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第二章 悪女復活!?
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ところが、ヨルクはエルゼの手を持ち上げると、おかしなことを言い出した。
「わざわざ見せて下さるとは、実にお優しい。ですが、このレースはどうも目が粗いようです。うちのレースの手袋なら、貴女の美しさをもっと引き立てるかと」
「え?」
「すみません。すぐに仕事に結びつけるのは悪い癖ですね。ミレディアにも、よくそれで怒られていまして。妹と懇意なら、最高級の物をお届けしましょう」
「え? あの、わたくしは別に……」
わざと勘違いを装うヨルクに、エルゼは言葉を失くしたようだ。周りの令嬢達は、呆気に取られて見ている。
「そうですか? まあ新作は妹に行くので、当分お待ちいただかないといけませんがね? ああ、お引き留めしてすみません。お互い暇ではないのに考えもせず……。では、私達はこれで」
ヨルクは優雅に微笑むと、エルゼの手をあっさり離した。軽く会釈し、私の手を引く。引き際も鮮やかで、後には呆然とした顔のエルゼと取り巻き達が残された。
今までで最短の通過タイムだったかもしれない。部屋に通され王子を待つ間、私は兄に話しかけることに。
「お兄様の営業用の話し方、初めて聞いた気がするわ」
「ごめんね。ミレディアをバカにされたのに、あんな程度で。もっと言っても良かったけれど、我が家の評判が下がると今までの苦労が水の泡だから」
「いいえ、十分よ。だけど、新作だなんて一言も……」
「ああ、あれ? もちろん嘘だよ。王子達からの注文で手一杯だ」
「それならなぜ……」
「ミレディアが一番だって示したくて。どんな理由があるにせよ、複数で一人をいじめるなんて、あってはならないことだよね?」
ヨルクの言う通りだ。
何だろう、兄がちょっとだけかっこよく見えるような。
しばらくして、王子達が部屋に入って来た。美貌の二人が並ぶと壮観だ。この光景も今日で見納めなので、しっかり目に焼き付けておこう。
「ディア、いつにも増して早いんだな。兄上と一緒だからか?」
「こんにちは、ディア。ついでにヨルクもようこそ」
低い声のクラウス王子と、にっこり笑うアウロス王子。二人の言葉に、兄が敵意をむき出しにする。
「これはこれは殿下。うちのミレディアを、大変気に入っていただいたようで。でも、妹よりうちの商品をお気に召したということで、よろしいですよね? そのために本日呼ばれたと、思っておりますが」
兄よ、さっきの営業トークどこに行った? 顔から笑みが消えてるし、噛みつき感が半端ない。
「ああ、もちろん」
「僕は両方好きだけどね?」
アウロス王子の言葉に、兄が慌てた様子で私を見る。私は急いで首を横に振り――いやいや、ないから。この人いっつもこんなだし、止めても好きって言っちゃうし。
全く気持ちがこもっておらず、ドキッとするのも疲れた。毎朝無事に目覚めるので、好きっていうのは本気じゃない。たぶんどの女性に対しても、同じ態度なんだと思う。
ワインの売買契約を交わし、互いにサインする。レースについては覚書で、王子達の注文した完成品を見てから判断しようということになった。満足できれば、城で扱うテーブルセンターやリネン類など多くの製品をうちで手掛けることとなる。
兄に続いて握手を求められたため、素直に応じた。王子達の手に触れるのもこれで最後かと思うと、少しだけ寂しい。最初は……ああ、ダンスを踊った時だったわね? 大きな手に自分の手を重ねた瞬間、私の世界は百八十度変わった。
あの時なぜ、私は応じたの? ムッとしたからというだけでは、もちろん説明がつかない。触れた手は温かく、どこか懐かしいような感じがして……
今となってはもう、どうでもいいことね? 契約が終わり、私の役目も終わった。王都を離れて領地に帰り、老後の準備を進めよう。
「茶を飲む時間はあるのだろう?」
「いえ……」
「もちろんです。ありがたい!」
つらくなる前にここから離れたかったのに、ヨルクったら勝手に返事なんかして! でも、もう最後だ。それなら美味しいお茶を心ゆくまで味わいましょうか。
「それで、ディアはこれからどうするつもりだ?」
クラウス王子の声にドキリとしてしまう。告白されそうになったら、急いでこの場を逃げないと。けれど淡々としたその声は、とても私に好意があるような感じではない。
「ミレディアは、領地に帰します。妹には田舎の暮らしの方が向いているのかと」
私に代わって兄が答える。
その通りだからいいんだけど、お別れはけじめとして、私の口から言わせてほしかった。
「そうか、その方がいいかもしれないな」
……あれ?
