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123. 干しブドウとワインに糖蜜
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樹海の神秘……
冒険はちょっと楽しみだけど……でもそれって、もしかして秘密なんじゃないのかな?
「パール、これは秘密ですよ」
やっぱり!
知らない方がよさそうなことを知ってしまった!
「まあ、気にすんな! おまえの秘密も知ってるんだから、おあいこだよなっ!」
なにが、おあいこなのか?
このガントのお気楽なところにはあきれるけど……
ここは乗っておこう……
「だよねっ! おあいこだよ! 全部、なかったことにしよーね!」
「それは、できませんよ」
くーっ、ソードは厳しい!
「パール、ガントの真似はいけません。そんなに心配しなくても大丈夫ですから。コウジュやあの集落の人たちも知っていることですし、何にでも協力者は必要です」
「パール、何を心配していたんだ? おれたちはパールの味方だぞ? もう少し信用して頼ってくれてもいいんだからな」
ガントが言ってくれる……
フーッ、少し力を抜こう……
「ありがとう、ガント」
「おれも味方だ。ソードもだ……」
「……はい、そうですよ」
みんなの温かい言葉にお礼を告げる。
それからも馬車の旅は順調に続く。
次の宿屋には予定より早く着いた。
普通は休憩をこまめに入れるからもっと遅いようだけど、わたしたちの馬車はお昼をゆったり食べてもだいぶ普通の馬車より早い。
おやつの時間にも、まだなっていなかった。
今日の宿屋は国境の宿屋のような圧迫感はあまり感じない、でもやっぱり大きな宿屋だ。
中も広いし、いらないものは置いてない。
寂しく感じてしまいそうなところに、彫刻が施された柱があったりして、うまくできているのかな?
今回は昼食を食べているので、そのままソードに部屋のカギをもらい、これから自由時間になる。
明日は馬車の前に六時集合だ。
まずは、二階の部屋へ行ってみる。
部屋は国境の宿屋と同じ雰囲気だった。
広いし、よい部屋だ。
お風呂もキレイ。
ここは彫刻が多いな……
部屋にも所々、ブドウの彫刻が入っている。
下のロビーにもブドウの葉や果実の彫刻があったから、やっぱりコウジュが教えてくれたようにここは、ブドウが特産品なのか?
一通り部屋もみた。
まだ時間はたっぷりある。
次は売店に手提げの布袋を昨日と同じように持って買い物へ行く。
一階の売店には、ジャムなどの瓶とワインが並んでいた。
あ~っ、ジャムはもういいよね……
ワインは、まだ飲めないし……
ブドウ果汁の煮詰めた瓶? があったから、これぐらいかな。
あっ、干しブドウだ!
細い籐で編んだ大きなカゴの中に、山盛り入っている。
これは買いかな……
「いらしゃい、今日着いたのか? ジャムお土産にどうだ? 少しならまけるよっ!」
ほーっ、今回は男の子か? 歳もわたしと同じぐらいじゃないかな? かけ引きは……もう無しで。
「ジャムはあるから、干しブドウがいいかな?」
「おお、ありがとう! この木の器一杯で、銅貨五枚だけど三杯なら銀貨一枚と銅貨二枚にまけるぞ! もし他も買ってくれるなら銀貨一枚までまけれるけどどうする?」
「えっ、三杯で銀貨一枚になるの?」
「ああ、もっと買ってくれたらなっ!」
干しブドウの味見をさせてもらい、すごくおいしかったので、まずは六杯で銀貨二枚になるか聞く。
大丈夫みたいだ。
それとワインは飲めないけど、一応どんなワインなのか聞いてみた。
「このワインは、うまいらしいぞ! オレもまだ飲ませてもらってないけど、一度買っていったお客さんは、また買う人が多いんだ!」
「そうなんだ? あなた、なん歳なの? まだワインは飲めない歳でしょ?」
「えへへっ、最近九歳になったけどワインぐらいバレなきゃいいだろう?」
「ダメ! わたしのひとつ下ね! コウジュと同じ歳じゃない……」
「あれ、コウジュを知っているのか? ピアンタから来たんだな。 ならジャムはいらないな」
そう言って、ブドウの果汁を煮詰めた瓶とワインをだしてきた。
この二つと干しブドウは特別なブドウ畑から採れたモノで、他では買えないから貴重なのだと説明する。
んっ、もしかして……
「ねえ、このワイン。国境の宿屋の料理にも使われている?」
「ああ、もしかしてあのシチューを食べたのか! アレはおいしいよな!」
やっぱり! あーっ、これでトムさんにも作ってもらえる……
「買う。このワイン、いくつぐらいまでなら売ってくれる?」
「いっぱい買ってくれるのか? じゃあ、まずここの一ケース大丈夫か? ワインは一本銀貨三枚、ブドウの果実を煮詰めた糖蜜。これは銀貨一枚するぞ?」
そこそこするのね?
