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「エリナ~?起きてる~?」
ドアを開けると、ミーちゃんの声が聞こえた。よかった、あんな怖い思いしてたから心配してたけど、思ったよりも全然元気そう。
「う、うん。ちょっと全身痛くて動けないんだけど…まぁ、なんとか起きてるよ」
「ずっと起きなかったら死んじゃうんじゃないかって、ものすごく心配したんだから!本当無事でよかったわ」
「えへへ。ミーちゃんこそ、無事でよかった」
私が笑いかけると少し気まずそうに下を向き、指をモジモジとしながらミーちゃんは言った。
「その、ごめんね。私が軽率な行動をとったせいで、あんなモンスターに囲まれちゃって、あんたにまで迷惑かけちゃったし…」
「そんな、気にしなくていいよ!どうせ見つかってたかもしれないし。むしろ樹氷石が落ちた時に、倒せるヒントになったし、ミーちゃんのおかげで生き残れたんだよ!」
「え、エリナ…」
えへへ、っと笑う私にミーちゃんはもどかしそうな顔をしながら照れ臭そうに笑っていた。
「おまたせ~。お店にポーションが残っててさ。飲んだら少し良くならないかな?って」
ルーシーちゃんの手にポーションが入った瓶がキラッと光る。
「あ、ありがと~!筋肉痛はよくなるかも!ちょうだい!」
私はミーちゃんとルーシーちゃんにゆっくりと起き上がらせてもらうと、ポーションをゆっくりと飲み干す。全身が淡い緑の光に包まれると全身の痛みは嘘のように消えていった。
「あぁ~~!!痛かった。まさか自分のポーションがこれほどありがたいとは思わなかった!…ってあれ?どうしたの?」
元気になった私の前には少し悲しげの顔の2人。私は意味が分からず2人の顔を見つめる。
「その、ねぇ。ルーシア、あんたから言ってよ。」
「う、うん。エリーちゃんあのね…右目と、髪の毛、どうしちゃったの?」
「右目?髪?」
私は自分の髪をおもむろに掴んで目の前に持ってくる。茶色の髪のなかに、白くなった髪がまばらに入っている。
右目は、正直どうなっているかわからないけど…。原因はわかっている。
「あぁー。これか。…大丈夫大丈夫!そのうち治るでしょ。…その、ちなみに右目って、どうなってるの?」
「目は、なんていうか、瞳の色が白く濁っているというか…」
ミーちゃんが言いにくそうに教えてくれた。
「そっか。髪と右目、それに全身の痛みか…。」
部屋に沈黙が広がる。2人は気まずそうな顔で下を見つめたまま動かない。私も、なんて言っていいかわからないけど、とにかく説明しなきゃ。
「これは、きっと魔力開放の反動、副作用みたいな感じなんだ。私たちがバクバウムを倒したときに樹氷石を使ったやつ、覚えてる?」
「うん、あんな魔法始めて見たよ。なんていうか、本当にすごかった」
「うん、厳密に言えば魔法ではないんだけど、アレを使ったせいなんだ。師匠に教えてもらったんだけど、失敗すると世界を滅ぼして自分も死ぬ。(かもしれない)って必殺技なんだけど…」
「えぇー!そんな大魔法だったの!?」
「だから、魔法じゃなくて…う~ん、魔法は、自分の魔力を使って自然界にあるエネルギーと調和して、例えば炎や水を作るようなイメージ。錬金釜は、自分の魔力と素材を融合させるイメージで、今回の魔力開放は、私の魔力を素材に直接流し込んで、素材の中に眠ってる力と強制的に融合させて自分の中に取り込んで、再度放出させるのね。魔力の制御がうまくできなくなっちゃって残っている全部の魔力を使っちゃうし、素材との相性とかが良くないと体の中で爆発しちゃうかもしれないし。今回みたいに運よくなにもおきなくても私自身にも魔力や生命力の使いすぎで体に変調が出ちゃうんだよ。今回は右目の視力と、髪の毛と全身の痛み…みたいだね。この世界と引き換えにしてでも!って時以外は使っちゃダメ、ってくらいの必殺技なんだよ。小さい樹氷石だったし、どうせ死ぬならやってみよう、と思ってやってみたけど、もう二度と使いたくないなぁ。思ったより辛いし、本当に死ぬかもしれないし小さな樹氷石の欠片であの威力ってことは、もう少し大きな石なら大陸中凍らせることもできるかもしれないしから、本当にみんな死んじゃうしね」
「そんな危ない魔法…。じゃなくて技だったんだ…。役に立てなくてごめんね。全部任せちゃって」
「うんうん、気にしないで!普段助けてもらってるし!お互い様だよ!むしろ、ここまで運んでもらって助かったよ。まさか倒れちゃうとは思わなかったから」
頭を下げるルーシーちゃん、それを見てペコリとミーちゃん。なんとなくそれを見て私もペコリ。3人目が合うと、おかしくなって笑ってしまった。
「そ、そんなことよりお昼のラミリアちゃんっていう子、紹介してよ!私今日はじめましてなんだもん」
「そうだよね!ラミリアちゃん、入ってきなよ!」
ルーシーちゃんが声をかけると開いたドアの向こうから、さっきの女の子が顔を出した。童顔の女の子。全身がフワッとしていて【ザ・女の子!】って感じがする。目立たない服装をしているけど、顔立ちやスタイルがいいからどうしても目立ってしまう。