「気が向いたらまた、遊びにおいでよ」
…………あれれ?
「お二人にそう言っていただけて、大変光栄です。機会があればまた、妹を連れてきましょう」
兄も心にもないことを。
だけど、王子達の言葉はいったいどういう意味? 契約が済んだら、私も必要ないということ? 触れる手も真っ直ぐな瞳も、全ては双子の遊びだったのだろうか。エルゼが好きでないのなら、口説かれていたような気もするけれど……私の思い過ごしだったのかもしれない。
お別れできて喜ぶところで、気にするなんてどうかしている。いざとなれば、悪女のフリして王子を詰ろうとまで思い詰めていただけに、なんだか拍子抜けした。安心したのにがっかりしている。こんなに早く私に興味を失くしてしまうとは!
生まれ変わる度好意を寄せられることはあっても、急速に失くされたことは初めてだ。いえ、最初から私に何の感情も抱いてなかったのかもしれない。それともやっぱりエルゼが好き……?
最後のお茶は楽しめなかった。そんな私に、クラウス王子が紅茶と焼き菓子をお土産に持たせてくれる。茶葉を大量に渡されたってことは、きっともうここへは来るな、ということなのだろう。
別れ際、私は淑やかに膝を折り、なるべく明るい声を出す。
「両殿下の恩情とご厚情には大変感謝しております。今までお世話になり、ありがとうございました」
「こちらこそ、君のおかげで楽しく過ごせた」
「僕も。頼んだ物が出来たら、また届けてね」
「アウロス!」
「それくらい、いいと思うけど?」
いざ退室しようとすると、クラウス王子に引き留められた。いえ、私ではなく兄が。
「ヨルク、少しだけいいか? 話がある」
そう言って、兄を別室に連れて行く。
クラウス王子、まさかの兄狙い?
戸惑う私に、アウロス王子が優しく話しかけて来た。
「クラウスは頭が固いからね。こうと決めたら……まあ、様子を見ようよ」
どういう意味かしら? そしてぎりぎりまで当然のように私の手を握り、甲にキスをするのはやめてほしい。どうせ触られるなら、クラウ……って、違うから。
戻って来たヨルクは難しい顔で、珍しく眉間に皺を寄せている。アウロス王子はそんな兄に話しかけながら、一緒に部屋を出て行った。気づけば私は、クラウス王子と取り残されて、向き合う形に。いつになく真剣な目に、告白されるのではないかと考えて、ヒヤリとしてしまう。
「あの……」
「ディア、この前はすまなかった」
「いえ、クラウス様こそお怪我が治って何よりです」
端整な顔に付いた傷はすっかり消えていた。それに、彼が謝ることではないような。
「ありがとう。ディア、元気で。さようなら」
次の瞬間、私の頬に片手を触れた王子が額にキスを落とした。ドキリとしたけれど、告白されたわけじゃない。しかもおでこって……友情ってことかしら?