でも、買いだよ!
「あんがいするんだね? でもワインは一ケースとブドウの果汁を煮詰めたこれ、糖蜜なんだ。じゃあこれを十個、それと干しブドウを12杯買うよ。これでちょうど大銀貨五枚になるよね」
「うわっ、ありがとう! まだ裏のブドウ畑の家に行ったらいっぱいワインがあるけど、もっと買うか?」
「そうだね、売ってくれるなら買うけど……無理はしないで?」
大銀貨五枚を支払う。
干しブドウはたくさん買ってくれたおまけだと言って、何かの葉で作った袋に小分けで十五杯も入れてくれた。
やったー!
ワインとブドウ果汁を煮詰めた糖蜜も一度、二階の部屋へ運ぶ。
手伝ってくれるようで、ワインケースを持ってくれようとする。
自分で全部持てるけど、親切心から言ってくれているし部屋まで二人で運ぶ。
そしてそのまま裏のブドウ畑の家へ、一緒に行くことが決まっていた……
なぜだ?
話し上手なコウジュのときと同じで、名前も教え合いそのまま呼び合うことになっている……
名前はカベルネ。
すぐ裏と言っていたブドウ畑は、やっぱり歩いて十分ぐらいかかる。
「キレイなところだね」
「いいところだろ! それに最近いろいろ手伝えるようになってきて、仕事も楽しいんだ! きっとコウジュもそうだと思うぞ」
そうか、だから二人ともいっぱい売って家族の人にほめて認められたくて、わたしを家まで連れて行くんだな……
家には売っているブドウの果汁を煮詰めた糖蜜の他にも糖蜜があるそうで、毎日スプーンに一杯は自然と食べているそうだ。
「これを食べたら元気になるから食べろと、ばあちゃんがうるさく言うから、きっとからだに良いモノだと思うぞ」
カベルネのおばあさんが中心になって、お年寄りたちで 一、二日かけて煮詰めて作っているから、糖蜜をワインやジャムよりも売ってくるように言われているみたいだった。
よし、家族の人たちにカベルネがほめてもらえるよう。
いっぱい、買ってあげよう!
冒険はちょっと楽しみだけど……でもそれって、もしかして秘密なんじゃないのかな?
「パール、これは秘密ですよ」
やっぱり!
知らない方がよさそうなことを知ってしまった!
「まあ、気にすんな! おまえの秘密も知ってるんだから、おあいこだよなっ!」
なにが、おあいこなのか?
このガントのお気楽なところにはあきれるけど……
ここは乗っておこう……
「だよねっ! おあいこだよ! 全部、なかったことにしよーね!」
「それは、できませんよ」
くーっ、ソードは厳しい!
「パール、ガントの真似はいけません。そんなに心配しなくても大丈夫ですから。コウジュやあの集落の人たちも知っていることですし、何にでも協力者は必要です」
「パール、何を心配していたんだ? おれたちはパールの味方だぞ? もう少し信用して頼ってくれてもいいんだからな」
ガントが言ってくれる……
フーッ、少し力を抜こう……
「ありがとう、ガント」
「おれも味方だ。ソードもだ……」
「……はい、そうですよ」
みんなの温かい言葉にお礼を告げる。
それからも馬車の旅は順調に続く。
次の宿屋には予定より早く着いた。
普通は休憩をこまめに入れるからもっと遅いようだけど、わたしたちの馬車はお昼をゆったり食べてもだいぶ普通の馬車より早い。
おやつの時間にも、まだなっていなかった。
今日の宿屋は国境の宿屋のような圧迫感はあまり感じない、でもやっぱり大きな宿屋だ。
中も広いし、いらないものは置いてない。
寂しく感じてしまいそうなところに、彫刻が施された柱があったりして、うまくできているのかな?
今回は昼食を食べているので、そのままソードに部屋のカギをもらい、これから自由時間になる。
明日は馬車の前に六時集合だ。
まずは、二階の部屋へ行ってみる。
部屋は国境の宿屋と同じ雰囲気だった。
広いし、よい部屋だ。
お風呂もキレイ。
ここは彫刻が多いな……
部屋にも所々、ブドウの彫刻が入っている。
下のロビーにもブドウの葉や果実の彫刻があったから、やっぱりコウジュが教えてくれたようにここは、ブドウが特産品なのか?
