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1 メリル・アクアオッジは末っ子
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このお話は
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
の次作です。単品でもお楽しみいただけますが、両方読むと更にお楽しみいただけます。
◇ ◇ ◇
メリル・アクアオッジは北の辺境伯の末っ子として生まれた。
かつてのアクアオッジ領は領土面積こそ広大だったが、豊かな土地とは言い難かった。
だが今のアクアオッジは寒い土地ながらも美味しい食べ物で有名になりつつある。近隣諸国からもわざわざ観光で人々が訪れるほどになっていた。
けれどまだまだ面倒な土地をひとまとめにして厄介払いしたような領土を、アクアオッジ辺境伯が頑張って治めている。
平らな土地が少ない・山が多い・海に面した土地は漁獲量が増えてきた・人がまだまだ少ない・魔物の森と面しちゃってる・魔王の国と面しちゃってる・勇者に目を付けられている(New!)・国土の北部なので寒い・王都からちょっぴり遠い, etc.…
人のいい領主であるメリルの父は、自領の民の税金を未だに低く抑えていた。
隠居したアーサーの祖父母から辺境伯の地位を受け継いで十年。税収は据え置きだった。
もうちょっと高くても、多分誰も文句を言わない。
隣接する他の領の税金を考えてもアクアオッジの税金は圧倒的に安い。
もう一つ特筆すべきは子供の数だろう。なんせ七人もいる。妻も頑張った。
おかげですごく貧乏だったけど、みんなの頑張りでどんどん豊かになり常に賑やかで皆大らかな家族。
父自らが施す教育の成果で、メリルは思いやりがあって気遣いが出来る末っ子としてすくすくと育った。
これは、魔物の森と隣り合わせの土地で育った、辺境伯家の末っ子双子の片われメリルが、しょぼしょぼ【魔法スキル?】を抱えて、地に足をつけて生きていく物語である。
さて、この国の話を少しだけしよう。
この国はラザナキア王国という。
川に囲まれた美しい王都を持つこの国は、周囲の列国の中でも異彩を放っている。
一柱たる女神ユニティと四大精霊たる地・水・風・火、それぞれの精霊王が興した国なのである。
ラザナキア国民には【スキルツリー】という女神の加護が与えられる。
十歳を超えてスキルが発動した国民は、教会に行ってお金を払うと【スキルツリー】の鑑定をしてもらえる。
ただ、スキルツリーの鑑定をしてもらうのにはお布施が必要だった。
しかも銀貨七枚もする。十年前のアーサーの時代は五枚だったが値上がりしていた。世知辛い。
銀貨四枚がだいたい執事長であるセバスチャンの一日分の給与相当である。長男アーサーの時代と比べるとお給料は四倍に上がっていた。
執事一人しかいないけれど、執事長。先代辺境伯の時代から勤めているベテランである。
裕福になったんだから執事をもっと増やせばいいんじゃないかって?
セバスチャンのお眼鏡にかなう人物がいないんである。
アクアオッジ家門への忠誠心というのが第一の関門で、第二の関門は口が堅いこと。
第三の関門は頭の良さ。
そして第四の関門は子育てをも厭わないこと……とここまで来ると誰一人として関門を通過出来なかった。
そう、アクアオッジ一家の子供たちはみな多かれ少なかれセバスチャンに面倒を見てもらいすくすくと育っていた。彼は執事長兼三人目の親なのだった。
そんなセバスチャンの最近の口癖は「(一刻も早く)引き継げる後継者を育てたい」
それはいずれメリルが解決するだろう。
ちょっと不穏なタグ付きの執事ではあるけれど。
メリルが十歳になったとき、両親から鑑定代をもらったが、欲しいものがあったのでこっそりと懐にしまった。欲しい物があれば申告すれば買ってもらえたけれど、お小遣いはもらったことがなかったからだ。
馬車をちょっと走らせたら到着する距離に大きな街が出来ていて、そこには昔からの顔なじみである商人たちの商会があったりする。
髪の毛が結構寂しくなっちゃった商人が代表者で、アクアオッジ家に来る機会は減っていたけれど、街に行って顔を見せるといつも歓迎してくれて、お菓子も出してくれるので、メリルは商会が大好きだ。
父と母は教会でスキルを鑑定してもらっている。
【スキルツリー】というだけあって、一つのスキルから【派生スキル】としていくつも増えて枝分かれしていく。教会にある鑑定器だと大元のツリースキルしか鑑定出来ないので、どんなスキルかさっぱりなことも多い。
父のスキルなんてその最たるものだろう。
ちなみにこの【スキルツリー】は本人たちには見えないし、分からない。
【鑑定スキル】を持った人には派生まで見えるらしいけれど。貴重なスキルらしく、持っている人は滅多にいない。
そういえば、とうとう長男アーサーのスキルが判明したのだ。
【交流スキル】
産出物と他の弟妹のスキルのおかげで、アクアオッジ領と辺境伯一家はとても裕福になっていて、ようやく鑑定したからだった。
良かったね。アーサー。
