ。
ここに連れて来てしまえば姫をダンスに誘う者もいないだろう。
この国で儂の寵愛を一身に受け、儂の横に侍る女を誘える者は諸侯、官吏にはいない。
この夜、
グリムヒルト国王、ベネディクト・エルネスティ・グランクヴィストと
マグダラス王国第一王女、レイティア・エレオノーラ・アルテーンの婚約が高らかに宣下された。
皆一様に姫には距離感を計りかねる挨拶をしていた。
儂はこれまで女を伴い会場に入った事などない。
これが初めてだ。
そもそもを言えば、こうした席に登場した事自体が珍しい。
これで相当姫の重要性は示せているだろう。
退屈な挨拶を受けている間も姫は柔かに儂の横に立つ。
「陛下ご機嫌麗しゅうございます。この度は陛下とマグダラス王女殿下のご婚約、言祝ぎ申し上げます」
この女はレニタ・ヴィルヘルミーナ・ホンカサロ。儂の第3妾妃だ。
長い紺青の髪を揺らし、優雅に挨拶する。
「次期御正妃様もご機嫌麗しゅうございます」
ひたと紫の瞳が姫を捉える。
「ご機嫌麗しゅうございます。ホンカサロ様」
姫は柔かに応える。
「私の事はどうぞレニタとお呼び下さいませ」
この女は昔から底が知れない。
何かを求める訳でも何でもなく、後宮を乱す訳でもない。
家柄で言えばヴィルッキラ家などの大幹部などには見劣りするが、昔から仕えた名家の一つだ。
妾の二派はそういう名家から妾妃として輿入れした者と、元は庶民の出の者とで分かれる。
この女はその名家の派閥の中でも特に目立つ動きはしていない。
ただ所属してるだけに見えた。
「レニタ様。私の事もどうぞレイティアとお呼び下さい」
「そんな。次期御正妃様に畏れ多い事です」
頭を下げてレニタは言う。
「構いません。どうぞお呼び下さい」
姫が柔かに言う。
「わかりましたわ。レイティア様」
微笑んで応える。
「所でレイティア様はずっと陛下の横に侍られておいでですが、折角のお披露目ですのに踊られないのですか?」
なるほど。引きずり出したいか。
「其方の言う通りだな」
横から口を挟む。
「挨拶にも飽いた。丁度、曲が始まる。レイティア王女よ。儂と踊らぬか?」
一瞬、瞬いた後、柔らかく笑った姫は答える。
「はい。喜んで」
玉座から立ち上がり、姫の手を取る。
レニタの呆然とした気配を感じるが2人で通り過ぎる。
壇上から降りて、ホールの中心へ姫と共に歩む。
皆の注目を一心に受ける。
どよめきが一瞬起こり、息を呑み、その後は沈黙が降る。
一礼し姫と組み合う。
曲が始まるとステップを踏む。
密やかに姫に話しかける。
「儂はこういったものは苦手だ。姫は上手いものだな。ダンスは得意か?」
いつもの笑顔で儂に答える。
「お勉強よりは捗ったんです。なんせ動いていていいでしょう? 体を動かしている方が向いているようで」
それに思わず笑んでしまう。
「そうか。実に姫らしい返答だ」
周囲が儂の行動に呆然としているようだ。
儂が笑んでいる所を見たのは初めてだという者も多いだろう。
そもそも、ダンスなど王太子であった時代に数度踊った位で王になってからは初めてだ。
これで儂の姫への寵愛を確信した事だろう。
下手な扱いをされる事もないだろうが、危険も孕む。
その筆頭が妾妃達の後ろ盾の面々だろう。
この件は儂の怠惰が招いたモノだ。
儂が刈り取る。
次第に曲が終わる。
礼を取り、舞踊の終了を告げる。
そして次の曲が始まる前に姫の肩に手を置き、壇上に促す。
そして元の玉座に戻り座る。
姫も元の様に儂の横に立つ。
ここに連れて来てしまえば姫をダンスに誘う者もいないだろう。
この国で儂の寵愛を一身に受け、儂の横に侍る女を誘える者は諸侯、官吏にはいない。
この夜、
グリムヒルト国王、ベネディクト・エルネスティ・グランクヴィストと
マグダラス王国第一王女、レイティア・エレオノーラ・アルテーンの婚約が高らかに宣下された。
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