人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

文字の大きさ
82 / 916
二章 アヴァランチェ編

77 ポピーの特訓 2 魔力切れ と 魔力譲渡

しおりを挟む
 アレナリアの言われた魔力操作を、なんとかクリアして喜んでいたポピーは、次の特訓に移ることになる。

「ポピー、何をそんなに喜んでいるの?」

「サブマス出来ました! 魔力操作で言われた通り、水玉を操りました」

「それじゃあ、見せてもらいましょうか。たまたま出来ただけじゃあ、意味がないからね」

「はい。見ててください」

「ポピー、さっきと同じように、慌てずにやれば大丈夫」

「カズさん。ありがとう」

「ポピー」

「お待たせしました。始めます!」

 ポピーは成功した時と同じように、一回一回を慌てずに、自分の行動を確認しながら、魔力操作を行う。
 ゆっくりではあったが、水玉を出し、それを崩さずに操作することが出来た。

「どうですかサブマス!」

「そうね、時間は掛かったけど、出来たから取りあえずは、良しとしましょう」

「アレナ…サブマス、もうちょっと褒めてあげても、良いんじゃないの?」

「まだ基礎よ。ここで褒めて調子に乗ったら、実戦で死に目に会うわ。そうならない為に、キツイ特訓をしてるんだから。全部ポピーの為よ」

「た、確かに(正論を言われたら、何も言えない)」

「そこまで私のことを、考えてくれたんですね。ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」

「わ、分かったわよ。ただし音を上げたら、もっと厳しくするから、覚悟しなさい」

 嬉しかったらしく、アレナリアは、ちょっと照れている。

「お、お手柔らかに(早まったかしら)」

 ポピーは若干後悔したような、表情している。

「それでポピー、魔力の方は大丈夫そうなの?」

「自分の感じでは、もう少し大丈夫だと思います」

「そう。じゃあ今度は、攻撃魔法の特訓をするから、向こうに移動して」

「はい」

「カズちょっと」(小声)

「何?」(小声)

「ポピーの魔力の残量を、常に見ておいて。倒れずに使用出来る、魔力量の限界を測る為の、特訓でもあるから。本人には、まだ内緒にしてるけどね」(小声)

「分かったけど、アレナリアも確か
アナライズ(分析)が使えるんでしょ? ならステータス見れるはずじゃ?」(小声)

「使えるけど、私はポピーの身体的なとこを見ておきたいのよ。魔法を使った時に、体への負担が、どの程度現れるか気になるしね。だからカズには、魔力量の変化を常に見ていてほしいの」(小声)

「分かったよ。ポピーの残り魔力は、三割程度しか残ってないから、気を付けて」(小声)

「分かったわ。ありがとう」(小声)

「サブマス、今回は、なんの魔法を使えば良いんですか?」

「そうね……カズも居ることだし、以前依頼で使ったって言ってた、ウォーターカッターにしましょう。的の岩を切断してみて」

「あれ(岩)を切断……分かりました。やってみます!」

 的用の岩は、高さ幅共に2mはある。

「フゥー……〈ウォーターカッター〉」

 ポピーは息を整えてから魔法を使い、手から水が勢いよく放出され続けてた。

 その放出されている水を、岩に当て続けているが、水圧が弱く、表面を傷付けてるだけで、切断するには程遠い。
 しかも魔法で水を放出し続けているので、魔力がみるみる減っていく。
 
 ポピー魔力《21/336》

 ポピーの魔力が、そろそろ切れそうなので、アレナリアに合図を送って、魔法を止めてもらう。 
 合図に気付いたアレナリアは、直ぐにポピーに魔法を止めるように指示した。

「そこまでよポピー。そろそろ魔力も切れる頃でしょ」

「わ、私なら大丈夫です」

「自分の魔力量を分かってないと、戦闘で足手まといになるし、場合によっては死ぬわよ。それで、本当にまだ出来そうなの?」

「い、いえ。少しふらつきそうに、なりました」

「魔法主体で戦う私達は、魔力が切れたら、仲間のサポートも出来なくて、自分だけならまだしも、仲間を危険にさらすことになるのよ。だから自分の使用出来る魔力量の限界を、知っておきなさい」

「はい。すいません。ご指導ありがとうございます」

「無茶をしないで、自分に見合った依頼を受けていれば、そうそう命の危険になるようなことは、ないと思うけどね。でも冒険者なんだから、常に危険が直ぐ隣に、あると思ってないと」

