人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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六章 異世界旅行編 4 大陸の最東端へ

890 目を覚さないビワ と 小屋の寒さ対策

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 買って来た魚を受け取り、化けムジナの皮を渡してアレナリアを見送ったカズは、もう使用しない馬車を【アイテムボックス】入れ、小屋の排水場所を前の川から海に変更した。
 その後フジの分も含めた夕食を、戻って来たアレナリアとレラと三人で作る。
 夕食を作り終えた時には、影が細長くなる時間になっていた。
 暗くなる前にフジに食事を与え、食べ終わると小屋に寄り添って寝てしまった。
 暗くなってもビワはまだ起きない。
 起こすのもかわいそうなので、夕食はビワを抜いた三人で済ませた。
 ビワをゆっくり休ませてあげようと、ベッドの横に小屋にある長椅子を二脚並べてベッドを広くした。
 長椅子の上に毛布を重ねて敷き、座布団クッションを枕にしてアレナリアとレラは寝た。
 小柄のアレナリアと小さなレラなので、手足が長椅子から飛び出すことはない。
 カズは隣の部屋で、椅子に座り毛布を掛けて就寝する。
 寝室の扉は開けたままで。


 ◇◆◇◆◇


 深夜にビュービューと強くなった風は、朝には弱くなっていた。
 深夜の風の音でも起きることもなく、何時も起きる時間を過ぎても、ビワは目を覚まさない。
 カズは心配になり、ベッドに乗りビワの隣に移動して、額に手を当てる。
 熱はなく寝息が荒いなんて事もなく、顔色も問題ない。
 起こさないようにベッドを下りて、カズは朝食の支度をする。

 以前に言った事をアレナリアが覚えていたらしく、ルテニウ街で米を見付けて、玄米と精米した米の両方を買ってきてくれた。
 精米した米よりも、玄米の方が少し高かったらしい。
 精米した米がどんな物かと蓋を空けてみたら、カズの知る精米した白米とは雲泥の差があり、殆どの米が砕けて見る影もなかった。
 玄米の方は、見た目はまぁ……。
 ビワの体調を考えて、寝起きに食べるなら胃に優しいものが良いと、砕けている残念な白米で試しにお粥を作ってみる。
 玄米の方も試しに目分量で一合分炊いてみる。
 砕けている白米は軽く水洗いして、気持ち少な目の水でお粥を作る。
 玄米は水洗いを数度繰り返し、少しの間水に晒しておいてから、水を新しくして炊く。

 先に炊けたお粥の味見をする。 
 予想通りベチャッとして、味付け云々うんぬん関係なく美味しくない。
 少量とはいえ捨てるのは勿体ない。
 そのまま食べる気もしないので、後で味付けなりして食べることにした。
 玄米が炊けるまで時間があったので、小屋の外で土属性魔法〈アースウォール〉を使い、風避けのある焚き火台を作り、小屋に戻り魚を焼く準備をする。
 玄米が炊き上がり蒸らしてる間に、はらわたを出して水洗いし、串を刺して軽く塩を振った魚を、小屋の外の焚き火台で焼く。
 急ぐと外が焦げて、中が生焼けになるので、じっくりと時間を掛けて焼く。
 魚を焼いてる間に、試しに炊いた玄米の味見をする。
 何度も水洗いしたので、そのままでも食べれはするが、少しだけ糠臭さが残っていた。
 ルテニウ街で買ってきてもらった玄米と砕けた白米は、濃い目の味付けをしないと、食べる気にはなれない。
 なので他の方法を考えることにした。
 
 米ばかりに気を取られて、魚を焦がしては買って来てくれたアレナリアとレラに申し訳ない。
 魚をひっくり返して反対面を焼き、焼けたらもう一度ひっくり返して最初の面を焼く。
 魚の焼ける匂いに釣られてきたのは、小屋の裏で寝ていたフジ。
 まだ誰も起きてこないので、先にフジに朝食として焼けた魚を与える。
 最初に焼いた魚はフジが全部食べてしまったので、作り置き用にと多目に焼くことにして、追加で【アイテムボックス】から魚を取り出し、捌いて洗いして串を刺し、塩を軽く振り焼く。
 二匹焼けたところで、アレナリアとレラが起きて来たので、先に二人分の朝食の用意をする。
 炊いてあった玄米とお粥を食べてみるとのことだったので、そのまま少しずつ出したが、思った通り不評だった。
 残りは作ったカズが、塩気を強くし焼き魚をおかずにして食べた。

