迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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152. ベビーベッドを注文する

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 次の日、いつもよりだいぶ早くピアンタへ向かう。

「チェリー、最短コースを教えてね! 今日も休憩は一度で、日帰りを目指してみようと思うの」

「はい。今回は王都ゴタからですので、樹海の端を飛ぶコース。メルの町からより長い距離のコースになります」

 最短コースで軽い休憩だけして頑張ったけど、お昼を過ぎてしまう。
 これではやっぱり用事を済ませてラメールに帰ると、着くのが夜中になるな……微妙だ。


 親方は相変わらず店の前にある長椅子に座っていた。
 
「おーっ、パール! 待っていたぞ!」

「親方~、こんにちは! もうできたんですね! 見るのが楽しみ~」

「あっ、パールさん! いらっしゃい! ベッドできていますよ」

 店の奥にデンと置いてあるベッドは、複数のツタや花の模様が絡み合っていて、その中心に太陽のような大きな花のような複雑な模様が浮き出るよう、立体的に掘り込んである豪華な物だった。

「これは、すごいね……」

「予備で三つ作ったから、全部持っていってもいいぞ!」

「いいの? ありがとう! 助かるよ。ガントたちをもし泊めることがあるとしたら、三つ必要だからね」

「これを作るのは、やりがいがあって楽しかったぞ! またなにかあったら注文してくれ」

「じゃあ、ベビーベッド柵付きを二つ?」

「なんだ? パールの伯父さんところの子どもは、双子なのか?」

「違うよ。ひとつはマークたちにプレゼント。もう一つはわたしが持っていて、出先でもすぐ出してあげれるようにしようかなっと思って……」

「ほーっ、ひとつはおまえのだな?」

「そう。期限はまだあと二ヶ月は大丈夫だと思うけど……」

「なにか希望はあるのか?」

「安全第一! あとは親方に任せるよ! なんなら、一つのベビーベッドはわたしが持っているモノだから、それよりもあと一、ニヶ月ぐらい遅くてもぜんぜん大丈夫だよ。そんなに早くは連れ回さないだろうしね」

「よし! 任せておけ!」

 元気な親方に返事をもらって、ベビーベッドの代金バンブの砂金を三本渡す。
 これで足りるか聞くと、十分だと笑っていた。
 
 金のタマゴ入りお土産セットをまた渡してメリッサのところへ向かう。

 親方といると、元気をもらえるな……ふふっ。



 やっぱり今回も樹海の端で一泊することにする。

 メリッサのところでは、マークたちに無事会えたと伝えて、モナルダの届け物とお土産セットを渡すと急ぎのお客さんがきてすぐ出てきた。

 それから少し遅いけど、急いでアストの森へ入っていく。

 慣れたポイントで薬草を採る。
 採取用スティックがあるから簡単だ。
 ポーション作りで使う練習材料を、できるだけ自分で集めておく。

 少し、深呼吸……
 緑が濃くて、ここは落ち着く……気持ちがいい!


  ♢♢♢
 

 次の朝、モナルダのところへ先に寄る。

 メリッサからの荷物を渡し、また三週間ほどメルの洞窟へマークと二人で潜ると伝えておく。
 モナルダからできれば、何種類か薬草を取ってきてほしいと頼まれた。
 
「いいよ。 できるだけ探してみる!」

「無理はしないでいいから。 安全にたのむよ」

 笑ってうなずき、すぐライの家へ向かう。 


 裏庭の囲いに着くと、セバスチャンがやってくる。
 どうしてわかるのか聞いても、ふふふっと笑って教えてくれない。
 謎だ?