「ええっと、クラウス殿下もお元気で」
「クラウスだ。言っただろう?」
目を細め、唇に私の好きな笑みを浮かべた。それなら私も笑顔を返そう。最後くらい綺麗にお別れしたいから。
「さようなら、クラウス様」
青い瞳に見送られ、私は部屋を後にした。
「わざわざ見せて下さるとは、実にお優しい。ですが、このレースはどうも目が粗いようです。うちのレースの手袋なら、貴女の美しさをもっと引き立てるかと」
「え?」
「すみません。すぐに仕事に結びつけるのは悪い癖ですね。ミレディアにも、よくそれで怒られていまして。妹と懇意なら、最高級の物をお届けしましょう」
「え? あの、わたくしは別に……」
わざと勘違いを装うヨルクに、エルゼは言葉を失くしたようだ。周りの令嬢達は、呆気に取られて見ている。
「そうですか? まあ新作は妹に行くので、当分お待ちいただかないといけませんがね? ああ、お引き留めしてすみません。お互い暇ではないのに考えもせず……。では、私達はこれで」
ヨルクは優雅に微笑むと、エルゼの手をあっさり離した。軽く会釈し、私の手を引く。引き際も鮮やかで、後には呆然とした顔のエルゼと取り巻き達が残された。
今までで最短の通過タイムだったかもしれない。部屋に通され王子を待つ間、私は兄に話しかけることに。
「お兄様の営業用の話し方、初めて聞いた気がするわ」
「ごめんね。ミレディアをバカにされたのに、あんな程度で。もっと言っても良かったけれど、我が家の評判が下がると今までの苦労が水の泡だから」
「いいえ、十分よ。だけど、新作だなんて一言も……」
「ああ、あれ? もちろん嘘だよ。王子達からの注文で手一杯だ」
「それならなぜ……」
「ミレディアが一番だって示したくて。どんな理由があるにせよ、複数で一人をいじめるなんて、あってはならないことだよね?」
ヨルクの言う通りだ。
何だろう、兄がちょっとだけかっこよく見えるような。
しばらくして、王子達が部屋に入って来た。美貌の二人が並ぶと壮観だ。この光景も今日で見納めなので、しっかり目に焼き付けておこう。
「ディア、いつにも増して早いんだな。兄上と一緒だからか?」
「こんにちは、ディア。ついでにヨルクもようこそ」
低い声のクラウス王子と、にっこり笑うアウロス王子。二人の言葉に、兄が敵意をむき出しにする。
「これはこれは殿下。うちのミレディアを、大変気に入っていただいたようで。でも、妹よりうちの商品をお気に召したということで、よろしいですよね? そのために本日呼ばれたと、思っておりますが」
兄よ、さっきの営業トークどこに行った? 顔から笑みが消えてるし、噛みつき感が半端ない。
「ああ、もちろん」
「僕は両方好きだけどね?」
アウロス王子の言葉に、兄が慌てた様子で私を見る。私は急いで首を横に振り――いやいや、ないから。この人いっつもこんなだし、止めても好きって言っちゃうし。
全く気持ちがこもっておらず、ドキッとするのも疲れた。毎朝無事に目覚めるので、好きっていうのは本気じゃない。たぶんどの女性に対しても、同じ態度なんだと思う。
ワインの売買契約を交わし、互いにサインする。レースについては覚書で、王子達の注文した完成品を見てから判断しようということになった。満足できれば、城で扱うテーブルセンターやリネン類など多くの製品をうちで手掛けることとなる。
兄に続いて握手を求められたため、素直に応じた。王子達の手に触れるのもこれで最後かと思うと、少しだけ寂しい。最初は……ああ、ダンスを踊った時だったわね? 大きな手に自分の手を重ねた瞬間、私の世界は百八十度変わった。
あの時なぜ、私は応じたの? ムッとしたからというだけでは、もちろん説明がつかない。触れた手は温かく、どこか懐かしいような感じがして……
今となってはもう、どうでもいいことね? 契約が終わり、私の役目も終わった。王都を離れて領地に帰り、老後の準備を進めよう。
「茶を飲む時間はあるのだろう?」
「いえ……」
「もちろんです。ありがたい!」
つらくなる前にここから離れたかったのに、ヨルクったら勝手に返事なんかして! でも、もう最後だ。それなら美味しいお茶を心ゆくまで味わいましょうか。
「それで、ディアはこれからどうするつもりだ?」
クラウス王子の声にドキリとしてしまう。告白されそうになったら、急いでこの場を逃げないと。けれど淡々としたその声は、とても私に好意があるような感じではない。
「ミレディアは、領地に帰します。妹には田舎の暮らしの方が向いているのかと」
私に代わって兄が答える。
その通りだからいいんだけど、お別れはけじめとして、私の口から言わせてほしかった。
「そうか、その方がいいかもしれないな」
……あれ?
