ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます！

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　朝がきて、窓から光が差し込んでくる。
　結局私はあの後師匠に言われるがまま、一人この工房に残ることになった。
　師匠と話したこの部屋は見たところ販売スペースのようで、棚やカウンター、窓際には椅子とテーブルが置いてある。その他にも師匠の初代錬金釜が置いてあり、自由に使っていい。ということだったのでまたまた師匠の釜をお借りすることになった。小さいながらに倉庫や台所にお風呂などもあるし、2階には小部屋が6部屋と、明るくなって探索してみると金貨1000枚（ローン）で買ったこの物件は意外と広かった。
　やっぱり私に隠れて師匠はここに定期的に来ていたようで、建物に痛みや壊れたところもなかったし、錬金釜だけはホコリなど被っていなくきれいだった。なにかの試作品を作っていたようで、倉庫には雑貨とガラスの瓶や鉱石の類がいくつか置いてあるのと、錬金術書が数冊あった。アカデミーで使っていた本などを全て置いてきてしまった私にとっては非常にありがたかった。正直私が作れるのは初級の回復役ポーションや爆弾などの錬金術士として初級の物ばかりだからだ。錬金術のお店なのに並ぶ品物が初級爆弾と微々たる回復役だけになるところだった。
　師匠はあのあとなにか手伝ってくれるわけでもなく、夜が明ける前にすぐに帰ってしまった。帰り際に、「お助けアイテムを渡して置こう。」と言われてもらった置き土産は2つ。
　1つはカバン。私はよく異世界転生である無限収納袋的な物だと思って歓喜した！チートアイテム大歓迎！って思ったのに、中に入るのはせいぜい馬車の荷台分程度。しかも中に入れた生ものは普通に腐るらしく、ありがたいけどありがたみが薄いものだった。ただ、少しづつカバンの性能は錬金術であげることができるらしく、「あとは自分の錬金術で上げろ。」とのことだった。異世界モノでよく見た女神、神様は新しい世界に行くときにいろいろくれるのはアニメ化されるだけあって恵まれた世界なのかもしれない、と今更現実を知った。
　2つめは指輪だった。『絶対に外すな』という言いつけがあった。師匠曰く、通信機能があり、どうしても困った時に3回だけ師匠に連絡を取ることができる物だそう。スマホ的な感じで便利だけど、これも空飛ぶじゅうたん同様レアアイテムだからあまり他の人に知られない方がいい。という事でファッションリングのように見えるように指輪の形で渡してくれた。ちなみに、このレベルのレアアイテムを作れるのはAランクの錬金術士以上なので盗賊などの類に私がAランク以上の一流錬金術士ですよー、ってアピールしているようなもので、捕まったりすればどこかのお金持ちさんに売り飛ばされて死ぬまで監禁されてレアアイテムを錬成しなければならない地獄があるとかないとかというのを師匠に聞いたことがある。まぁ、こうゆうのをポンポン作れちゃうあたり、『自分は大陸1の錬金術師なんだ』って言ってたのが何だか本当に思えちゃうんだよなぁ。

（はぁ、なにから手を出したらいいのかわからないけど、まずはお掃除をしなくちゃ！）

　実際に師匠のすごさを目の当たりにしてため息がもれてしまう。私みたいな駆け出しの半端物がこんな最果ての地で本当にやっていけるのだろうかと心配になってしまうが、お店たるものきれいでないといけない！それはこの世界でも、前世も関係なく全世界共通のはず！そう思って私は店の奥にあるバケツをもって庭にある井戸へ水を汲みに行くことにした。