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斜面を登りきると、反対側は急な下り坂になっていた。ゆっくりと坂を下りると、遠くに衣服やなにかものが散らばっているのが見えた。きっとレオさんたちがモンスターに襲われた時に落とした物だろう。この辺りを通ったに違いない。そして、坂を下り来ると目の前には地面に刺さったような大きな岩。
「地面に刺さった大きな岩…」
「うん、岩だねぇ。刺さったっていうか、なんか不思議な形だね」
わかりやすく言うと溶けたろうそくみたいになっていて、上の部分がなんか溶けたように見える。この石はろうそく石と名付けよう。
「エリーちゃん、わたしあの冒険者たちが落としていったものをちょっと見てくるね」
「うん、気を付けてね。まだモンスターがいるかもしれないし…」
「大丈夫よ、そんな遠くまで行かないし。危ないと思ったらすぐに戻ってくるわ」
「エリナ、私もあの冒険者たちが言ってた『洞窟』っていうのを探してくる。見えるところにあるっていうなら、この辺だろうし」
「うん、ミーちゃんも無理しないでね。私はこの石をもう少し調べてみるよ」
2人が捜索に行くと、私は目の前に不思議な石を調べることにした。
(うーん。特におかしいところはないし、普通の石に見えるんだけどなぁ)
石の周りを一周してみるも、特に変な所は見当たらず、あくまでも『ちょっと大きな石で上の方が溶けている』という事だけ。
(ミーちゃんの言ってた燃える石っていうのも見当たらないし、これじゃないのかな。でも、レオさんたちの衣類や装備の一部みたいなのは落ちてるし、きっとこの辺の事なんだと思うんだけど)
私が石を見上げると、地の底から鈍い音が聞こえてきた。
ズズズズズズズ‥‥
地面が揺れて、低い、鈍い音が聞こえた。
「きゃぁあ!」
「おっと、っと。。エリーちゃん!だいじょうぶ!?」
ミーちゃんはその場に座り込み、ルーシーちゃんはバランスをとりながら近にあった大きめの石につかまっている。
「うん!大丈夫!2人とも気を付け…て…」
2人の安全を確認した後に目の前のろうそく石に目をやると、うっすら赤い線が入り脈打っていた。周囲の石や岩にもその赤い線は伝染し、あたり一帯がうっすら赤く光りながら脈打っている。
「こ、これって…まさか…」
「え、えりーちゃん!!これなに?!どういうこと!?」
半ばパニックで急いでルーシーちゃんは私の方に戻ってきた。
「え、エリナ!あったわ!こっち!ここに洞窟がある!きっとここのことよ!‥って、なんでこんなに光ってるの!?」
大きな岩陰に小さな穴があいているのをミーちゃんが見つけた。洞窟、と聞いていたけど思っていたよりもずっと小さい。洞窟というよりも洞穴、という感じだった。
私とルーシーちゃんはとりあえずミーちゃんがいる方へ移動することにした。
「ちょっと、これじゃあ1人しか入れないわよね」
ルーシーちゃんが少しきつそうに体を洞穴(洞窟と呼べるほど大きくなかったので洞穴と呼びます)に入れるも、体中がかなりきつそうだった。
「だめ、奥にも少し細いところがあって、私じゃちょっと通れそうもないわ」
そういって胸やお尻の部分のズレた洋服をなおしている。…うん、きっと無理だと思う。その大きさじゃきっと通れない。私でも多分ギリギリかもしれないし…。
「そうだね、も少し細くないと通れないかも」
「でも、中から少しひんやりした空気が来たの。もしかしたら樹氷石も残ってるかもしれないわ」
「そうだね!きっと残ってるよ!でも入れないんじゃ…」
考える私たちは『あっ』と言って顔を見合わせた後にミーちゃんを見た。
「な、なによ。何が言いたいのよ。2人とも」
顔を赤くして、怒りに震えるミーちゃん。私たちは気まずそうに
「うーんとね、スレンダーなミーちゃんならきっと奥に行けると思うんだ、お願いできないかな…」
「あーーー!!!もう!行くわよ!行けばいいんでしょ!なによ2人とも、無駄にでかいだけの癖に!あーヤダヤダ!!もうバカ!」
ミーちゃんは怒りながら剣を置いて洞穴の中にゆっくりと入っていた。私たちはちょっと恥ずかしくなってしまって「ねぇ?」と言ったり、「べつに、ねぇ?」などお互いチラッと改めて胸に視線をいったりきたり…。
