ひきこもり娘は前世の記憶を使って転生した世界で気ままな錬金術士として生きてきます!

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 ミルガナの禁足地を目指すことになった私たちは、朝出発して小さき妖精の森ピクシーの森を避け、少し迂回ルートを使うことにした。林を抜け、森を抜けミルガナの麓につく頃にはすでにお昼を回っていた。

「つ、ついたわ。久しぶりに来たけど、大きな山ね」

 ミーちゃんは少し疲れている様子だった。ルーシーちゃんも態度には出さないけど少し呼吸が荒くなっている。そして私も疲れた。
 ここに来る前に、林で大きなカエル型のモンスターに追われて、森ではベアビースト熊型のモンスターがいて見つからないようにコソコソあるき、無事に?ここまでたどり着いた。お世辞にも3人の初冒険は順風満帆とは言い難い…。

「もう少し登れば分かれ道があるから、そこまで行くわよ。禁足地はそこから遠くないわ」

「う、うん。ここまで来たのは初めてだけど、…やっぱり少し暑いねぇ…あ、ちょっと待って…はい、これ使って!」

 私は道具袋から靴下を取り出して2人に渡した。2人とも、『えっ?』という顔をしながらも靴下を受け取る。

「こ、この靴下、まさかとは思うけどエリーちゃんの…じゃないよね?」

「なんでアンタの使い古しの靴下をわざわざミルガナでしかも片っぽだけ貰わないといけないのよ!」

「えっ!?ち、ちがうよ!靴下だけど、そうじゃなくて…でもミーちゃん、そんな使い古しだなんてひどいよ。いくら私でも使い古しの靴下を2人に一個ずつ上げたりしないよ」

 ミーちゃんの言い方に割と本気で凹んだ。そもそも使い古しの靴下をあげる変な子って思われている事も悲しかった。

「それ、中に小さな樹氷石が入ってるの。直接持つよりも使いやすいかと思って…」

「あ、ほんとだ。ちょっと冷たくて気持ちいい」

「そ、それならそうと言いなさいよ。紛らわしいんだからっ!」

「こうやって、服の中に入れちゃっても直接体にあたらないから冷たすぎないし、ベルトにぶら下げるとなんとなく涼しい空気感じるし、使いやすいと思うよ。ただ、もう何時効果がなくなるかわからないようなサイズだから、冷えなくなっちゃったら言ってね。まだ少し持ってるから」

 私は腰のベルトに樹氷石が入った靴下をぶら下げた。周囲の空気がなんとなくひんやりして気持ちい。

 他の2人もそれぞれ靴下をぶら下げる。見た目的には変な集団だと思う。でも、でも私も本当はもっと違うのが良かったんだけど、氷枕を錬成するのに布をたくさん使ってしまってもう布が残ってなかったから…いたしかたなく。

「ほら!これで少し涼しくなったよ!さぁ、さきにすすもう!」

 私は2人の手をとってミルガナの山を登りだした。小さな石がたくさん転がっている。整備されているわけではなく、自然のけもの道を進んでいく。緩やかな傾斜を登っていると、錬金術の材料になりそうなものが結構転がっている。思わず手を伸ばすとことごとくルーシーちゃんに引き戻されて拾うことなく先に進んでいく。もったいない。
 少し進むとけもの道がなくなり少し開けて植物が少ない道に変わってきた。砂利、石が多数転がっている。

「この辺りは植物があまり育たないんだって。禁足地にあるんだけど、燃える石っていうものがあるせいで植物が育たないっておじいちゃんに聞いたわ。実際に燃える石っていうを見たことがあるわけじゃないからどんなものかは知らないけど…。」

「燃える石かぁ…。持って帰れるかなぁ?」

「燃えてるんだから…無理じゃないかな。持てないし。エリーちゃんが火に強いなら別だけど」

「んー。やっぱり無理かなぁ。水で消して持って帰るとか?」

「それじゃただの石じゃないの?」

「あ、そっか」

「2人でバカ言ってんじゃないわよ。ほら、ここから先が禁足地よ」

 燃える石、という中々にレアアイテムを聞いて興味が出てルーシーちゃんと話していると、ミーちゃんに怒られてしまった。でも、どうにか持って帰りたいんだけどなぁ。

 禁足地、と言われた道は緩やかな傾斜道だったけど、上からは生ぬるい風が吹いてきている。ここからはまだ刺さった大きな岩。というのが見えないので、私たちは緩やかな傾斜を登っていくことにした。



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