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第42話 使者来訪(下)
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「あ、言われてみればそうですよね。そもそもわたしのことを追放しておいて、なのにすぐに帰ってこいだなんて変な話ですよね?」
バーバラはいったい何がしたいのって感じだ。
「しかもだよ? この使者はね、密使だったんだ。非公式のルートで内密に君を連れ戻しに来たんだよ」
「え、そうだったんですか?」
こそこそ使者を送ってわたしを連れ戻そうだなんて……むむっ、あやしい!
「どうもシェンロン王国でなにかが起こっているみたいだね。そしてそれはクレアたち龍の巫女に関することのようだ」
「もしかして――!」
その言葉でわたしはある1つの可能性に思い至った。
「なにか心当たりがあるのかい?」
ライオネルが身を乗り出すように聞いてくる。
「もしかしたらなんですけど、シェンロン王国で『神龍災害』が起こってるんじゃないでしょうか?」
「シェンロン王国で『神龍災害』が?」
「はい。バーバラがわたしを必要とする理由を考えたら、それが一番なんじゃないかなって思ったんです」
「ふむ……。でもそうか、それならたしかに納得が行くな。そうか、そういうことか」
ライオネルがふんふんと頷いた。
ライオネルの中で色んな情報が繋がったみたいだ。
「どういうことなんでしょうか?」
もちろんわたしはちっとも分かってないので、こうやって正直に聞くんだけどね!
「実は少し前に、シェンロン王国から国境を一時的に封鎖したいと連絡があってね。こちらが理由を問いただす間もなく、そのまま一方的に国境を閉じられてしまったんだ」
「国境の封鎖ですか? またなんででしょう?」
ちんぷんかんぷんのわたしは思わず首をかしげてしまう。
「キングウルフの群れがシェンロン王国東部――つまりブリスタニア王国との国境付近で暴れまわってるのは、クレアも知ってるよね?」
「はい、わたしもそれで危うく命を落とすところでしたから。ライオネルのおかげで助かりましたけど」
あの時は本当に危なかった。
まさに危機一髪。
ライオネル様々だよ。
「キングウルフの群れが急にいくつも山を降りて、人の多い街道沿いまでやってくるなんて普通じゃ考えられない。どうしてだろうか、とは思ってたんだけど――」
「キングウルフが出没するようになったのも『神龍災害』ってことですね? 神龍さまがシェンロン王国の守護を放棄してるから、キングウルフは自由に動けるんだ――!」
「そういうことさ。そしてそれを他国――つまりブリスタニア王国に知られたくないために、国境を閉じて情報を隠蔽しようとしたんだ。シェンロン王国はこの辺りの地域大国で、メンツをとても気にする国だからね」
「そういうことだったんですね……」
「バーバラは力もたない偽の『神龍の巫女』なんだろう? だからクレアを追放したことで『神龍災害』が起こり、それをバーバラは鎮められないからこっそりクレアのことを呼び戻そうとしたんだ」
「きれいに繋がりましたね」
「もちろん全部ボクの推測に過ぎないけどね。だけどまぁ、かなりいい線をいってるはずだと思うよ」
「わたしもそう思います」
というか、それしか考えられないし。
こっそりわたしを連れ戻そうなんて、いかにもずる賢いバーバラが考えそうなことだもん!
「よし、その可能性を軸に、少しシェンロン王国に探りを入れてみるとするか」
「えっと、それでわたしは何をすれば――」
「クレアは今までどおりで大丈夫だよ。『水龍の巫女』として、そしてボクの婚約者として普通の生活を送って欲しい」
「分かりました」
たしかにわたしにできることは何もないしね。
シェンロン王国から遠く離れたこのブリタニア王国で神龍さまにコンタクトするのは不可能だし。
それでもシェンロン王国には知ってる人も多い。
孤児院のシスターさんみたいに親代わりだった大切な人もいる。
追放されるわたしを泣きながら、それでも必死で笑顔を作って見送ってくれたシスターさんの顔を、わたしは思いだしていた。
どうか大変なことになっていませんようにと、わたしは願わずにはいられなかった。
バーバラはいったい何がしたいのって感じだ。
「しかもだよ? この使者はね、密使だったんだ。非公式のルートで内密に君を連れ戻しに来たんだよ」
「え、そうだったんですか?」
こそこそ使者を送ってわたしを連れ戻そうだなんて……むむっ、あやしい!
