神龍の巫女 ~聖女としてがんばってた私が突然、追放されました~ 嫌がらせでリストラ → でも隣国でステキな王子様と出会ったんだ

マナシロカナタ✨ねこたま✨GCN文庫

文字の大きさ
41 / 64

第41話 使者来訪(中)

しおりを挟む
「ははっ、たわむれてなどはおらぬ。そこにいる我が息子、ブリスタニア王国第3王子ライオネル・クリムゾンレッド・ブリスタニアと、『水龍の巫女』聖女クレア殿は既に婚約をしておる」

「は、は、はい……?」
 追放ヤロウが、目を白黒させた。

「つまりだ。王族であるクレア殿を連れ戻そうとするそなたの行動は、我がブリスタニア王国への不当な内政干渉となるが、いかがか?」

「な、な――」
 追放ヤロウが完全に絶句した。

 わたしや王さま、そしてライオネルの顔を交互に見ながら、過呼吸気味にヒーヒーヒューヒューと、空気で喉を鳴らしている。

「クレアは紛れもなくボクの婚約者だ。大切なクレアを、勝手にシェンロン王国に連れてゆくなどと言う暴挙は、このボク、ライオネル・クリムゾンレッド・ブリスタニアが許しはしない」

 トドメのようにライオネルがそう言って、追放ヤロウはついに口を金魚のようにパクパクさせはじめた。

「そう言えば、たしかバーバラというのは、シェンロン王国の『神龍の巫女』だったね?」
「そ、それがなにか……」

「なら帰ってこう伝えることだ。クレアの名誉回復もせず、これまでの『神龍の巫女』としての正しい評価も行わず。それだけでなく手柄まで横取りし、クレアのことをまるで虫けらのようにあつかった。挙句の果てに追放したというのに、必要だと言ってこうやって一方的に呼び戻そうとする。そのような無法な振る舞いを、ブリスタニア王国は金輪際許しはしないとね」

「――っ!」

「ライオネルの今の言葉は、ブリスタニア王である余の言葉と受け取ってもらってかまわぬぞ」

 王さまが最後のダメ押しをする。

「ぐ――っ!」

 追放ヤロウが目を見開いたまま、完全に固まった。

「おやおや、どうしたんだい? 偉大な神龍国家シェンロンの使者というのは、他国の王の言葉に、返事も返すことができないのかな?」

 そこに容赦なく追い打ちをかけるライオネル。

「た、た、た、確かに承りました……一言一句たがわず、お伝えいたします……」

 追放ヤロウは、のどの奥からどうにか絞りだすようにそう言うと、すごすごと謁見えっけんの間を出ていった。

 ちいさく振り返って、すがるようにわたしを見た追放ヤロウ。
 だけど、謁見えっけんの間のドアは、無慈悲にも閉められたのだった。

 へへーんだ!
 ざまーみろ!