「気が向いたらまた、遊びにおいでよ」
…………あれれ?
「お二人にそう言っていただけて、大変光栄です。機会があればまた、妹を連れてきましょう」
兄も心にもないことを。
だけど、王子達の言葉はいったいどういう意味? 契約が済んだら、私も必要ないということ? 触れる手も真っ直ぐな瞳も、全ては双子の遊びだったのだろうか。エルゼが好きでないのなら、口説かれていたような気もするけれど……私の思い過ごしだったのかもしれない。
お別れできて喜ぶところで、気にするなんてどうかしている。いざとなれば、悪女のフリして王子を詰ろうとまで思い詰めていただけに、なんだか拍子抜けした。安心したのにがっかりしている。こんなに早く私に興味を失くしてしまうとは!
生まれ変わる度好意を寄せられることはあっても、急速に失くされたことは初めてだ。いえ、最初から私に何の感情も抱いてなかったのかもしれない。それともやっぱりエルゼが好き……?
最後のお茶は楽しめなかった。そんな私に、クラウス王子が紅茶と焼き菓子をお土産に持たせてくれる。茶葉を大量に渡されたってことは、きっともうここへは来るな、ということなのだろう。
別れ際、私は淑やかに膝を折り、なるべく明るい声を出す。
「両殿下の恩情とご厚情には大変感謝しております。今までお世話になり、ありがとうございました」
「こちらこそ、君のおかげで楽しく過ごせた」
「僕も。頼んだ物が出来たら、また届けてね」
「アウロス!」
「それくらい、いいと思うけど?」
いざ退室しようとすると、クラウス王子に引き留められた。いえ、私ではなく兄が。
「ヨルク、少しだけいいか? 話がある」
そう言って、兄を別室に連れて行く。
クラウス王子、まさかの兄狙い?
戸惑う私に、アウロス王子が優しく話しかけて来た。
「クラウスは頭が固いからね。こうと決めたら……まあ、様子を見ようよ」
どういう意味かしら? そしてぎりぎりまで当然のように私の手を握り、甲にキスをするのはやめてほしい。どうせ触られるなら、クラウ……って、違うから。
戻って来たヨルクは難しい顔で、珍しく眉間に皺を寄せている。アウロス王子はそんな兄に話しかけながら、一緒に部屋を出て行った。気づけば私は、クラウス王子と取り残されて、向き合う形に。いつになく真剣な目に、告白されるのではないかと考えて、ヒヤリとしてしまう。
「あの……」
「ディア、この前はすまなかった」
「いえ、クラウス様こそお怪我が治って何よりです」
端整な顔に付いた傷はすっかり消えていた。それに、彼が謝ることではないような。
「ありがとう。ディア、元気で。さようなら」
次の瞬間、私の頬に片手を触れた王子が額にキスを落とした。ドキリとしたけれど、告白されたわけじゃない。しかもおでこって……友情ってことかしら?
「ええっと、クラウス殿下もお元気で」
「クラウスだ。言っただろう?」
目を細め、唇に私の好きな笑みを浮かべた。それなら私も笑顔を返そう。最後くらい綺麗にお別れしたいから。
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