「どうもシェンロン王国でなにかが起こっているみたいだね。そしてそれはクレアたち龍の巫女に関することのようだ」
「もしかして――!」
その言葉でわたしはある1つの可能性に思い至った。
「なにか心当たりがあるのかい?」
ライオネルが身を乗り出すように聞いてくる。
「もしかしたらなんですけど、シェンロン王国で『神龍災害』が起こってるんじゃないでしょうか?」
「シェンロン王国で『神龍災害』が?」
「はい。バーバラがわたしを必要とする理由を考えたら、それが一番なんじゃないかなって思ったんです」
「ふむ……。でもそうか、それならたしかに納得が行くな。そうか、そういうことか」
ライオネルがふんふんと頷いた。
ライオネルの中で色んな情報が繋がったみたいだ。
「どういうことなんでしょうか?」
もちろんわたしはちっとも分かってないので、こうやって正直に聞くんだけどね!
「実は少し前に、シェンロン王国から国境を一時的に封鎖したいと連絡があってね。こちらが理由を問いただす間もなく、そのまま一方的に国境を閉じられてしまったんだ」
「国境の封鎖ですか? またなんででしょう?」
ちんぷんかんぷんのわたしは思わず首をかしげてしまう。
「キングウルフの群れがシェンロン王国東部――つまりブリスタニア王国との国境付近で暴れまわってるのは、クレアも知ってるよね?」
「はい、わたしもそれで危うく命を落とすところでしたから。ライオネルのおかげで助かりましたけど」
あの時は本当に危なかった。
まさに危機一髪。
ライオネル様々だよ。
「キングウルフの群れが急にいくつも山を降りて、人の多い街道沿いまでやってくるなんて普通じゃ考えられない。どうしてだろうか、とは思ってたんだけど――」
「キングウルフが出没するようになったのも『神龍災害』ってことですね? 神龍さまがシェンロン王国の守護を放棄してるから、キングウルフは自由に動けるんだ――!」
「そういうことさ。そしてそれを他国――つまりブリスタニア王国に知られたくないために、国境を閉じて情報を隠蔽しようとしたんだ。シェンロン王国はこの辺りの地域大国で、メンツをとても気にする国だからね」
「そういうことだったんですね……」
「バーバラは力もたない偽の『神龍の巫女』なんだろう? だからクレアを追放したことで『神龍災害』が起こり、それをバーバラは鎮められないからこっそりクレアのことを呼び戻そうとしたんだ」
「きれいに繋がりましたね」
「もちろん全部ボクの推測に過ぎないけどね。だけどまぁ、かなりいい線をいってるはずだと思うよ」
「わたしもそう思います」
というか、それしか考えられないし。
こっそりわたしを連れ戻そうなんて、いかにもずる賢いバーバラが考えそうなことだもん!
「よし、その可能性を軸に、少しシェンロン王国に探りを入れてみるとするか」
「えっと、それでわたしは何をすれば――」
「クレアは今までどおりで大丈夫だよ。『水龍の巫女』として、そしてボクの婚約者として普通の生活を送って欲しい」
「分かりました」
たしかにわたしにできることは何もないしね。
シェンロン王国から遠く離れたこのブリタニア王国で神龍さまにコンタクトするのは不可能だし。
それでもシェンロン王国には知ってる人も多い。
孤児院のシスターさんみたいに親代わりだった大切な人もいる。
追放されるわたしを泣きながら、それでも必死で笑顔を作って見送ってくれたシスターさんの顔を、わたしは思いだしていた。
どうか大変なことになっていませんようにと、わたしは願わずにはいられなかった。
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