人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ

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二章 アヴァランチェ編

78 北の山脈にある森へ

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 ◇◆◇◆◇

 収穫祭の前日まであと四日


 手触りが良くて……これは気持ちいぃ……何か抱いてると、なんだか安心する…なぁ……

「んぁ……もうカズったら……明るくなるまで、まだ時間があるから、起こさないであげる。幸せ」(小声)


 翌朝目が覚めると、昨夜自分が言っていたことに、自信がもてなくなった。
 またアレナリアを、抱き枕代わりにしていた。

「おはようカズ。何もしないんじゃあ、なかったの?」

 ……またやってしまった!

「ごめんアレナリア」

「しょうがないわねぇ!(分かってたことだけどね。フフッ)」

「この癖直さないと(さすがに色々と危ない)」

「この分なら、あと一回か二回、一緒に寝れば、カズもその気になるかしら。そろそろ私と……ムフフッ」(ボソッ)

「暫く離れた方がいいかも……」(ボソッ)

「えっ?」

「えっ?」

「アレナリア何か言った?」

「カズこそ」

 お互いに思いを巡らせながら、何事もなく、今日も一緒にギルドへ出掛けた。

「久々に俺は、何か依頼を受けるよ。ここ数日ろくに依頼をやってなかったから」

「そうね。これから依頼が増えて、条件の良いのは、直ぐに無くなるから、今のうちから、ちょくちょくと、依頼書を確認しておいた方が良いわね」

「遠出になっても、食事はしっかり食べなよ」

「一人になっちゃうから、そんな依頼は、受けてほしくないわ」

「そんなに長く間出掛ける依頼を、受けないようにするからさ。二日か三日ぐらいなら良いでしょ」

「み、三日も! だ、大丈夫よ。そのくらい一人で……(そうそうないわよねそんな依頼)」

 話しながら歩いてる内に、ギルドの近くまでやって来た。
 そしてギルドの入口で、アレナリアと別れて、俺は依頼書を貼ってある掲示板に、アレナリアはギルマスの部屋に、仕事をするように問い詰めに行った。

 依頼書が貼ってある掲示板を見ると、いつもの倍以上の依頼書が貼ってある。
 ざっと見ると、収穫祭中に商店の手伝いや、加工工場の作業に、大きい商店を営んでる店主や、店の護衛等が多い。
 中には条件付で、貴族の護衛もある。
 俺は面倒なのは嫌いなので、他の依頼を探す。
 すると都市外に行く、討伐と素材調達の依頼があったので、その依頼書を詳しく見てみる。


ーーーーーーーーーー


・Cランク
 北の山脈。
 スノーベアの討伐と素材調達。
 スノーベアを討伐して、その毛皮と、新鮮な状態の肉や内臓を調達(現地で解体、もしくは持ち帰るまでの、下処理が出来る者)
 前夜祭の前日まで。
 パーティー三組まで(ソロでも可)
 最低金貨五枚以上(毛皮と肉が揃って)ただし持ち込んだ素材の状態で変わる。

・Cランク
 北の山脈。
 氷結花の採取。
 雪山に希に咲く氷結花の採取。
 人数制限無し。
 日時制限無し。
 氷漬けにした状態の花で金貨二枚。


ーーーーーーーーーー


 場所は同じで北の山脈かぁ。
 防寒着はあるから、この依頼を受けよう。
 更に詳しくは受付で、ルグルさんに聞くことにするか。

 依頼書を持って、依頼専門受付に行く。

「おはようルグルさん」

「カズさん。おはようございます。そう言えば最近、あんまり依頼を受けてませんでしたね」

「まあ、色々ありましたから」

「あー……そうですね。それで久々の依頼は、何を受けられますか?」

「この二件の依頼内容を、聞かせてください」

「え~っと、どちらも、北の山脈での依頼ですね。スノーベアは、東門から出て、北へ続く細い山道を登って行くと、山の中腹辺りに広がる、森の中に生息していると思われます。冬眠前になる今頃は、山の麓まで食料を求めて下りて来て、街道を通る人を襲うことがあります」

「そんなに危険なんですか?」

「元々危険な生き物ですが、冬眠前の今頃は、更に狂暴になりますね。毛皮は貴重ですが、肉の方は硬く、食べるには向いていないです」

「じゃあ、肉や内臓はどうするですか?」

「この辺りでは、薬に使われる材料になりますので、需要はあります」

「なるほど。それでもう一件の依頼は?」

「こちらは、殆ど運に近い依頼です」

「運ですか?」

「咲く場所も時間も不明で、ただ寒い雪山に咲くとだけ言われています」

「何に使われるんですか?」

「申し訳ありません。私は詳しく知らないんです。お急ぎなら、直ぐに調べますが」

「大丈夫です。ちょっと気になっただけですから」

「お役に立てなくて、すいません」

「いえいえ」

「それで依頼の方は?」

「両方受けますので、お願いします」

「はい。では依頼書をお持ちください。それでは、お気をつけて」

「はい。ありがとうございます」

 ルグルと別れ、受付に居るスカレッタの所へ行った。

「カズさんおはようございます。今日はどうされましたか?」

「アレナリアに、言伝をお願いします」(小声)

