【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)

てんつぶ

文字の大きさ
5 / 24

大きく育った彼と買い出しに

しおりを挟む
 クレナイはあっという間に成長した。

 異常なまでに成長が早い。    
 小さかった体がたったの5年であっという間に大人の男のようになってしまった。

 出会ったときの彼は確かに小さな子供だった。6歳位の未発達な子供だったのだ。
 それが気がつけばグングン育ち、僕に追いつき、そしてやすやすと追い抜いてしまった。
 僕より頭一つ分背が高くなり、ひょろひょろの僕を嗤うがのごとくその体はガッチリとした筋肉で覆われしっかりとした厚みがある。

 いつまで経っても子供っぽい顔の僕と並ぶと、どちらが親か分からないくらいだ。小さいときですら年の離れたの兄弟のようだったのに、今ではもう兄弟にすら見えない。
 
 というか、成長しすぎじゃないだろうか? 獣人とのハーフだったのかと思う程、人間ではありえない成長速度だ。だがクレナイが人間であれ獣人であれ、可愛いうちの子であるという事に変わりはない。
 そう、僕もこの5年ですっかり親ばかが板についていた。

「スイ、どうした。疲れたか」

 少し高めの声は、成長過程で甘く痺れるような低音に変わった。彼からとつとつと出てくる言葉は、こちらの言語に慣れた今でも少し淡々としているけれど、それがまたクレナイの楽器のような低い声に酷く似合っている。
 
 大きくなったクレナイは、可愛い男の子から、すっかりカッコいい男に変わった。
 元々の性格なのかいつでも優しいし、町に行けば顔なじみの女の子達が寄ってくる。
 もう、僕と居るのも終わりかなぁ。

「スイ、もう少しで今日の野営場所に着くから。頑張れるか?」

 もー、それ位知ってるよ……。
 僕たちは今、三か月に一度の買い出しに向かっている。誰も来ない森の奥では、自給自足できるものとできない物がある。
 例えば服。例えば石鹸などの日用品。
 そんなものを森の近くの町に買い出しに行くのだ。と言っても、そこに着くまでに歩いて3日はかかるからちょっとした旅になる。高低差のあるこの森は、崖があったり遠回りせざるを得ない川が流れていたりと中々時間がかかるのだ。

 小さかった頃でも僕のペースに合わせられた彼は、成長した今となってはすっかり僕をリードする形になってしまっていた。

「大丈夫……ごめん、僕、歩調合わせるのが精一杯で……」

 ゼイゼイと息をつく。
 情けないけど足の長さも筋力も体力も違うのだ。いつからか、荷物は全てクレナイが持ってくれているけれど体力はどんどん引き離される一方だ。
 おかしいな、二人とも同じもの食べてるのになぁ……。

 クレナイは、そんな僕をその赤い瞳でじっと見た。

「スイ、ごめん」

「うわわっ!?」

 え、ちょっと……!?
 何故僕は義理の息子にお姫様抱っこされているのか??
 不安定な態勢に思わずその首にしがみ付くと、ふわりとクレナイの匂いがした。

「スイ、オレが抱えていく。掴まってて」

「へ?ひゃあぁぁぁぁ……!!」

 成人男性である僕と野営分の荷物を抱えて、クレナイは軽快に走り出した。
 ものすごいスピードで景色が変わっていく。
 な、なにこれ!?クレナイこんなに早く走れたの!?うちの子凄い……。
 僕は感動しながら、しっかりとクレナイの首に腕を回し、落ちないようにしがみついていた。

 
しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

【完結】婚約破棄したのに幼馴染の執着がちょっと尋常じゃなかった。

天城
BL
子供の頃、天使のように可愛かった第三王子のハロルド。しかし今は令嬢達に熱い視線を向けられる美青年に成長していた。 成績優秀、眉目秀麗、騎士団の演習では負けなしの完璧な王子の姿が今のハロルドの現実だった。 まだ少女のように可愛かったころに求婚され、婚約した幼馴染のギルバートに申し訳なくなったハロルドは、婚約破棄を決意する。 黒髪黒目の無口な幼馴染(攻め)×金髪青瞳美形第三王子(受け)。前後編の2話完結。番外編を不定期更新中。

【完結】自称ヒロイン役を完遂した王家の影ですが、断罪パーティーをクリアした後に王太子がぐいぐい来ます。

竜鳴躍
BL
優秀過ぎる王太子×王家の影(失業)。 白い肌に黒髪黒瞳。小柄な体格で――そして両性具有。不出来な体ゆえ実の親に捨てられ、現在はその容姿を含め能力を買われて王家の影をしていたスノウ=ホワイト。男爵令嬢として王太子にハニトラを仕掛け、婚約者を悪役令嬢に仕向けて王太子への最終試験をしていたのだが、王太子は見事その試練を乗り越えた。これでお役御免。学園を退学して通常勤務に戻ろう――――――。 そう思っていたのに、婚約者と婚約解消した王太子がぐいぐい来ます! 王太子が身バレさせたせいで王家の影としてやっていけなくなり、『男子生徒』として学園に通うスノウとそんなスノウを妃にしたくてつきまとう王太子ジョエルの物語。 ☆本編終了後にいちゃいちゃと別カップル話続きます。 ☆エンディングはお兄ちゃんのおまけ+2ルートです。

ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

姉の婚約者の心を読んだら俺への愛で溢れてました

天埜鳩愛
BL
魔法学校の卒業を控えたユーディアは、親友で姉の婚約者であるエドゥアルドとの関係がある日を境に疎遠になったことに悩んでいた。 そんな折、我儘な姉から、魔法を使ってそっけないエドゥアルドの心を読み、卒業の舞踏会に自分を誘うように仕向けろと命令される。 はじめは気が進まなかったユーディアだが、エドゥアルドの心を読めばなぜ距離をとられたのか理由がわかると思いなおして……。 優秀だけど不器用な、両片思いの二人と魔法が織りなすモダキュン物語。 「許されざる恋BLアンソロジー 」収録作品。

弟が兄離れしようとしないのですがどうすればいいですか?~本編~

荷居人(にいと)
BL
俺の家族は至って普通だと思う。ただ普通じゃないのは弟というべきか。正しくは普通じゃなくなっていったというべきか。小さい頃はそれはそれは可愛くて俺も可愛がった。実際俺は自覚あるブラコンなわけだが、それがいけなかったのだろう。弟までブラコンになってしまった。 これでは弟の将来が暗く閉ざされてしまう!と危機を感じた俺は覚悟を持って…… 「龍、そろそろ兄離れの時だ」 「………は?」 その日初めて弟が怖いと思いました。

王子殿下が恋した人は誰ですか

月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。 ――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。 「私の結婚相手は、彼しかいない」 一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。 仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。 「当たりが出るまで、抱いてみる」 優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。 ※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。

処理中です...