けれど何だか馴染んでいた【動物スキル?】じゃなくなってちょっぴりおセンチになっちゃうね。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
の次作です。単品でもお楽しみいただけますが、両方読むと更にお楽しみいただけます。
◇ ◇ ◇
メリル・アクアオッジは北の辺境伯の末っ子として生まれた。
かつてのアクアオッジ領は領土面積こそ広大だったが、豊かな土地とは言い難かった。
だが今のアクアオッジは寒い土地ながらも美味しい食べ物で有名になりつつある。近隣諸国からもわざわざ観光で人々が訪れるほどになっていた。
けれどまだまだ面倒な土地をひとまとめにして厄介払いしたような領土を、アクアオッジ辺境伯が頑張って治めている。
平らな土地が少ない・山が多い・海に面した土地は漁獲量が増えてきた・人がまだまだ少ない・魔物の森と面しちゃってる・魔王の国と面しちゃってる・勇者に目を付けられている(New!)・国土の北部なので寒い・王都からちょっぴり遠い, etc.…
人のいい領主であるメリルの父は、自領の民の税金を未だに低く抑えていた。
隠居したアーサーの祖父母から辺境伯の地位を受け継いで十年。税収は据え置きだった。
もうちょっと高くても、多分誰も文句を言わない。
隣接する他の領の税金を考えてもアクアオッジの税金は圧倒的に安い。
もう一つ特筆すべきは子供の数だろう。なんせ七人もいる。妻も頑張った。
おかげですごく貧乏だったけど、みんなの頑張りでどんどん豊かになり常に賑やかで皆大らかな家族。
父自らが施す教育の成果で、メリルは思いやりがあって気遣いが出来る末っ子としてすくすくと育った。
これは、魔物の森と隣り合わせの土地で育った、辺境伯家の末っ子双子の片われメリルが、しょぼしょぼ【魔法スキル?】を抱えて、地に足をつけて生きていく物語である。
さて、この国の話を少しだけしよう。
この国はラザナキア王国という。
川に囲まれた美しい王都を持つこの国は、周囲の列国の中でも異彩を放っている。
一柱たる女神ユニティと四大精霊たる地・水・風・火、それぞれの精霊王が興した国なのである。
ラザナキア国民には【スキルツリー】という女神の加護が与えられる。
十歳を超えてスキルが発動した国民は、教会に行ってお金を払うと【スキルツリー】の鑑定をしてもらえる。
ただ、スキルツリーの鑑定をしてもらうのにはお布施が必要だった。
しかも銀貨七枚もする。十年前のアーサーの時代は五枚だったが値上がりしていた。世知辛い。
銀貨四枚がだいたい執事長であるセバスチャンの一日分の給与相当である。長男アーサーの時代と比べるとお給料は四倍に上がっていた。
執事一人しかいないけれど、執事長。先代辺境伯の時代から勤めているベテランである。
裕福になったんだから執事をもっと増やせばいいんじゃないかって?
セバスチャンのお眼鏡にかなう人物がいないんである。
アクアオッジ家門への忠誠心というのが第一の関門で、第二の関門は口が堅いこと。
第三の関門は頭の良さ。
そして第四の関門は子育てをも厭わないこと……とここまで来ると誰一人として関門を通過出来なかった。
そう、アクアオッジ一家の子供たちはみな多かれ少なかれセバスチャンに面倒を見てもらいすくすくと育っていた。彼は執事長兼三人目の親なのだった。
そんなセバスチャンの最近の口癖は「(一刻も早く)引き継げる後継者を育てたい」
それはいずれメリルが解決するだろう。
ちょっと不穏なタグ付きの執事ではあるけれど。
メリルが十歳になったとき、両親から鑑定代をもらったが、欲しいものがあったのでこっそりと懐にしまった。欲しい物があれば申告すれば買ってもらえたけれど、お小遣いはもらったことがなかったからだ。
馬車をちょっと走らせたら到着する距離に大きな街が出来ていて、そこには昔からの顔なじみである商人たちの商会があったりする。
髪の毛が結構寂しくなっちゃった商人が代表者で、アクアオッジ家に来る機会は減っていたけれど、街に行って顔を見せるといつも歓迎してくれて、お菓子も出してくれるので、メリルは商会が大好きだ。
父と母は教会でスキルを鑑定してもらっている。
【スキルツリー】というだけあって、一つのスキルから【派生スキル】としていくつも増えて枝分かれしていく。教会にある鑑定器だと大元のツリースキルしか鑑定出来ないので、どんなスキルかさっぱりなことも多い。
父のスキルなんてその最たるものだろう。
ちなみにこの【スキルツリー】は本人たちには見えないし、分からない。
【鑑定スキル】を持った人には派生まで見えるらしいけれど。貴重なスキルらしく、持っている人は滅多にいない。
そういえば、とうとう長男アーサーのスキルが判明したのだ。
【交流スキル】
産出物と他の弟妹のスキルのおかげで、アクアオッジ領と辺境伯一家はとても裕福になっていて、ようやく鑑定したからだった。
良かったね。アーサー。
けれど何だか馴染んでいた【動物スキル?】じゃなくなってちょっぴりおセンチになっちゃうね。
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