 疲れているだろうとビワを起こさないようにしていたが、まだ目を覚さないので心配になる。
 ここまで長く寝る事も、朝になっても起きないビワを見た事がない。
 流石に中々目を覚さないビワを、アレナリアとレラも心配する。
 特にレラは不安そうにする。
 朝食の後片付けを終えて寝室に入ったカズを、不安そうな表情をして見る。
 そこでカズはビワの状態を確認するために《分析》を使用する。

 知らない内にビワが呪いを受けていたら、どれだけ自分が馬鹿で無能で愚か者だと、永遠に叱責し続けても足りない。 
 幸い病気や呪い等の類の表示はされなかった。
 なら何故ビワは、これ程まで長く寝ているのか?
 ただ単に疲れが溜まっていただけなのか?
 分析のスキルを使って調べても、分からないことがあるのか?
 そう考えていると不安になり、悪い方に考えが向いてしまう。
 ここでそれを表情に出してしまうと、レラの不安を煽ることになっしまう。

「今調べたら、病気とは表示されなかったら大丈夫。同じ妖狐族と会えて、自分の肉親のことがわかるかもと、ここ数日考えていたんだろう。その緊張の糸が切れたんじゃないかな」

「山を下りたのが昨日で、休む間もなく賞金稼ぎの獣人が探しに現れたんだものね」

「島に渡るのは、ビワの体調が良くなってからにする」

「それが良さそうね。近くには誰も住んでないし、漁師小屋も離れてるから、ここなら誰も来ないでしょう。フジが飛んでるのを見れば、尚更ね」

「今日、ビワ起きるかなぁ?」

「ここでこうして話していても起きないし、お昼まで様子を見てみましょう」

「そうだな。昼になったら起こしてみよう」

「なら、あちし、ここにいるよ」

 あまりにも目を覚さないビワを心配して、レラは寝室に居ると言い、アレナリアは隣の部屋に移り、時折ビワとレラの様子を見に寝室に顔を出す。
 カズは小屋の外に出て、強い海風を防ぐ防風壁を、土属性魔法〈ストーンウォール〉を使い作り、海を渡り島に行くのは、数日先になるとフジに伝えた。

 テクサイス帝国を出てから、今朝が一番冷えた。
 テントや馬車で寝る時ならまだしも、小屋のベッドで寝る時にオーバーコートを着るのは寝辛い。
 かと言って、これから寝間着だけでは寒い。
 そこでオーバーコートに付与してある冷暖房機能を小屋にも付与することにした。
 小屋には鋼鉄化の付与がしてあるが、冷暖房機能くらいなら問題なく付与出来る。
 だがオーバーコートと違い、使用する時の切り替えや、魔力の補給を考えなければならない。
 使用する際の入り切りと、冷暖房の切り替えは、簡単なスイッチを付けるなりすれば良い。
 問題は魔力を溜めておける、蓄電池的な物を作らなくてはならない。
 だが、アイテムボックスで肥しになっていた鉱石類はほぼ無い。
 小石程度の物なら数個残ってるだろうが、それでは魔力を溜めることはできない。

 どうしたものかと、海を眺めて考えていると、遠くの方で水しぶきが上がった。 
 この世界にも鯨はいるのか? と、思ったが、大きなモンスターの可能性もあると考えた。
 もう少し浅瀬の方を泳いでいれば、食べられるのなら倒して食料の確保と同時に、魔核コアを手に入れられるかもと考えたところで、皮を剥いだ化けムジナにも魔核コアある筈だと考えた。
 山脈の奥に住む妖狐族の集落で討伐して回収した化けムジナモンスターなら、レベルからしてそれなりの魔核コアがある筈だと、全ての化けムジナを【アイテムボックス】から出した。
 必ずしも帝都の冒険者ギルドに買い取りに出す必要はない。
 既に皮を剥いで使っているのだから、魔核コアを使用しても問題はない。
 買い取り額は大幅に減るだろうが、帝都の冒険者ギルド本部で依頼を受ければ、四人で暮らすには十分な稼ぎは得られる。
 オリーブ王国に戻るにも、フジでの移動や、空間転移魔法があるので、手持ち金が少なかろうと問題ない。
 少ないと言っても、オリーブ王国とテクサイス帝国の金貨を、現在正確に分からないが? 少なくとも数百枚以上はある筈なので、買い取りに出さなくても問題ない。
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