 ライたちのところへ通される。


「相変わらず早いな!」

 ガントが笑いながら告げる。
 ソードはすぐわたし付きの侍女を呼んでくれた。

「パール、疲れただろ? この菓子は甘くておいしいから食べてごらん」

 ライが自分のお菓子を勧めてくれる。
 お茶が淹れられて、自分の前にもお菓子がきた。

 素朴な味。
 ナッツと干しブドウ入りだな……おいしい。

「先にこっちへ帰って来たから、マークにはまだ知らせてないんだ。これから行ってくるよ」

「パール。マークたちはいま食堂の準備でホントに忙しいでしょから、今日一日ぐらいマークに自由な時間をあげても良いのでは? パールが行くと、マークはパールに付きっきりですからね。冒険の準備もあるでしょうし。パールが帰ってきたと連絡だけこちらでしておきますから、パールも帰ってきた日ぐらいゆっくりしてはどうですか?」

「そうか……そうだね。明日の朝に行くことにするよ」

 ソードに言われて、マークの自由時間まで考えてなかったことに気づかされる。

 プラムとシルエラに旅の汚れを落としましょうと部屋へ連れていかれ、お風呂に入れられると、ホッとする。
 疲れていたんだと、気がつく……

 マッサージ付きのストレッチをしてもらい、また見たことのない新しい服に着替えた。
 この服はわたしの好みをもとに、侍女長たち三人で意見を出し合いながら作らせた服だと教えてもらう。

 たしかに、わたしの好みに近いのか?
 シンプルなラインで締めつけは少ないけど……
 胸の上から切り返しがある、アジュガたちの服とはまた違う甘い……すごく女の子らしいかわいいワンピース? ドレス? だった。
 足首は見えないな。
 足先だけが少し見えている。

 これでは町にひとりで歩けない……
 誘拐されそうだよ。
 アジュガたちの服とは、なにかが違う?

「子どものうちにしか着れないような、かわいい服もいっぱい着てください」

 侍女長が伝えてきたから、うなずいておく。
 色がピンクでこのデザイン。
 さすがにこれをおとなが着るとキツイかな?
 靴もセットのモノだし、侍女たちはニコニコしている……
 髪もパールの髪飾りで飾りつけられ、これからどこへ行くのだろう……
 昼食だよね?
 
 いつものように最後に登場する。
 みんなにすごくほめてもらって、昼食をいただく。

「パールはホント飾りがいがあるから、侍女たちがよろこんで用意しているし、この頃の侍女たちは楽しそうだよな!」

 ガントが珍しく侍女たちのことを笑いながら話し出す。

「そうですね。 女の子がひとりいるだけでこんなに活気付くとは知りませんでしたよ」

 ソードもおかしそうに告げるとライがお礼を言ってくれる。

「ホントに。 パール、ありがとうな」

 いやいや……

「いろいろ良くしてもらっているのはわたしだから、お礼を言わなきゃいけないのはわたしだよ……」

「フフッ、明日は朝からマークのところへ行くのですか?」

「うん、ソード。そこでいつからメルの洞窟へ潜るのか相談してくるよ!」

「パール、そんなに張り切ってケガしてくるなよ!」

「大丈夫、ガント! ちゃんとポーションは持って行くから」

「心配だなぁ……」

「ライ、心配しないで。大丈夫だよ」

 今日は午後から時間に余裕がある。
 せっかくかわいいドレス? を着ているから侍女長にもう少し、お茶の淹れ方やドレスでの歩き方など、シーナに教えてもらっていたマナーよりももっと細かく教えてもらうことに。

「パール様は食事のマナーも少しの手直しで大丈夫ですし、お茶の淹れ方もおおむね覚えられドレスでの歩き方も覚えられましたから、あとは実践ですね」

「別にそこまで大層にはいいよ。どこにいっても困らない程度でいいから」

「それは……まだまだですね。では、これを覚えておいてください」

 プラムとシルエラがカートを押してやってきた。
 本?
 そういえば、ライの家の図書室に行ってないな。
 
 大きなテーブルにどんどん置かれていく本を、端から順番にスキルコピーしていく。

「これは、ラメール王国の貴族の系譜? 特徴と名簿もあるのかな? んっ、多いな。アレッ、ピアンタ王国のもある……じゃあこれは、セルバ王国かな?」

 一度は行ってみたいな、セルバ王国……

 どんなところなんだろう……


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