迷い人と当たり人〜伝説の国の魔道具で気ままに快適冒険者ライフを目指します〜

青空ばらみ

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179. わたしの味方

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 このセイオクノモリに二日間滞在することにした。

 いろんな薬草を採って帰りたいからね。
 ブレンダに、どこに何があるのか教わるだけでもためになる。

 このセイオクノモリは、湖と同じで強い魔獣がいないそうだ。
 でも普通に動物はいるから、安心しきってはいけないと教えてもらう。


「見つけた! 甘い香り! スナップドラゴンだ!」
 
「パールは珍しい薬草を知っているね……そうさ、これがスナップドラゴンだよ」

 たしかに、ふっくらしたかわいい花だよね。
 いろんな色があるから、抜けがないよう全種類を摘んでいく。
 スキルマッピングしておいてよかった!
 あのドクロがこんなかわいい花なんて、マッピングしていなかったらわからないよ……

「ここは、すごいなぁ! ピアンタに負けていない。薬草の森だよね!」

「まあ、そうなんだけど。これをギルドへ持って帰ろうとすると、枯れて値打ちが無くなってしまうんだよ。だからそう採られないで残っているのさ……」

 そうか魔法袋がないんだ。
 もし持っていても冒険者ならA級とか、お貴族様ぐらいだよね。
 薬草なんてとらないかも?
 やっぱり、難しい森なんだ……

「残念……こんなに生えているのにな……」

「そうだね。仮に魔法袋を持っていたとしても、ここの薬草だけでは稼げない。やっぱり他のモノを優先して持って帰るだろう。だから仕方ないのさ」

「そうだよな。 パールみたいに金が一番じゃない冒険者は、珍しいからな……」

 また、そんな話しを二人でしてる~ぅ?!

 もう気にせず、いろいろ集めてまわる。

 今日は、大収穫だった。

 少し早いけど、森に認識されない強いバリアの魔道具と空のテントを出して、その中にテントを二つ並べ、その前にテーブルセットをドンッと置くのがお決まりの形になったみたい。

 ブレンダが今日は時間があるので先にお風呂へ入って、わたしのお気に入りのアラクネの服を見せてほしいと告げてきた。

 せっかくなのでいつもよりちょっとかわいい感じのアラクネのワンピースを着て、それに合う向こうの靴で食事をすることに。

 ブレンダはわたしを見て一瞬目を細め、すぐかわいいねっと、ほめてくれる。

「パール……そんなのも、あったのか?」

 マークが見たことのないワンピースと靴だったので不思議そうに尋ねてきた。

「うん。まだまだ、いっぱいあるよ! 向こうの人が、嫁入り道具のつもりで揃えてくれたからね!」

「「嫁入り道具!?」」

「そうだよ! わたしが冒険者をなぜ九歳でしているのか聞かれたから説明したら、母親がいないならって、向こうのこのテントをくれたお母さんがそう言って、短い時間でいっぱい揃えてくれたんだ!」

「ハアーっ! パール、それは誰が知っている?」

「えっ、んーっ。マークたちが初めてかな?」

「ぜったい、黙っていろよ! そんなにたくさんもらっているなんて聞いてないぞ!」

「そうだよ! この子は、ホントにあぶないねーっ! うかつになんでもペラペラしゃべるもんじゃないよ。それにこれなんて、半分ドレスじゃないか……それをこんな、何でもないときに着てくるなら、もっと良いモノがあると言っているようなもんだよ! ハアーッ。これは、たいへんだね」

 マークがブレンダの意見に大きくうなずいている。

「これがアラクネの生地かい? 少し触らせてもらうよ」

 肩から腰まで、ズルッと触って、またズルッと……
 三回繰り返して、目を大きくしてマークを見ていた。

「これは、すごいね……王妃様でも、こんなすごい生地のドレスは持っていないよ。これは誰かにみせたのかい?」

「服は見せてないけど、下着は見せてるかな?」

「マーク! この子にもう少し、いろいろ教えないとダメだよ」

「ああ。七歳から十歳近くまで、ひとりで冒険者をしていたから……世間の常識にも、うとい。それに『前世の記憶』なんてのがあるもんだから、ものすごいことになっているんだ……」

「ああ、あの水着だったか? あれもそうだったね……用事をできるだけ早く済ませて戻ってくるよ……ホント危なっかしい子だよ」

 もう二人の話しを無視して、腰のマジックバックから料理を出していく。

 魔牛のステーキを三枚。
 ベーコンとポテトに豆、色とりどりのパプリカやキノコが入ったこれは、キッシュっていうの? 
 まわりがパイ生地で、中は卵のオムレツみたいだ。
 あと、うわっ?! 大きなエビビ!
 バターで炒めてあるのか? 香草の香りもする。
 野菜はミニトマトとブロッコリーをゆがいて、コロコロ赤と緑がかわいい! これもキレイな陶器の入れ物に入っていた。
 じゃあ、コロコロいろんなブドウもだして……

 あぁ、全部ステキ!

 パンはハードタイプと干しブドウ入りの二種類。
 バターとヤハッシのハチミツを用意する。
 あとは、ハーブ水にオレンジ果汁。
 マークたちには、いつものワインを出した。
 横にはそっと、魔道具のお水を置いておく。

「パール、ずっと食事が気になっていたんだよ……なんだいコレは? あったかいし、冷たいし……いま、そのカバンから出したね……」

 マークが、一言。

「時間停止のマジックバックだ」

「それは、また……そんな貴重なモノに料理を入れているのかい?」

「えっ!? 一番大切でしょ?」

「時間停止ではないが、パールは魔法袋を数枚持っているんだ」

「なんて子だろう……王妃様以上に贅沢な暮らしをしているなんて」

 マークが、うなずいている。

「まあまあ、冷める前に食べようよ!」

「お、おいしい!? この肉は、魔牛だね!? エビビの大きさにもおどろいたけど、この肉……魔牛でもAランクの肉だよ」

「そうなのか? 魔牛にもランクが……知らなかった。やっぱりこれが、おいしいはずだ」

「パール! このハチミツは、ヤハッシじゃないか!? こんな貴重なモノまで……」

「ブレンダは、すごくあそこのモノに詳しいんだね。じゃあ、これなんか好きなんじゃないかな?」

 マジックバックから、ブドウ果汁を煮詰めた糖蜜を出してあげる。

「これは! 懐かしい 糖蜜だね!? わたしの祖母と曽祖母はエルフ族だったから、これがたまに出てきたんだよ!」

「よかった! いっぱいあるから、遠慮しないでいっぱい食べてね!」

「マーク、いつもパールはこんなご馳走を食べているのかい?」

「ああ、当たり人になってもらった人が金持ちでな……そこでいまは暮らしているから、こんな感じだな。パール付きの侍女も二人いる。それでもパールは、夜にはテントで寝たいと言うんだよ……」

「パールなんで、テントなんだい?」

「えっ、だって……」

「ハアーっ。パールは向こうのベッドに、アラクネのシーツでアラクネの寝間着で寝たいんだそうだよ」

「はあ? そうか……マークが他の人に見せないようにしたから……テントがいいのか……」

 呆れられたけど夕食を食べながら、ブレンダは少しでもわたしのことを知ろうと、いっぱい質問してくれる。
 そのときちゃんと自分のことも話してくれるから、ブレンダのことも詳しくなって、いい感じ!

 なんだかライの侍女さんたちに、いろいろ聞かれていたことを思い出した……

 みんなとっても、いい人たちだ。
 
 強くて、長生きなブレンダ。

 わたしの味方が、ひとり増えたよっ!

 


 

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