「はい。それで、サブマスはどうやって、私の魔力が残り少ないと、分かったんですか?」

「私の場合は、スキルで調べることが出来るから、それで分かったのよ」

「さすがサブマスですね。そういった事の出来ない私はどうしたら?」

「先ずは感覚で、残りの魔力量を感じとることね。これも特訓! まあ手っ取り早いのは、何度も魔力を枯渇させて、倒れれば分かることだけどね。ただし一人これをやると、死ぬわよ」

「そんな怖いことを、一人ではしません! 特訓で死にたくないですから!」

「なら、残りの魔力量を感じとれるまで、毎回特訓で魔力切れる寸前まで、魔力を消費することね。そうすれば自然と、分かる様になるわ」

「それでも、毎回倒れる寸前まで特訓……(やっぱり死んじゃうよ~)」

「ポピー落ち着いて、例え話しだから。取りあえず一回休もうか」

「カズは甘いわね。まぁいいわ。ポピー、少し休憩してなさい」

 回復薬って、魔力も回復したってかな?
 疲労してるみたいだから、ポピーに渡しておくか。
 間違えて以前と同じ物を渡さないで、薄めた回復薬にしないと。

「はいこれ飲んで、少し休憩すると良いよ」

「ありがとうカズさん」

「今度はカズが魔法を使ってみて。ポピーも見て参考にしなさい」

「はい。カズさん、がんばってください」

「参考になるか分からないけど、同じ魔法を使うよ」

 先程ポピーが傷を付けた的の岩に、同じ魔法を放つ。
 前回はやり過ぎたから、今回は的の岩を、切断出来る程度に、威力を押さえて、ゆっくりと切断する。

「では〈ウォーターカッター〉」

 ポピーの時とは違い、手から放たれた細い水は、比べ物にならない勢いのある水圧で、的の岩を縦方向に切断していき、真っ二つにした。
 ゆっくりにしたつもりでも、時間は10秒と掛からなかった。

「これがカズの魔法……」(ボソッ)

「カズさんやっぱり凄い! でもサブマス、これじゃあ参考になりませんよ」

「……」

「サブマス?」

「そ、そんなことないわ。自分と何が違うか、考えることだけでも、参考になるものよ。そこでもう少し休憩しながら、考えてなさい」

「はい」

「次の的を用意するから、カズ手伝ってちょうだい」

「分かりました。ポピーは言われた通り、休んで待ってて」

「は~い」

 俺とアレナリアは、ポピーから離れた場所に移動した。
 するとアレナリアが、ポピーに聞こえないように、小声で話してきた。

「ねぇカズ」(小声)

「何?」(小声)

「私に魔法を習えば、カズと同じくらいの魔法が使えるって、ポピーに言ったわよね」(小声)

「……そんなことあったよ~な……」(小声)

「しらばくれないで!」

「声が大きいよ。あの時はつい誤魔化す為に……ごめん」(小声)

「ハァーどうしましょう」(小声)

「まだ習い始めたばかりだから、取りあえず、あの的にしてる岩の、半分ぐらい厚さを、切断出来るのを目標にしたら」(小声)

「そ、そうね。取りあえずそうしましょう」(小声)

「何をしたって、人それぞれ違うから」(小声)

「この借りは、今夜も一緒に寝ることで良いわよ」(小声)

「えぇー」

「カズ、声が大きいわ。それに一緒に寝るの嫌なの? 誤魔化す為に、私に押し付けたのに」(小声)

「うぐっ……わ、分かりました」(小声)

 その場しのぎに、アレナリアの名前を出して誤魔化したツケが、ここで回ってきてしまった。
 やはり知らない相手と、パーティーを組むのは、しんどい。
 なので、これからも一人で依頼をしていこうと思った。

 この後もポピーの特訓に付き合い続け、特訓を終える頃には、夕方になっていた。
 結局今日の特訓は、魔力操作を重点的にしていった。
 ポピーは何度も、自分の魔力量を見極めようと、魔力切れをおこし倒れていた。
 その度にアレナリアが【魔力譲渡】をして、魔力の回復をしてあげていた。
 魔力譲渡は、お互いの魔力適性や、魔法属性の相性が良くないと、譲渡率が悪く、あまり使うことはないと言う。
 アレナリアとポピーは、どちらも水魔法の適性が有り、しかも得意とするので、譲渡率は良いらしい。