一通り部屋もみた。
まだ時間はたっぷりある。
次は売店に手提げの布袋を昨日と同じように持って買い物へ行く。
一階の売店には、ジャムなどの瓶とワインが並んでいた。
あ~っ、ジャムはもういいよね……
ワインは、まだ飲めないし……
ブドウ果汁の煮詰めた瓶? があったから、これぐらいかな。
あっ、干しブドウだ!
細い籐で編んだ大きなカゴの中に、山盛り入っている。
これは買いかな……
「いらしゃい、今日着いたのか? ジャムお土産にどうだ? 少しならまけるよっ!」
ほーっ、今回は男の子か? 歳もわたしと同じぐらいじゃないかな? かけ引きは……もう無しで。
「ジャムはあるから、干しブドウがいいかな?」
「おお、ありがとう! この木の器一杯で、銅貨五枚だけど三杯なら銀貨一枚と銅貨二枚にまけるぞ! もし他も買ってくれるなら銀貨一枚までまけれるけどどうする?」
「えっ、三杯で銀貨一枚になるの?」
「ああ、もっと買ってくれたらなっ!」
干しブドウの味見をさせてもらい、すごくおいしかったので、まずは六杯で銀貨二枚になるか聞く。
大丈夫みたいだ。
それとワインは飲めないけど、一応どんなワインなのか聞いてみた。
「このワインは、うまいらしいぞ! オレもまだ飲ませてもらってないけど、一度買っていったお客さんは、また買う人が多いんだ!」
「そうなんだ? あなた、なん歳なの? まだワインは飲めない歳でしょ?」
「えへへっ、最近九歳になったけどワインぐらいバレなきゃいいだろう?」
「ダメ! わたしのひとつ下ね! コウジュと同じ歳じゃない……」
「あれ、コウジュを知っているのか? ピアンタから来たんだな。 ならジャムはいらないな」
そう言って、ブドウの果汁を煮詰めた瓶とワインをだしてきた。
この二つと干しブドウは特別なブドウ畑から採れたモノで、他では買えないから貴重なのだと説明する。
んっ、もしかして……
「ねえ、このワイン。国境の宿屋の料理にも使われている?」
「ああ、もしかしてあのシチューを食べたのか! アレはおいしいよな!」
やっぱり! あーっ、これでトムさんにも作ってもらえる……
「買う。このワイン、いくつぐらいまでなら売ってくれる?」
「いっぱい買ってくれるのか? じゃあ、まずここの一ケース大丈夫か? ワインは一本銀貨三枚、ブドウの果実を煮詰めた糖蜜。これは銀貨一枚するぞ?」
そこそこするのね?
でも、買いだよ!
「あんがいするんだね? でもワインは一ケースとブドウの果汁を煮詰めたこれ、糖蜜なんだ。じゃあこれを十個、それと干しブドウを12杯買うよ。これでちょうど大銀貨五枚になるよね」
「うわっ、ありがとう! まだ裏のブドウ畑の家に行ったらいっぱいワインがあるけど、もっと買うか?」
「そうだね、売ってくれるなら買うけど……無理はしないで?」
大銀貨五枚を支払う。
干しブドウはたくさん買ってくれたおまけだと言って、何かの葉で作った袋に小分けで十五杯も入れてくれた。
やったー!
ワインとブドウ果汁を煮詰めた糖蜜も一度、二階の部屋へ運ぶ。
手伝ってくれるようで、ワインケースを持ってくれようとする。
自分で全部持てるけど、親切心から言ってくれているし部屋まで二人で運ぶ。
そしてそのまま裏のブドウ畑の家へ、一緒に行くことが決まっていた……
なぜだ?
話し上手なコウジュのときと同じで、名前も教え合いそのまま呼び合うことになっている……
名前はカベルネ。
すぐ裏と言っていたブドウ畑は、やっぱり歩いて十分ぐらいかかる。
「キレイなところだね」
「いいところだろ! それに最近いろいろ手伝えるようになってきて、仕事も楽しいんだ! きっとコウジュもそうだと思うぞ」
そうか、だから二人ともいっぱい売って家族の人にほめて認められたくて、わたしを家まで連れて行くんだな……
家には売っているブドウの果汁を煮詰めた糖蜜の他にも糖蜜があるそうで、毎日スプーンに一杯は自然と食べているそうだ。
「これを食べたら元気になるから食べろと、ばあちゃんがうるさく言うから、きっとからだに良いモノだと思うぞ」
カベルネのおばあさんが中心になって、お年寄りたちで 一、二日かけて煮詰めて作っているから、糖蜜をワインやジャムよりも売ってくるように言われているみたいだった。
よし、家族の人たちにカベルネがほめてもらえるよう。
いっぱい、買ってあげよう!
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