「サブマスにですか?」(小声)

「ええ。依頼で二日、三日は帰れないと」

「資料室へ行って、直接言ったらどうですか?」

「仕事が忙しくと言っていたもので、邪魔しちゃ悪いと思いまして」

「カズさんなら、怒らないと思いますけど。それに数日も空けたら、そっちの方が怒れませんか?」

「こうやって言伝を残したので、大丈夫だと思いますけど」

「伝言は構いませんが、後々怒られても、私は知りませんよ」

「スカレッタさん、怖いこと言わないでくださいよ」

「伝言は伝えておきますが、後は知りませよ」

「依頼によっては、二日か三日戻れないと言っておきましたから、今回は大丈夫だと思います。それじゃあ、依頼に行ってきますので、伝言をよろしくお願いします」

 スカレッタさんに伝言を頼んで、ギルドを出て東門へと向かった。
 特に急いでいた訳ではないので、東門を出たのは、昼過ぎになった頃だった。
 街道を進み、北の山脈方向へ続く、細い山道を歩いて行く。
 山道を登って来ている為に、人気は全く無く、気温が低くなってきている為に、生き物も見あたらない。
 俺自身も寒くなってので、以前に買った防寒着を着てから、更に山道を登って行く。

 【マップ】の範囲を広げて生き物を探すが、山を登り始めたばかりだからか、生き物の反応は無い。
 街道の方から、こちらに来る人の反応もないので、同じ依頼を受けて来ている冒険者は、居ないと思われる。
 スノーベアに関する知識も無いので、水晶採掘の時に使った、サーチの魔法は意味をなさないと思う。
 名前からして『白熊』を連想してしまうが、実際の姿は分からない。
 スノーベアの写真は無いにしろ、絵でもあれば良かったのだが、今言っても遅い。
 もう少し情報を集めてから、来れば良かったと少し後悔した。

 少し先を見ると、山中に広がる森らしき場所が見えてきた。
 辺りには雪が積もっている所もあり、気温が更に下がったのが分かる。
 今日は日が暮れる前に、休める場所を探すことにしたが、山道を登ってくる間には特になかったし、この先は森の為に、木しかない。
 仕方ないので、少し開けた場所で、土魔法〈アースウォール〉を使い、土のかまくらを作った。
 試しに想像してアーチ状の壁を作ってみたが、上手くいったようだ。
 
 暗くなる前に、燃やせる枯枝を拾い集めて、焚き火をしてから、食事にする。
 【アイテムボックス】から、今まで作り貯めした物を出し食事をすませる。

 焚き火で温まり、お腹も膨れたら、ふと思い出した。
 アレナリアは、ちゃんと食べてるだろうか?
 また空腹で、倒れたりしてなければいいんだけど。
 子供じゃないんだから、大丈夫だよな……。
 なんか心配になってきた。
 いや、俺が居なかったら、スカレッタさん達に、頼れば良いんだよ。
 最近甘やかしてばかりだからな、俺が居なくても、人付き合いが出来るようになる為の、練習だと思えば。
 アレナリアが、それに気付けば良いんだけど……大丈夫だろうか?
 焚き火を見ながら考えていても仕方がない、温まったら毛布に包るまって寝よう。
 その前に、火事にならないように、焚き火を直ぐに消えない程度の、小さな火にしておく。

 こうして討伐と素材調達依頼の、一日目が過ぎた。


 ◇◆◇◆◇

 収穫祭の前日まであと三日


 朝に目が覚めると、焚き火が消えて気温はかなり低く寒い。
 水晶採掘に言った時に【冷寒】耐性が付いたので、この程度では凍死することはないが、寒いことに変わりはない。
 直ぐに枯枝に火を付けて、食事にして、体の内と外から温める。

 今日は取りあえず【マップ】を駆使して、目的の『スノーベア』を探し回ることにする。
 今現在では森の中数ヶ所に、獣とモンスターの反応があるので、居るのは分かる。
 だが個体名までは分からないので、行って確かめてみようと思う。
 『氷結花』は運が良くないと、見つからないと言っていたので、あまり期待はしていない。
 見つかればラッキーだろうと、ついでに受けた依頼だ。
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