迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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146. みんなで二軒の家をみる

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 ライたちが気をきかせてくれて、お昼はわたしたち家族だけで食べることになった。
 そのころには一度マークたちも、くつろげる部屋へ案内されて落ち着いてきたようだ。

 昼食をみんなでワイワイ食べながら、マークの小言がちょくちょく挟まってくる。

 トムさんとトーマスはこの味付けの隠し味はなんだとか、ここの料理長さんはすごいとか二人でコソコソ話しながら食べていた。
 シーナはニコニコもぐもぐ、なにも気にせずいっぱい食べている。
 二人分だからね!

 お茶の段階で、マークが家族だけにしてほしいと侍女長たちに伝えて、部屋の中が五人だけになる。

 また怒られるのかと構えたらマークがわたしのところまできて、椅子に座っているわたしに目線を合わせるためにひざまずき、わたしの両手を握って目を合わせ聞いてきた。

「パール。おまえ、迷い人になったのか? 正直に答えてくれ……」

 みんなもこっちを、じっと見つめている。
 シーナが軽くうなずいていた。

「時間が、少しかかるけど……」

 マークにも横の椅子に座ってもらい、ゆっくり話しだす。

 アストの森で迷い人になったこと。

 そのせいでピアンタにはいれなくなり、すぐ親方とメリッサに協力を頼んでライたちとも知り合い、みんなに当たり人になってもらって、ここまでこれたと説明する。
 
 それから先は、マークたちが知らないことだ……

 迷い人になると寿命が、エルフと同じかそれ以上に伸びること。
 わたしは、千五百年ぐらい寿命が伸びてしまったと説明した。

「ウッ! ア~~っ!!」

 マークが両手で自分の顔を覆い、なんともいえないうめき声のような声を漏らして、わたしを強く抱きしめる。

「ごめんな、ごめんな……ひとりにして……」

「パール、わたしのせいよ……わたしが告白なんかして、二人を離してしまったから……」

「いや、シーナおまえは関係ない。ワシがふたりに一緒になってもらいたかったから……」

 マークもシーナもトムさんも、自分のせいだとわたしにひざまずいて目線を合わせて謝るように告げてくる。
 みんな優しいな……

「これは、だれのせいでもないよ。それに、長生きは悪いことじゃないから……」

 一度椅子に座り直してもらう。

 それからは、相談。
 決まってしまったことは仕方がないから、これからの方針。

 すごくお金持ちになったから、これでみんなお金の心配は無くなったと明るく教える。
 それからいろいろな魔道具をもらったことも話してしまう。
 でも全部登録してあるからわたし以外は使えないと、ここはしっかり言っておいた。

 家も二つ買ったと伝えておく。
 マークが、ここで引っかかる……

 なぜ二つなんだと? 
 なぜ一緒に住まないんだと……

 マークたちには正直に、すごく長生きになったし魔力も増えて向こうの魔道具もいっぱいもらったから、もう普通の生活が無理なんだと話してしまう。

 ひとりのほうがこれからのことを考えると便利で良いのだと告げ、二軒の家がすごく近くてちょっとした離れぐらいの物件をライが譲ってくれたので安心だと伝えると、すぐ見に行くと言いだす。

 妊婦のシーナも見に行く気マンマンだ!
 大丈夫かな?

 侍女長たちを呼んで、家を見に行くとライたちに伝えてもらう。
 ソードとわたし付きの侍女プラムとシルエラがついてくることになった。
 侍女長もあとからくるそうだ。

 馬車二台で向かう。
 マークがわたしから離れない。
 手を繋いでくる……
 今回いっぱい心配をかけたから、好きにさせておく。

 まずは、お店!


「いい店じゃないか!」

「料理長! ここが新しい家になるんですね!」

 トムさんとトーマスは外見だけで気に入ってくれたようだ。

 カギをマークに渡す。
 マークがカギを開けると、すぐトムさんとトーマスは調理場へ向かった。

 マークとシーナはゆっくり二階まで見てまわり、二人で必要なモノや修理するところを話し合っている。

 わたしはトムさんたちのところで、大工さんたちに頼んでいろいろ直してもらおうねと伝えると、二人でまたなにか話しあっているみたい。

 マークがやってきて……

「パール、おまえの家はどこだ? ここからホントに近いのか?」

「ホントに近いよ! 裏庭にリンゴの木が一本あるんだけど、その向こうだよ」

「「向こう?!」」

 マークとシーナが不思議がっている。

 その声でみんながやってきたので、そのまま裏庭へみんなで向かう。
 ソードが隠し戸を開けるとおどろいていた。

「ねっ! 近いでしょ?」

「ああ、近いな……」


 家の中には簡易のテーブルが用意されていて、侍女たちがお茶の用意をしてくれていた。

 いないと思っていたら、こっちへきてたのか……
 先に黒いソファを片付けたから、このテーブルを置いてくれたんだな。
 ここのカギはまだ侍女たちが持っているから、いろいろ片付けてくれているようだ。

「パール。ここはすごく良いところみたいだけど、ホントに大丈夫なの?」

 シーナがここの囲われ具合と、家の豪華さから不安に思ったみたいだ……
 さすが、鋭いな……

「そうなんだよ。実は隣が冒険者ギルドなんだ。いま入ってきたところは、隠し戸でホントはギルドの横が入り口になっているの。ライが特別にわたしの寿命が長いから他に売らないだろうと、自分の隠れ家を売ってくれたんだよ。だからゆくゆくはここを返すか、マークやシーナが生きている間だけ、あそこも入り口にして生活しようかなぁ~って思っているの」

「そう、わたしたちが生きている間だけ……」

「うん。まだキチンと決めてないけど、いろいろ冒険するつもりなんだ」

 もう、はっきり早めに言っておいた。
 寿命は仕方がないからね!

 元気に明るくだよ!

「パール、ゆくゆく返すとは? ここはずっとあなたの家ですよ」

 ソードがいつまでも暮らして良いんだと言ってくれる。

「ありがとう」

 みんなが優しい……

 侍女たちの淹れてくれたお茶を飲みながら、これからについて話す。

 トムさんとトーマスはもう少し店の様子を見たいようだ。
 シーナもこれからいるものリストを作りたいと告げる。
 マークはわたしの予定を聞いてきた。
 
「んーっ、いまはライたちがここがわたし好みに整うまで、あの家で過ごして良いと言ってくれているから、あそこで少し生活しながらこの家を整えていく? かな」

「十分整ってないか?」

 マークが聞いてくる。

「そうなんだけど、なんか女の子仕様になってないらしくって」

「おまえ、そんなこと気にするのか?」

 アレっ? ホントだ。
 別に、どっちでも良いんだけど……

「みんなが、整えてくれているから……」

「ねえ、パール。あの宿屋、もうわたしたちのモノなんでしょ?」

 シーナが首を少し傾けてたずねてきた。

「そうだよ! みんなのモノだよ!」

「じゃあ、あそこに今日から住んでも良いかしら?」

 えっ、まだ何も直してないけど……

「そうだな。あそこに住みながら、直す場所を探っていくほうが確実だな」

 トムさんも賛成なようだ。

 あれ?

 もう、住んじゃうの?


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