 わたしは突然訪れたざまぁ展開に、気分がスカッとしていた。

 それと同時に、わたしのことを守ってくれたブリスタニア王とライオネルに、すごくすごく感謝もしてたんだ。

「ありがとうございました、王さま」
 わたしはまずブリスタニア王に、感謝の言葉を述べた。

「なに。礼を言われるようなことではない。我が息子ライオネルの大切な想い人が、あのような愚物に好き放題言われる理由などないゆえな」

 王さまはそう言うと、してやったりという顔で笑った。

「ライオネルも、ありがとうございした。ライオネルがわたしの言いたいことを全部言ってくれて、すごくスカッとして、とっても嬉しかったです」

「ボクも父と一緒で、ずっと思っていたことを言ったまでさ。だけど、気になるな――」
 ライオネルが口元に手を当てて、考え込むような仕草を見せた。

「えっと、なにがでしょうか?」
 相変わらずよくわかってないわたしが聞き返すと、

「うん、バーバラが急に、クレアを呼び戻したいって使者を寄こしたことさ」
 ライオネルが優しく答えてくれる。
しおりを挟む
感想 133

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

現聖女ですが、王太子妃様が聖女になりたいというので、故郷に戻って結婚しようと思います。

和泉鷹央
恋愛
 聖女は十年しか生きられない。  この悲しい運命を変えるため、ライラは聖女になるときに精霊王と二つの契約をした。  それは期間満了後に始まる約束だったけど――  一つ……一度、死んだあと蘇生し、王太子の側室として本来の寿命で死ぬまで尽くすこと。  二つ……王太子が国王となったとき、国民が苦しむ政治をしないように側で支えること。  ライラはこの契約を承諾する。  十年後。  あと半月でライラの寿命が尽きるという頃、王太子妃ハンナが聖女になりたいと言い出した。  そして、王太子は聖女が農民出身で王族に相応しくないから、婚約破棄をすると言う。  こんな王族の為に、死ぬのは嫌だな……王太子妃様にあとを任せて、村に戻り幼馴染の彼と結婚しよう。  そう思い、ライラは聖女をやめることにした。  他の投稿サイトでも掲載しています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

召喚聖女が来たのでお前は用済みだと追放されましたが、今更帰って来いと言われても無理ですから

神崎 ルナ
恋愛
 アイリーンは聖女のお役目を10年以上してきた。    だが、今回とても強い力を持った聖女を異世界から召喚できた、ということでアイリーンは婚約破棄され、さらに冤罪を着せられ、国外追放されてしまう。  その後、異世界から召喚された聖女は能力は高いがさぼり癖がひどく、これならばアイリーンの方が何倍もマシ、と迎えが来るが既にアイリーンは新しい生活を手に入れていた。  

義母の企みで王子との婚約は破棄され、辺境の老貴族と結婚せよと追放されたけど、結婚したのは孫息子だし、思いっきり歌も歌えて言うことありません!

もーりんもも
恋愛
義妹の聖女の証を奪って聖女になり代わろうとした罪で、辺境の地を治める老貴族と結婚しろと王に命じられ、王都から追放されてしまったアデリーン。 ところが、結婚相手の領主アドルフ・ジャンポール侯爵は、結婚式当日に老衰で死んでしまった。 王様の命令は、「ジャンポール家の当主と結婚せよ」ということで、急遽ジャンポール家の当主となった孫息子ユリウスと結婚することに。 ユリウスの結婚の誓いの言葉は「ふん。ゲス女め」。 それでもアデリーンにとっては、緑豊かなジャンポール領は楽園だった。 誰にも遠慮することなく、美しい森の中で、大好きな歌を思いっきり歌えるから! アデリーンの歌には不思議な力があった。その歌声は万物を癒し、ユリウスの心までをも溶かしていく……。

【完結】次期聖女として育てられてきましたが、異父妹の出現で全てが終わりました。史上最高の聖女を追放した代償は高くつきます!

林 真帆
恋愛
マリアは聖女の血を受け継ぐ家系に生まれ、次期聖女として大切に育てられてきた。  マリア自身も、自分が聖女になり、全てを国と民に捧げるものと信じて疑わなかった。  そんなマリアの前に、異父妹のカタリナが突然現れる。  そして、カタリナが現れたことで、マリアの生活は一変する。  どうやら現聖女である母親のエリザベートが、マリアを追い出し、カタリナを次期聖女にしようと企んでいるようで……。 2022.6.22 第一章完結しました。 2022.7.5 第二章完結しました。 第一章は、主人公が理不尽な目に遭い、追放されるまでのお話です。 第二章は、主人公が国を追放された後の生活。まだまだ不幸は続きます。 第三章から徐々に主人公が報われる展開となる予定です。

偽物と断罪された令嬢が精霊に溺愛されていたら

影茸
恋愛
 公爵令嬢マレシアは偽聖女として、一方的に断罪された。  あらゆる罪を着せられ、一切の弁明も許されずに。  けれど、断罪したもの達は知らない。  彼女は偽物であれ、無力ではなく。  ──彼女こそ真の聖女と、多くのものが認めていたことを。 (書きたいネタが出てきてしまったゆえの、衝動的短編です) (少しだけタイトル変えました)

処理中です...