でも、こんなかわいい子がまさか…。この時はまだそんなこと想像もつかなかった。
ドアを開けると、ミーちゃんの声が聞こえた。よかった、あんな怖い思いしてたから心配してたけど、思ったよりも全然元気そう。
「う、うん。ちょっと全身痛くて動けないんだけど…まぁ、なんとか起きてるよ」
「ずっと起きなかったら死んじゃうんじゃないかって、ものすごく心配したんだから!本当無事でよかったわ」
「えへへ。ミーちゃんこそ、無事でよかった」
私が笑いかけると少し気まずそうに下を向き、指をモジモジとしながらミーちゃんは言った。
「その、ごめんね。私が軽率な行動をとったせいで、あんなモンスターに囲まれちゃって、あんたにまで迷惑かけちゃったし…」
「そんな、気にしなくていいよ!どうせ見つかってたかもしれないし。むしろ樹氷石が落ちた時に、倒せるヒントになったし、ミーちゃんのおかげで生き残れたんだよ!」
「え、エリナ…」
えへへ、っと笑う私にミーちゃんはもどかしそうな顔をしながら照れ臭そうに笑っていた。
「おまたせ~。お店にポーションが残っててさ。飲んだら少し良くならないかな?って」
ルーシーちゃんの手にポーションが入った瓶がキラッと光る。
「あ、ありがと~!筋肉痛はよくなるかも!ちょうだい!」
私はミーちゃんとルーシーちゃんにゆっくりと起き上がらせてもらうと、ポーションをゆっくりと飲み干す。全身が淡い緑の光に包まれると全身の痛みは嘘のように消えていった。
「あぁ~~!!痛かった。まさか自分のポーションがこれほどありがたいとは思わなかった!…ってあれ?どうしたの?」
元気になった私の前には少し悲しげの顔の2人。私は意味が分からず2人の顔を見つめる。
「その、ねぇ。ルーシア、あんたから言ってよ。」
「う、うん。エリーちゃんあのね…右目と、髪の毛、どうしちゃったの?」
「右目?髪?」
私は自分の髪をおもむろに掴んで目の前に持ってくる。茶色の髪のなかに、白くなった髪がまばらに入っている。
右目は、正直どうなっているかわからないけど…。原因はわかっている。
「あぁー。これか。…大丈夫大丈夫!そのうち治るでしょ。…その、ちなみに右目って、どうなってるの?」
「目は、なんていうか、瞳の色が白く濁っているというか…」
ミーちゃんが言いにくそうに教えてくれた。
「そっか。髪と右目、それに全身の痛みか…。」
部屋に沈黙が広がる。2人は気まずそうな顔で下を見つめたまま動かない。私も、なんて言っていいかわからないけど、とにかく説明しなきゃ。
「これは、きっと魔力開放の反動、副作用みたいな感じなんだ。私たちがバクバウムを倒したときに樹氷石を使ったやつ、覚えてる?」
「うん、あんな魔法始めて見たよ。なんていうか、本当にすごかった」
「うん、厳密に言えば魔法ではないんだけど、アレを使ったせいなんだ。師匠に教えてもらったんだけど、失敗すると世界を滅ぼして自分も死ぬ。(かもしれない)って必殺技なんだけど…」
「えぇー!そんな大魔法だったの!?」
「だから、魔法じゃなくて…う~ん、魔法は、自分の魔力を使って自然界にあるエネルギーと調和して、例えば炎や水を作るようなイメージ。錬金釜は、自分の魔力と素材を融合させるイメージで、今回の魔力開放は、私の魔力を素材に直接流し込んで、素材の中に眠ってる力と強制的に融合させて自分の中に取り込んで、再度放出させるのね。魔力の制御がうまくできなくなっちゃって残っている全部の魔力を使っちゃうし、素材との相性とかが良くないと体の中で爆発しちゃうかもしれないし。今回みたいに運よくなにもおきなくても私自身にも魔力や生命力の使いすぎで体に変調が出ちゃうんだよ。今回は右目の視力と、髪の毛と全身の痛み…みたいだね。この世界と引き換えにしてでも!って時以外は使っちゃダメ、ってくらいの必殺技なんだよ。小さい樹氷石だったし、どうせ死ぬならやってみよう、と思ってやってみたけど、もう二度と使いたくないなぁ。思ったより辛いし、本当に死ぬかもしれないし小さな樹氷石の欠片であの威力ってことは、もう少し大きな石なら大陸中凍らせることもできるかもしれないしから、本当にみんな死んじゃうしね」
「そんな危ない魔法…。じゃなくて技だったんだ…。役に立てなくてごめんね。全部任せちゃって」
「うんうん、気にしないで!普段助けてもらってるし!お互い様だよ!むしろ、ここまで運んでもらって助かったよ。まさか倒れちゃうとは思わなかったから」
頭を下げるルーシーちゃん、それを見てペコリとミーちゃん。なんとなくそれを見て私もペコリ。3人目が合うと、おかしくなって笑ってしまった。
「そ、そんなことよりお昼のラミリアちゃんっていう子、紹介してよ!私今日はじめましてなんだもん」
「そうだよね!ラミリアちゃん、入ってきなよ!」
ルーシーちゃんが声をかけると開いたドアの向こうから、さっきの女の子が顔を出した。童顔の女の子。全身がフワッとしていて【ザ・女の子!】って感じがする。目立たない服装をしているけど、顔立ちやスタイルがいいからどうしても目立ってしまう。
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