洞穴からはミーちゃんの文句がやまびこしながらしばらく聞こえていた。
「地面に刺さった大きな岩…」
「うん、岩だねぇ。刺さったっていうか、なんか不思議な形だね」
わかりやすく言うと溶けたろうそくみたいになっていて、上の部分がなんか溶けたように見える。この石はろうそく石と名付けよう。
「エリーちゃん、わたしあの冒険者たちが落としていったものをちょっと見てくるね」
「うん、気を付けてね。まだモンスターがいるかもしれないし…」
「大丈夫よ、そんな遠くまで行かないし。危ないと思ったらすぐに戻ってくるわ」
「エリナ、私もあの冒険者たちが言ってた『洞窟』っていうのを探してくる。見えるところにあるっていうなら、この辺だろうし」
「うん、ミーちゃんも無理しないでね。私はこの石をもう少し調べてみるよ」
2人が捜索に行くと、私は目の前に不思議な石を調べることにした。
(うーん。特におかしいところはないし、普通の石に見えるんだけどなぁ)
石の周りを一周してみるも、特に変な所は見当たらず、あくまでも『ちょっと大きな石で上の方が溶けている』という事だけ。
(ミーちゃんの言ってた燃える石っていうのも見当たらないし、これじゃないのかな。でも、レオさんたちの衣類や装備の一部みたいなのは落ちてるし、きっとこの辺の事なんだと思うんだけど)
私が石を見上げると、地の底から鈍い音が聞こえてきた。
ズズズズズズズ‥‥
地面が揺れて、低い、鈍い音が聞こえた。
「きゃぁあ!」
「おっと、っと。。エリーちゃん!だいじょうぶ!?」
ミーちゃんはその場に座り込み、ルーシーちゃんはバランスをとりながら近にあった大きめの石につかまっている。
「うん!大丈夫!2人とも気を付け…て…」
2人の安全を確認した後に目の前のろうそく石に目をやると、うっすら赤い線が入り脈打っていた。周囲の石や岩にもその赤い線は伝染し、あたり一帯がうっすら赤く光りながら脈打っている。
「こ、これって…まさか…」
「え、えりーちゃん!!これなに?!どういうこと!?」
半ばパニックで急いでルーシーちゃんは私の方に戻ってきた。
「え、エリナ!あったわ!こっち!ここに洞窟がある!きっとここのことよ!‥って、なんでこんなに光ってるの!?」
大きな岩陰に小さな穴があいているのをミーちゃんが見つけた。洞窟、と聞いていたけど思っていたよりもずっと小さい。洞窟というよりも洞穴、という感じだった。
私とルーシーちゃんはとりあえずミーちゃんがいる方へ移動することにした。
「ちょっと、これじゃあ1人しか入れないわよね」
ルーシーちゃんが少しきつそうに体を洞穴(洞窟と呼べるほど大きくなかったので洞穴と呼びます)に入れるも、体中がかなりきつそうだった。
「だめ、奥にも少し細いところがあって、私じゃちょっと通れそうもないわ」
そういって胸やお尻の部分のズレた洋服をなおしている。…うん、きっと無理だと思う。その大きさじゃきっと通れない。私でも多分ギリギリかもしれないし…。
「そうだね、も少し細くないと通れないかも」
「でも、中から少しひんやりした空気が来たの。もしかしたら樹氷石も残ってるかもしれないわ」
「そうだね!きっと残ってるよ!でも入れないんじゃ…」
考える私たちは『あっ』と言って顔を見合わせた後にミーちゃんを見た。
「な、なによ。何が言いたいのよ。2人とも」
顔を赤くして、怒りに震えるミーちゃん。私たちは気まずそうに
「うーんとね、スレンダーなミーちゃんならきっと奥に行けると思うんだ、お願いできないかな…」
「あーーー!!!もう!行くわよ!行けばいいんでしょ!なによ2人とも、無駄にでかいだけの癖に!あーヤダヤダ!!もうバカ!」
ミーちゃんは怒りながら剣を置いて洞穴の中にゆっくりと入っていた。私たちはちょっと恥ずかしくなってしまって「ねぇ?」と言ったり、「べつに、ねぇ?」などお互いチラッと改めて胸に視線をいったりきたり…。
洞穴からはミーちゃんの文句がやまびこしながらしばらく聞こえていた。
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