 今日の特訓を終了したので、帰りがけに回復薬をポピーにあげた。
 俺とアレナリアは、ギルドには戻らず、そのまま家に帰る事にした。

「ふぅ~、やっと家に帰って来たわ」

「ふぅ~って、アレナリア殆ど動いて無かったと思うけど」

「魔力譲渡は疲れるのよ。自分の魔力を、相手に渡しちゃうんだから」

「魔力譲渡なんて、初めて知ったよ」

「使える相手が限られてるし、魔力量が渡す相手より多くないと、意味無いからね。上手くいかないと、魔力の無駄遣いだから、訓練とかじゃなければ、やらないのよ」

「へぇー! そうなんだ」

「カズもそろそろ依頼を受けなくちゃ。暫くの間は、ポピーの特訓もお休みだしね」

「何かあるの?」

「五日後には、収穫祭の前夜祭が始まるから、人が増えて忙しくなるのよ」

「収穫祭! そう言えば、そんなことがあるって聞いたな」

「アヴァランチェ以外の都市や、街に村からも人が集まるから、揉め事も増えるし、面倒な依頼も来るのよ。しかも今回は、盗賊が潜伏してる可能性があるから、とても厄介だわ」

「サブマスは大変だね」

「そうよ! しかもギルマスが、さぼり癖のあるあれ(ロウカスク)だから。昨日の書類も、収穫祭に関する物ばかりだったしね」

「ロウカスクさんには、しっかり働いてもらわないと」

「いざとなったら、ギルドの職員全員で、ロウカスクを縛り上げてでも、働かせるわよ! そうすれば収穫祭を、カズと回れる時間が取れるわ」

「んっ?」

「嫌なの?」

「嫌じゃないけど、アレナリア大丈夫? 凄い人が多いんでしょ」

「大丈夫よ……多分。それより夕食を食べたら、お風呂に入って……ムフフッ」

「……」

 残ってる材料で夕食を作り食べて、その後湯船にお湯を入れ、お風呂に入ったら、またアレナリアの部屋で、一緒に寝ることに……
 いつか一線を越えてしまいそうな、自分が怖い。
 アレナリアは好意をよせてくれているけど、俺はまだ……
 念の為に、お互いに何もしないと、今回もしっかり約束をした。
 アレナリアは俺がまた、抱き枕と間違えて、抱き付くと思ってるらしいが、そう毎回抱き付きはしない……と思う。
しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

不遇な死を迎えた召喚勇者、二度目の人生では魔王退治をスルーして、元の世界で気ままに生きる

六志麻あさ
ファンタジー
異世界に召喚され、魔王を倒して世界を救った少年、夏瀬彼方(なつせ・かなた)。 強大な力を持つ彼方を恐れた異世界の人々は、彼を追い立てる。彼方は不遇のうちに数十年を過ごし、老人となって死のうとしていた。 死の直前、現れた女神によって、彼方は二度目の人生を与えられる。異世界で得たチートはそのままに、現実世界の高校生として人生をやり直す彼方。 再び魔王に襲われる異世界を見捨て、彼方は勇者としてのチート能力を存分に使い、快適な生活を始める──。 ※小説家になろうからの転載です。なろう版の方が先行しています。 ※HOTランキング最高4位まで上がりました。ありがとうございます!

35年ローンと共に異世界転生! スキル『マイホーム』で快適5LDK引きこもり生活 ~数学教師、合気道と三節根で異世界を論破する~

月神世一
ファンタジー
紹介文 「結婚しよう。白い壁の素敵なお家が欲しいな♡」 そう言われて35年ローンで新築一戸建て(5LDK)を買った直後、俺、加藤真守(25歳)は婚約者に捨てられた。 失意の中、猫を助けてトラックに轢かれ、気づけばジャージ姿の女神ルチアナに異世界へと放り出されていた。 ​「あげるのは『言語理解』と『マイホーム』でーす」 ​手に入れたのは、ローン残高ごと召喚できる最強の現代住宅。 電気・ガス・水道完備。お風呂は全自動、リビングは床暖房。 さらには貯めたポイントで、地球の「赤マル」から「最新家電」までお取り寄せ!? ​森で拾った純情な狩人の美少女に胃袋を掴まれ、 罠にかかったポンコツ天使(自称聖騎士)が居候し、 競馬好きの魔族公爵がビールを飲みにやってくる。 ​これは、借金まみれの数学教師が、三節根と計算能力を武器に、快適なマイホームを守り抜く物語。 ……頼むから、家の壁で爪を研ぐのはやめてくれ!

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

処理中です...